テレリナ子爵家をあとにしました
「ちょっと何よあれは!?」
ついこなくてもいいと言ったのけど勿論言うこと聞かない、2人が馬車で待っていた。
勿論ザンもリューナイトもいるがリューナイトは馬を引いている。
カレンは灯された明かりの中、私が悠々と歩いて来た事について、喚いているのだろう。
「あれはクルリのお陰よ」
「クルリの?」
くるりとクルリを見る。
「はい。少し考えたのですが、お嬢様の噂は、よく本で出てくる悪役令嬢のような噂になっておりますよね。それなら、そのように振る舞えば宜しいかと思ったのです。ですが、元々、高貴なお方ですから、振る舞いが高飛車なのは当たり前ではありませんか?」
言われてみればそうね。私が公爵令嬢という立場だから、そういう噂が流れているけど、上級貴族の令嬢らかなり横柄な態度の人が多い。
まあ、横柄な態度をするのは王妃派の、それも決まった人だけど、まあまあの爵位の令嬢だ。
「ですから、上手く利用する手はございません。お嬢様は、これまで我慢しすぎたのです。勿論、殿下やレインにはお嬢様が対応すれば宜しいですが、その他は私が微力ながらもお手伝いさせて頂きます。そうすれば、噂通り、ではなく公爵令嬢としの尊厳を守り、手出しするのは間違っている、となるのです!」
うおおおお、と言う言葉が合うように、クルリが喧嘩でもするような気迫で喋った。
それを見て、
ああ、クルリが一番私の側にいたからとても我慢していたのだ、と申し訳なかった。
と、思ったのは一瞬。
先程の話を満面の笑みで得意げに喋りだしたので、これはかなり楽しんでいるな、と何をしでかすか不安になってきた。
「首尾は上々でしたか?」
話が終わると、ザンが結果を私に聞いてきた。
「万事上手くいったわ」
「しかしよくこの短期間でその奇策を思いつきましたね。それも、3という数字は、策略を練る時に必ず基本となる数字。それに、もし失敗しても公爵令嬢には全く火の粉は飛ぶこともなく、ただ、捨ててしまえばいい」
ザンの感心しながらも、冷徹な言葉に首を振った。
「捨てるつもりなんて毛頭ないわ。私は、負ける気なんてさらさらない」
断言出来る。
「もし、失敗したらどうされるのですか?」
ザンの不安を煽る突き刺す言葉に、微笑んだ。
「それならそれでまた、次を考えるわ。どんな言葉にも、どんな苦境に立とうと、揺らぐ気持ちはもうないわ」
私の断言にザンは無言で頷いた。
「渡した内容は何を書いたんだ?」フィー。
お願いの内容は皆に教えていない。断られるつもりはなかったが、一応仲間に引き入れたら、教える、と秘密にしておいた。
「テレリナ子爵様が選んでくれたお2人には、一通はレインの情報を集めて貰うように、もう一通は、他の2人の監視よ。ちなみにテレリナ子爵様には何も書かずに渡したわ」
「また、策士ですね」ザン。
「そう、かな?でも、監視役は必要でしょ?」
いつ、誰が裏切るかもしれない。もしかしたら3人が共謀して私を陥れるかもしれない。
「それにテレリナ子爵様には、コリュ様が動くように頼んでおいたから、それを元にどうにか動くかなと思って白紙にしたの」
「・・・皇太子は見る目がありますね」
ぼそりというザンの言葉にフィーがとても嬉しそうに私を見てくれた。
無愛想ながらも褒めているのがわかり、つい頬が緩んでしまった。
「もう!つまんないよ!スティングはどんどんいい顔になるし、楽しそうな事してるのに、何もしちゃダメだなんて!」
「何言っているんだ。お前、他の国に首をつっ込むのは良くない、といっていただろうが。それに、お前が出たらスティングの邪魔なだけだ!」
「じゃあ次の茶会はないの?」
食い下がってくるわねぇ。
「残念ながら王妃派の方は全てお断りの連絡が来たわ」
「ええ、なんで!?」
「当たり前だろ。お前に潰されると分かってて誰が好んでお茶をする。第一俺は、あんなスティングをバカにするお茶会等、行きたくない!」
その通り。
「だから、潰して上げてるんでしょ?」
でも、潰す、とはっきり言っちゃダメだよ。
「私もつまらないですね。せっかくお嬢様が悪女の花を咲き乱す場が無くなるなんて」
はい?悪女?
「確かに、それは俺も見たいな。この間のお茶をかける姿は中々のものだったな」
はい?そこは褒められる所じゃないわよ?
「あれは私が見ても恐ろしかったわ。スティングには逆らっちゃダメだとよく分かっわ」
はい?
「同感ですね。策士でありながら、あのような狂気に満ちた威圧は中々おられません」
「素敵でしたよ、お嬢様。あまりの怖さに1歩下がってしまいましたもの」
さすがにクルリとザンまで言い出したから不安になった。
「まってよ!私、そんなに怖い顔してたの!?」
自分の顔なんて見えないからわからないもの。
「綺麗だったよ」カレン。
「綺麗だった」フィー。
「悪魔のようでしたね」クルリ。
「帝国の参謀に如何ですか?」ザン。
「ぜんっぜんわかんない!!怖かったの?綺麗だったの?悪魔て何?参謀なんて出来るわけないじゃない!」
「悪魔は綺麗だから、という意味だろ?」
「その通りです」
「それ、ビビで可愛いけど小悪魔的なシーンがあったよね?」
「ありました!」
「だから、怖かったの!?」
「怖かった、ですか?」
「敵にしたら怖いよね」
「いや、俺は怒らせないから大丈夫だ」
「それが宜しいかと思います」
もう!!
結局、その後はカレンとクルリは小説の話になり、もうすぐしたら新刊が出るだのなんだのと盛り上がり、少しすると新作の服の話になり、そこにフィーが自分の服は、とか言い出し仲間に入り賑やかな話になった。
もう!




