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緑の徒花  作者: かずのは
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第一項 鬼目


諸兄らは、ゴブリンという魔物をご存知だろう。


人間の子どもほどの体躯に僅かばかりの知能を持つ、最も弱いとされるモンスターの1つ。暗い緑色の肌に濁った瞳、突き出た鼻に不揃いな乱杭歯、醜悪な容姿に違わぬ残忍な性質を持つ鬼の一種だ。十数匹程度のコロニーを形成し、洞窟や廃墟を根城とする。基本的にコロニー内にはリーダーが存在せず、本能や悪意に従って行動するが、ホブゴブリン等の上位個体が群を率いている場合もある。


全ての個体はオスであり、繁殖は人間や亜人の女との間で行われる。それ故、農村や亜人の集落を襲い、女を捕らえては巣に持ち帰る習性がある。メスとおぼしき個体の目撃情報も数件挙がっているが、定かではない。また、過去に近縁種であるオーガとの交雑も見られ、双方の特徴を備えた個体が捕獲された事例もある。


主な武装としては木や獣骨から削り出した槍や棍棒だが、冒険者から奪った剣やナイフを装備している事も多い。稀に魔法を習得する個体も見られる。力も俊敏さもさして高くはなく、単体での脅威レベルは低いものの、集団での襲撃はその残虐性・狡猾さ故に、時に熟練の冒険者すら死に追いやる。駆け出しの者に関しては語るべくもないだろう。



古より世界の頂点に座すドラゴンや強大な力を持つベヒモス等の最上位の魔物は、それこそ天災のようなものだ。撃退或いは討伐されるまで人も町も蹂躙し尽くすであろう。実際に17年前にジュピテル公国で起きたペルグランデ・レックスの襲撃では、悪天候により討伐隊の到着が遅れたこともあり、死傷者約2500名という大きな被害が出たことは記憶に新しいだろう。

それに比べ、ゴブリンの仕業だと思われる襲撃では毎年およそ6000もの死者・行方不明者が出ている。毎年である。

無論、大型モンスターの場合、人的被害だけではなく家屋や城壁、家畜等の物的被害も甚大なものとなるので一概には比較できないがー

我々は再認識する必要がある。本当の脅威とは思いの外近くにあるものなのだと。


ーリンデル・サーシェス著『近年に於ける魔物の動向及び勢力分布』より抜粋



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