ぷろろーぐ
マンションを出て、快晴を見上げる。
何故か晴れの日のはずなのに、頭上だけ暗かったのだ。
がっちょーん。
なんて、間抜けな音が頭上から響くのと同時に意識を失った。
次に目が冷めたのは真っ白な部屋だ。広い、扉がない。
どうやってか突っ立ったまま意識を戻したところ、目の前に白い……煙? もや? のようなものがふわふわと存在していた。
『やあ。神だよ。それにしても花瓶ってのはやばいものだね』
靄のようなものから、声が聞こえる。子供みたいな声だった。
夢だな。俺は確信した。
覚醒夢というやつだ。なら飛べるはずだ。その場で跳ねてみた。飛べない。
『え、飛びたいの?』
神が訊ねてきた。俺は頷く。
「空を飛ぶのは子供の頃からの夢です」
何を真面目に答えているのか。夢なのに。
しかし問答は続くようだ。
『そっか。他には何かやりたいことはあるかい?』
俺は少し考え、あります、と答えた。
「好きなだけ眠りたいです」
最近寝不足だったんだ。ずっと仕事が忙しくて。
『なるほどね。そっちはわかりやすいね』
夢の中の神とはいえ、この軽い態度はなんなのだろう。まぁ、夢だし、そういうこともあるのか。
俺はぱたぱた跳ねながら、ですよねー、と。
やっぱり軽く同意した。
そこで俺の夢は覚めた。
ゆるーい展開です。よろしくお願いします。