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絶望から始まる異世界転生  作者: 鎖
第1章
19/19

休息


まずは状況を整理したい。


ただそれだけだ。フラウスの話によるとオルディア王都の陥落によって周辺各国は次々に魔族に投降しているらしい。大陸をまとめていた大国が倒れ、魔族の勝利で戦争は終結に向かっているらしい。あとは戦後処理というところだろう。


その戦後処理の中に、オルディア皇女の抹殺。つまりレナの始末ももちろん含まれている。なぜなら異世界からの勇者(ここで言う俺だ)を召喚する術を持っているからだ。長年の戦争で痛い目を見て来た魔族はこれを絶対に無視しない。だから俺たちの目的はとにかく生き延びる事。追手の来ない安住の地を見つける事だ。


では、その安住の地は一体どこにあるのか?


エルフの女王シーディスによればランドールの大河を越えた所にある、モロ砂漠という土地が手がかりになりそうだが、詳細を聞く前に女王シーディスは死んでしまった。こうなってしまってはなんとか大河を渡り先へ進むしかない。


船が必要だ。






______・______






何も船を手に入れる必要はない。とりあえず大河を渡る船に乗れればいいのだ。俺たちは町へ出て客船、貿易船、何でもいいから渡航できる手段を探す事にした。それから衣類も新調したい。レナのオルディア王国の紋章の入った服や、ヴィネリアやフラウスの軍装はまずい。ミレットの服も魔族かもしくは人間の服装が望ましい。


ランドールをぐるりと囲む塀を見上げた。貿易港というより砦のような街だと思った。港から中央広場まで、ずっと連なった露店はさながらお祭りのようでもある。この種族を問わない貿易がこの活気と街の発展につながったんだろう。ランドールの街では魔族も人間も金貨という絶対的なルールの中で暮らしている。どんな屈強な男でも、どんな強力な魔法を使える魔族でも力で争う事はせず通貨で物事を決める。


「レビヤタンの裁きか・・・」


ランドールの街では争いが起こると、大河の主レビヤタンの怒りに触れ災害が引き起こされると、今でも信じられている。その結果、誰もが張り付いた笑顔の裏で経済的な争いをしているのだ。市場の支配権。交易権その他もろもろ・・・。


「ヤマト、これ似合いますか?」


レナが白いワンピースを着てくるりと回る。裾がひらひらと揺れて静かに風になびく。


「もちろん、似合っているけど出来れば色は紺とか目立たないのがいいな」

「白じゃなくていいんですか!?」


レナが驚いた様子で白いワンピースを指でつまみながらそれを見た。そうか。皇女という立場から目立つ色の服装をさせられて育ってきたから、そういう地味な物を選ぶ習慣がないんだろうなと思った。レナはミレットとあれでもないこれでもないと迷っている。


「レナ!日傘とかいらないよ!」

「そ、そんな!晴れたらどうするんですか!?」

「布でも被ってなさいよ!」


先が思いやられるな。。


「おーい、あたし達はもう準備終わったぜ!」


ヴィネリアがキャミソールとパンツだけの姿で親指を立てている。戦いの傷なんだろう。体中傷だらけで痛々しい。しかし・・・どうにもこれがなんともナイスバディだ!当たり前だけどヴィネリアの身体なんてまじまじと見た事がなかったけれど・・・。



ある!!


まちがいなくFはある!!


とてもいい!!



強すぎる刺激が高校生の俺を襲う。


「ぶはっ!な、なんて格好してんだ!?」

「これが一番動きやすいからな。タンクトップとショートパンツってやつらしいぜ」

「いや、それは下着なんだよ」


キャミソールとタンクトップの違いも分からんのかい!


「お姉さま!なんてお姿で!」


フラウスが風のように飛んできて二本の指を俺の目につきたてる。


「ぎゃああああ!」

「人間如きがお姉さまの身体を直視するなんて千年早いですわ」



理不尽とはこの事。



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