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さぁ、実験を始めようか。


 飛び出してきたのは二匹の狼だった。ただ、地球のそれと違い、全身がどす黒い紫一色だ。

 名をマジックウルフ。この辺りでは中級位のモンスターで、新米には少し荷が重いモンスターでもある。

 

 「1式」

 

 (承認……、完了しました。結果を表示します。)

 

 マジックウルフ

 雄 3歳

 Lv,7

 能力《無し》

 HP180/180

 MP220/200

 攻撃 35

 防御 18

 魔攻 52

 魔防 50

 俊敏 41

 《スキル》

 風魔法Lv,1、風抵抗Lv,1

 《称号》

 無し

 《装備》

 なし

 

 マジックウルフ

 雌 3歳

 Lv,7

 能力《無し》

 HP170/170

 MP254/254

 攻撃 35

 防御 20

 魔攻 43

 魔防 50

 俊敏 47

 《スキル》

 炎魔法Lv,1、炎抵抗Lv,1

 《称号》

 無し

 《装備》

 無し

 

 どうやらこの狼達はつがいのようだ。狼というものは基本群れを成して生活しているが、このマジックウルフはパートナーとのみ生活する。また、名前の通り魔法への適正がとても高い。

 

 (個体差があるな……、ステータス、それに魔法の適正もか……。しかしこりゃぁ丁度いい。あれを試すにはもってこいだ。)

 

  「アナザー、あの二匹を捕縛する。術式23~25まで、後四式展開」

 

 (了解しました。)

 

 二匹の攻撃を避けながら響は思考をまとめアナザーに命令を出す。

 

 すると響の体が淡い光に包まれ、そして収まる。術式23~25はそれぞれ、攻撃、防御、俊敏にあたる初期強化魔法のアタックアップ、ガードアップ、クイックだ。いくらステータスが高くとも、この二匹を同時に相手をするには多少心もとないと感じたのだ。

 

 そして響は、アイテムボックスの中から出した支給品の剣を取り出して、殺さないように側面で叩きつけながらダメージを与えていく。

 

 「ルァワゥ!!」

 

 負けじと狼がそう吠えるとその顔の目の前に魔方陣が現れて、初級魔法、ファイアーボールが発動される。

 が、狼の放った速度では、身体強化された今の響には追い付けず、避けられてしまった。

 

 結局、強化の入っているお陰か、マジックウルフ2匹相手でも、ヒット&アウェイが決まっていき、ほぼノーダメージでいい塩梅まで削ることができた。

 

 「よし、こんなもんいいだろう。7式18項展開。」

 

 (承認。クリエイト)

 

 簡易生成で作られたのは二本の鎖。それが二匹に絡まり、動きを封じいぇ拘束する。魔法で焼かれないように口も封じて置いた。

 

 (ふぅ、取り敢えずは終了か……。だが、この二体じゃぁ足りないな……。アナザー、別種のモンスターを探してくれ。なるべく防御の高いやつで頼む。)

 

 (承認。……、発見しました。ただいまマップに表示いたします。種族はイシマジロです。)

 

 響の視界の右上に半透明の地図が出現する。自信を示す青い点の近くに赤い点がある。どうやらそこが目的地らしい。

 

 狼達をしっかりと縛りつけ、表記されたところにいってみるがしかしそこにはモンスターの姿は見当たらなかった。

 

 (マスター、目的のイシマジロは地中にすむ種族です。いかがなさいますか?攻撃力はないに等しいのでそのまま拘束することもできますが?)

 

 「ならさっきと同じでいいだろ。7式18項展開」

 

 (承認。クリエイト。)

 

 そのまま新しく生成された鎖は地中へと潜り込んでいく。

 少ししてから鎖がつり上げたのは一匹のアルマジロだった。その背の部分は石で出来ているが。

 

 イワマジロは拘束されているため、丸まることができず「きゅ~きゅ~と」なんとも愛くるしい声を上げながらじたばたともがいている。なんと可愛らしいモンスターだろう。

 

 「なぁ、アナザー……」

 

 (なんでしょうか?)

 

 「他にいねぇの?俺こいつ飼いたいんだけど。」

 

 どうやら響はこのイシマジロを気にしいってしまったらしい。この世界には、モンスターと契約して使役することもできるので、そのままペットとしたいようだ。

 

 (でしたらあそこの茂みにダンゴロムシがいます。先に契約してしまいますか?)

