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目覚めた公爵令嬢は、悪事を許しません  作者: トモブー
あなたを愛するのに疲れました
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ふた悶着

「ふた悶着あったんだな」

ニヤニヤと笑うお兄様と、またまた、その言葉に、ふふん、と今回は笑って見せた。

夕食後少し話をしたいとお父様とお兄様に声をかけ、3人で集まった。

お母様は今日は友人の食事に出かけている。

カレンとフィーには、今日の報告だから部屋で待ってて、と頼んだ。

「そうね、ふた悶着あったわ 。でも、どうしてそんなに情報が早いの?」

「なんだ?今日の階段から落ちた以外に何があるのだ?」

お父様が首を傾げながら、隣に座るお兄様、前に座る私を不安そうに見た。

「お茶会の事をご報告していなかったからですよ」

苦笑いしながらクルリがお茶を入れてくれた。

そう言えばお茶会から帰ってきて、フィーとカレンと話をして満足してしまった。お父様にホッリュウ伯爵様の事は言っておくわ、と言いながらすっかり忘れていた。

「また、何かしたのか?」

「うーん、また、と言うならロール様達の方かなあ」

だって、毎回毎回嫌がらせを繰り返ししてるのは、ロール様達で、私は、ロール様には、今回初めて反論しただけだもね。

確かにその前にはクリス様のこともあるな。

あとは、朝の殿下の事もあるし、

今日のレインの事もあるし、

そうそう、公爵派のお茶会もあったわね。

あら?

私ったら意外に色々やってるわ。

でも、何故か私ではなく、お兄様がそのお茶会の説明をしだした。

その手振り身振りの説明から、誰から聞いたのかすぐにわかった。

何となくどころか、誰がお兄様に教えたかは、

絶対キルギス様だわ!

だって、全く内容が同じだ。

それに、この要点だけを絞って誰が聞いても分かるように上手くまとめるのは、キルギス様に間違いない。

教えてる顔が浮かぶわ。

でも、聞いていて嫌な気分にならない。

得意げに喋るお兄様、

それを、嬉しさに頬を染めながら聞くお父様、

鼻高々のクルリ、

それを見て、えっへん、と思う私。

少し調子いいとはわかっているが、それでも気分良かった。

それに、キルギス様は約束通り余計な事は喋っていない。本当にロール様のお茶会だけの事を、お兄様に伝えているようだ。

話が終わり、ホッリュウ伯爵様の対応を伝えた。

「お前、いや、フィー様もカレン様も、中々のものだな!」

「お褒めに預かり光栄ですわ」

うふふ、お父様に褒められるのは嬉しいわね。

それにフィーとカレンがとてもこの家に馴染み、私と仲良くしているから、皇子様、皇女様、がなくなった。それは、お母様とお兄様も同じだった。

勿論先にお願いしたのは、フィーとカレンだ。

私を友人と認めているから、是非御家族にも認めて欲しいから呼んで下さい、と帝国皇子皇女目線ではなく同等の目線の物言いに、皆が納得してくれた。

フィーとカレンにとっては、最終的に、私を帝国に嫁がせる為の布石なのは、すぐにわかった。

それでも、

順序良く進めてくれているのに嬉しく思った。

「しかしレホッリュウ伯爵殿は、王妃様から言われて来たのかもしれんな」お父様

「そうですね。その考えもありますね。こちらの動きを知りたいのかもしれないのでしょうね」お兄様

でも、残念ながらあの人は役に立たないわ。

「そっちも気になるが大丈夫だったか?階段から落ちたんだろ。医師は呼ばなくても良かったのか?」

お兄様が、眉を下げ、本当に心配そうに聞いてきた。

「ちゃんと落ちたから平気よ」

堂々と言うのもおかしな内容だが、本当だからいいよね。それに、確かに動くと少し痛いが、あんなレインの大袈裟に言うほど痛くはない。

あの後、私達は様子を見て帰宅してはどうだ、と医務室の先生に言われたが、断り、遅い昼食を取り遅れながらも午後の授業に出た。

ちなみに殿下とレインは帰って行った。

何故殿下が一緒に帰ったのかは、愚問だが、それでも呆れてしまった。

婚約者の私を差し置いて、他の女性を心配するなんて、

バカ!

の一言だ。

「お姫さま抱っこされたらしいな」お兄様

「本当ですか!?」クルリ

「誰に!?」お父様

憎たらしい笑いで言うお兄様に、お父様とクルリが話に飛びついた。

「な、なんで知ってるの!?」

かっ、と頬が熱くなり、持っていたお茶を零しそうになった。

階段にしても、情報早すぎ!

