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目覚めた公爵令嬢は、悪事を許しません  作者: トモブー
あなたを愛するのに疲れました
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ロール様のお茶会の後

クルリが静かに私の背後に寄ってきたが、首を振った。

「サラを調べて」

「サラ、でございますか?」

神妙な面持ちで聞き返してきた。

「早急に報告しなさい」

「はい」

それ以上質問はなく、静かにクルリは離れて行った。

見間違いでは、ない。

あの子は貴族の息女だ。

気づく事が多すぎる。

いいえ、

私が、

全てを遮断していたんだ。

「どうしたの?」

カレンが、私の右に来た。

「どうしたんだ?」

フィーが、私の左に来た。

近づく2人に微笑んだ。

「何も。ただ、使える手駒が欲しいのよ」

「手駒?」フィー

「本気で動くわ。その為に、私だけの手駒が必要ななの」

「それがあの子なの?」

「全く、抜かりなく聞いているわね、カレン。よくクルリに言ったあんな小さな声が聞こえたわね」

「俺も聞こえた」

すかさずフィーが言ってきたから、つい笑ってしまった。

「私は、私の好きなように動く。でも、やっぱり一人では何も出来ない。その為になんでも使うわ。たとえ悪者になったとしても、それでも、この心は変わらない」

殿下の敵に回った事に、微塵も後悔はない。

「この国の、公爵令嬢として産まれた義務よ。私は悪事を許さないわ」

「目覚めたねえ、スティング」

カレンのたったその一言が、私の気持ちより強固にしてくれた。

「綺麗になっていくな、スティング」

フィーの全てを包むようなその一言が、私の気持ちをより前に向かせてくれる。

「全部2人のおかげよ。2人に出会ったから、私、あ、馬車まで来てしまったね。とりあえず乗ろうか」

「お嬢様早かったですね」

リューナイトがいつもの冷静な声で、馬車の扉を開け、私達は馬車に乗った。

そう、だ。

自分で言いながら、大切な事だ。

手駒。

公爵派に、裏切り者がいる。

その渦の中、私が下手に言葉を投じてしまえば、全てが水の泡になる。

それならば、

私だけの、

手駒がいる。

盤の上に乗る駒はいつだって、人間。

その駒を動かす人間は、

その駒の命を背負っているのだ。

馬車の中フィーとカレンと他愛のない話をしながら、色々考えた。

誰にも気付かれない、

信頼出来る、

手駒がいる。

さて、誰にしようかしら?

公爵派、

王妃派、

中立派、

全ての派閥の届かない貴族かあ。

うーん、と考えて、

思いついた。

そう、

全く、思いつかない事に、

思いついたのだ!


・・・困った。

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