表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
絶望から始まる異世界転生  作者: 鎖
第1章
7/19

煉獄のヴィネリア 2


死隷縛呪


死者を操るスキルだ。

シノンの森で衛生兵が魔族に噛み付いたのも、このスキルの効果だった。何度も確認するような時間はなかったけれど、上手く行った。


「ヤマト様…やりましたね!」

「いいや。まだだ、これだけじゃ兵士達の手から逃れられない」

「それじゃ、一体どうしたら…」

「だから、こうする!」


光り輝く右手を真っ黒な灰にかざす。


「ヤマト様!それは!」


その灰はゆっくりと人の形をなし、銀髪の魔族は息を吹き返した。


「ヤマト様!正気ですか!魔族ですよ!?」

「これしかないんだ」


やがてヴィネリアはゆっくり起き上がった。


「このあたしが…こんなガキがあたしのマスターかい・・・」

「ヴィネリア。早速で悪いんだが撤退を命令してくれ」

「な、なるほど!」


これで3万の魔族は撤退する。戦争自体はもう終わってるわけだし、もしも皇女を死んだ事にできれば追ってを向けられることもなくなる。


エルダー山脈の頂上でヴィネリアは声高々に叫んだ。



「あたしは一生こいつについて行く!」



!?


ざわざわ…


「待て!その言い方はおかしい!」

「残念だが、あたしは心も体もこいつの物になっちまった。お前らは適当に散れ!」

「おいぃぃぃぃ!だから言い方おかしいって!」




。。。




オルディア王国を滅亡させた魔族の英雄ヴィネリアの軍隊は1夜にして消滅した。その真意を知る者はごく僅かだったが、その真意こそ魔王軍に激震を走らせるものだった。



英雄ヴィネリアの裏切り!

オルディア皇女は健在である!


同胞の裏切りに激昴した魔族たちはヤマト達の目論見とは裏腹に、ヴィネリアの痕跡を辿って多くの軍隊が強烈にこれを追撃する事になる。



。。。



「なるほどねぇ。あんた縛呪がどんな物か知らないんだな?」


ヴィネリアが艶やかな笑みを浮かべた。魔族ではあるが銀髪と赤い瞳には妙な色気を感じる。顔立ちも良いのだ。


死霊縛呪は死者を操るスキルである。

難しいポイントなのだけど、死体を操るわけじゃない。死者を操るのだ。大きな違いは死者本人が自我を持つという事。そして能力者の意思には逆らえない事。


隷奴契約は数ではなくて容量。


強力な存在とは多くは契約を結べない。逆に小動物などはたくさん契約を結ぶ事ができる。逆に自分自身の容量さえあればいくらでも…といった具合だ。


そして距離。契約者は能力者から離れれば離れるほどに本来の力を失い、やがては契約が解除される。つまりは死体に戻るというわけだ。


「ヤマト様。これからどうするつもりですか?」

「そうだな…」


とりあえず、俺達の居場所がバレてる以上、ここに留まるのは危険だ。強力なドラゴンやワイバーンがいても軍隊を集結されては逃げ切れない。


安全かつ、見つからない場所がこの大陸にあるのか?


「魔族が立ち入れない場所なら知ってるぜ」

「え?」


ヴィネリアが不敵な笑みを浮かべた。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