「スルジニア様がわざわざ教えに来たんだ。もう、大はしゃぎだったぜ。それもフィー様が颯爽とお姫さま抱っこする後を、殿下がレインを引き摺るように歩かせてたんだろ。傑作だ」

「流石フィー様ですね!見たかったです!」

「そりゃ傑作だな」

恥ずかしかったよ。

教室に帰ってから、学園を出るまで、どれだけ噂され、スルジニア様の様な顔で見られたか分からない。

それにスルジニア様ったらわざわざお兄様の言いに行くなんて、

もう!

「だが、フィー様はやはり帝国皇子だ。かなり鍛錬しているようで、ここに来てからも、時間を見ては剣の訓練をしているぞ」

知らなかった。

確かにとても、私を軽々と抱き上げ普通に歩いていた。

「本当にお2人と仲がいいのだな。だが、レインがそんな事危ない事をして来たということは、お前の行動が気になりだしたのだろう」

「そうでしょうね。王宮で王妃様から何か言われました、お父様?」

「いつもの小言さ。気にする事はない。ともかくこれから気をつけなさい。王妃様はお前が殿下の気を引くために色々な事をしているのだ、と言っていたが本当に気がないのを知られるのは時間の問題だろう」

ふうん。やっぱりそう思ったのね。噂を流すように言って正解だったわ。

「分かりました、気をつけます」

「それと、やはり密通者がいる」

お父様が厳しい顔をになり、呟いた。

「何かあったのですか?」

お兄様も顔つきが変わった。

「先日有力な情報があり、検問所を張っていたのだ。何か馬車で運ぶつもりだったようだが、前日になって、張っていた馬車が検問所に向かわなかった。8台も張っていたのに、全部だ!」

忌々しそうに、ガン、とカップを置いた。

「またですか!いつもそうだ。ここぞと言う所で逃げられる!」

内通者。

何処にでもいるが、ここまで内情に詳しくなるとかなり深くまで入っている公爵派となる。

誰?

考えるとキリがない。もしかしたら、他の公爵様がそうかもしれないし、そうではないかもしれない。

いや、

お兄様かも、

お父様かも、

お母様かも。

そんな疑念が浮かび、身内で足の引っ張りあいになり、分裂。

「誰かを早く見つけねばならん。ああ、すまない。スティング、話があったのだな」

新しくお茶をいれなおしてもらい、落ち着くようにお父様はカップを持ち、優しい微笑んだ。

どうしよう。

本当なら、これから私のすることを伝えるべきだったが、下手に言って流布しては困る。

勿論お父様、お兄様が内通者だとは思っていない。それなら、必ず何処で、奇怪な行動が見えるはずだ。

他の公爵様も同じだ。

3人の公爵。

それは、三つ巴、三竦み。

昔、公爵は五家あった。だが、内乱で三家となった。

お互いを見張り合い、腹の探りを合いをし、忠誠を誓い合う。

だから、少しでも妙な動きがあれば、誰かが気づく。

そう、

3つ、

と言うのは1番恐ろしい数字だ。

「今日の事で、気を付けます、と言いたかっただけ。心配していると思ったからね」

言うべきではないな。

「そうか。だが、今のお前は強い。どうにかするだろう」

ええ、自分で考えるわ。

「ありがとうお父様。でも、私の行動が王妃様は気に入らない事が沢山出てくると思うけど、悪いけどお父様上手く誤魔化してくれる?」

曖昧な言い方にしておこう。

「構わんよ。お前のやる事くらい可愛い事だし、少しくらいやり返せばいい」

うーん。

可愛い事?

少しくらい?

やり返してもいいの?

ほのぼのとしたお父様とお兄様の顔を見ているのは悪くないし、変に心配させたくないから、これ以上余計な事を言うのをやめた。

「ありがとう。じゃあ部屋に戻るわ。遅くなるとフィーとカレンが」

トントン。

「ほら、迎えに来たわ」

トントン。

「えーと、カレンですが、入っても宜しいですか?」

申し訳なさそうなカレンの声に皆が笑いだした。

「では、お父様、お兄様、失礼致します。クルリ行きましょう」

「はい、お嬢様」

「おやすみ、スティング」お父様。

「早く寝ろよ」お兄様。

「うーん、それはどうかな?おやすみなさい」

挨拶を笑いながらしながら、扉を開けると、案の定フィーも一緒にいた。

「終わったわよ。部屋に戻りましょうよ」

「本当に?あ、待って、ヴェンツェル公爵様、セイン様、おやすみなさい」カレン。

「ヴェンツェル公爵様、セイン様、おやすみなさい」フィー。

「おやすみなさい」お父様

「おやすみなさい」お兄様。

「さあ、行きましょう」

「ええ」

「ああ」

その後は勿論、宿題をした・・・。


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