表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
目覚めた公爵令嬢は、悪事を許しません  作者: トモブー
あなたを愛するのに疲れました
89/131

帝国へ(馬車の中)3

国境近くで、予定通りザンと合流し、帝国の馬車に乗り換え服を着替えた。

「公爵令嬢様、文は全て預けてまいりました。また、コリュ様の跡は誰も付けておりてませんでした。それから文を預かって参りました」

私の前にターニャと一緒に座るザンが、私を見つめ報告し、渡してくれた。

「ありがとう。帝国側なのに助けて貰って申し訳ないわ」

文を受け取りながら、お礼を言うといつもの無表情で首を振った。

「皇太子より命を受けております。公爵令嬢様に従え、と。それだけです」

ぶっきらぼうな言い方たが、ザンはこの状況を楽しんでいる。

それが分かっているから、罪悪感が少なく感じ頼み事が出来た。

文は2通。

ニルギル様とコリュ様からだ。

ニルギル様の方を先に開けて読んだ。

私の王宮での断罪が瞬く間に貴族に広まり、王妃派が慌てて公爵派にゴマすりにまわっているらしい。

王妃様は別宮にすぐ移されたが、気味が悪いほど静かに従い何も文句を言わなかった。

つまり、何があっても自分の地盤が揺るがないそれだけの自信がある、という訳か。

はっとした。

しまった。別宮に移すべきではなかった、と臍を噛む。

別宮での見張りを指示していなかった。これでは、王妃様が動いても、確実な証拠が掴めない。

逆手に取られる、という事だ。

王妃様は別宮で隔離されているから、誰とも連絡が取れない。恐らく、グリニッジ伯爵様も見越して下手な動きはしないだろう。

王妃様が王妃派が動したとしても、それは勝手にした事であって、グリニッジ伯爵は突っぱねればいい。

それでこちら側が被害を受けたとしたら、王妃様にとっては棚からぼたもちで、こっちにしたら、やられ損だわ。

迂闊だった。

「どうされました?何かありましたか?」

ザンが神経を尖らせ、低い声で聞いてきた。

「少し考えが狭かったな、と思っている所。大丈夫、何も無いわ」

仕方ないか。

「誰しも思い描いた結果にはなりません」

ザンは張っていた気を少し落とし、慰めるように言った。

「確かにそうね。いちいち凹んでたらキリが無いわね。さて、次の文を見ようかしら」

コリュ様の文を開けて、言葉を失った。

「どうされました!?」

ザンが立ち上がり入口を見た。

「大丈夫よ。でもね・・・これ見てよ」

文を2人に見えるように広げた。


任せときな!


「・・・この意味は、何ですか?」

「さ、さあ?」

ターニャの疑問に、私が聞きたいわよ、と思った。

「何を頼まれたのですか?」

「貧民街の事だけよ」

それなのに、これは何???

何を、

任せときな!

なの??

不安しかないのだけれど・・・。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