 

 「おう、さすがにずっとこのままはかわいそうだしな。先に済ませるわ。」

 

 だったらボコられた上にさっきからずっと拘束されている俺らはなんなんだよと、狼達が非難の目を向けてくるが、そんなものはきにせずイシマジロの拘束を解いて抱き上げ撫でてやる。すると最初は怯えていたが、なかなか人懐っこいやつで、すぐにリラックスし響の頬をペロペロとなめ始めた。どうやらこの子も響を気に入ったようだ。

 

 「お前、俺と一緒に来るか?というか来い。」

 

 「キュッ!!」

 

 (「いいよっ!!」と言っています。)

 

 どうやらアナザーさんは翻訳もできるらしい。まじぱねぇっす、アナザーセンパイ。

 

 「よしきた。それじゃぁほれ。」

 

 そういって、歯で指に傷をつけ、出た血を舐めさせる。モンスターと契約するには、同意の上か屈服させた上で自身の血を体内に摂取させるのだ。

 

 (マスター、この子に名前を。ちなみにメスです。)

 

 「名前かぁ……じゃぁハナコで。」

 

 「キュッ!!」

 

 ベタだがこれがしっくり来たようだ。たしかに言われてみるとしっくり来る気がしないでもない。

 

 ちなみにハナコのステータスはこうだ。

 

 ハナコ(イシマジロ)

 メス 1歳

 Lv,3

 能力《丸くなる》

 HP100/100

 MP10/10

 攻撃 2

 防御 897

 魔攻 1

 魔防 863

 俊敏 13

 《スキル》

 土魔法Lv,1、強化魔法Lv,1、丸くなる、全属性抵抗,Lv3、物理抵抗Lv,3

 《称号》

 響のペット

 《装備》

 無し

 

 なんともまぁ片寄ったステータスである。しかしこれだけ防御、魔防が高ければ死ぬこともそうそうないし安心だ。戦闘には出せないが……。

 

 そして、言われた通りに背の高い草の生えた茂みへと行き、目標を発見。物理が通りにくいので、魔法を使ってさくっとダンゴロムシ(一メートルほどある団子虫のようなモンスター)を拘束し、狼達の隣に放り投げた。

 

 ステータスはこうだ。

 

 ダンゴロムシ

 オス 19歳

 Lv,3

 能力《人格》

 HP220/220

 MP100/100

 攻撃 40

 防御 370

 魔攻 10

 魔防 15

 俊敏 15

 《スキル》

 土魔法Lv,1 土抵抗Lv,1、物理抵抗Lv,1

 《称号》

 無し

 《装備》

 なし

 

 「さぁ、実験を始めようか。」

 

 これから行うのは、響がずっと疑問に思っていたこと、魔防というものは魔力の持った攻撃に対して発動するのか、それとも殴る蹴る斬ると言ったような物理的ダメージ以外のダメージに発動するのかというものである。

 

 「アナザー、術式9展開。」

 

 (承認。)

 

 発動されたのは炎魔法の初級、ファイヤー。手から燃える炎がで続けている。

 響はそれでまず、ダンゴロムシを焼いてみた。すると1秒に1のダメージが入っていく。ある程度データがとれ、死ぬ寸前で魔法をはなし元気にならない程度に回復させる。

 次に炎抵抗のないマジックウルフを燃やすが、今度は約5秒に1の割合だ。

 さらに炎抵抗のあるマジックウルフに至ってはダメージが入らなかった。

 まぁ、ここまでは想定の範囲内である。問題は次だ。

 

 「アナザー、魔力の通っていない炎を出してくれ。」

 

 (了解しました。クリエイト)

 

 アナザーが用意したのは松明とライターだった。

 響は松明に火をつけ、空気を送って火力をあげる。

 丁度いい具合になったところで、またモンスター達を燃やしてみた。

 

 すると、先程と違い、皆同じ割合のダメージを受けたのである。


 これで実証された。魔防、抵抗スキルの効果は、魔力の通った攻撃のみであると。

 

 これはかなりの大発見だ。上手く使えば奇襲として優秀だし、切り札にもなる。

 

 「よし。いい結果が出たな。片付けたら今日はもうかえるとするか。」

 

 そう言ってマジックウルフを剣で、ダンゴロムシを魔法で燃やして絶命させた。

 

 ピロリロリン

 

 (どうやらレベルアップしたようですね)

 

 ちょっときの抜けた音と、アナザーの解説に心踊らせ、さっそくステータスを見てみる響。

 

 霧村響

 男 17歳

 Lv,6

 能力《人格》

 HP411/411

 MP304/410

 攻撃 137(+25)

 防御 94

 魔攻 141

 魔防 98

 俊敏 182

 《スキル》

 炎魔法Lv,1、水魔法Lv,1土魔法Lv,1、風魔法Lv,1、闇魔法Lv,1、回復魔法Lv,1、強化魔法Lv,1、剣技Lv,3、スラッシュLv,1、刀技Lv3、一文字切Lv,1

 《称号》

 ハナコの主、鬼畜過ぎる男、確認するもの

 《装備》

 学生服、スチールソード(攻撃+25)

 

 マジックウルフという中級モンスター(ただし初期段階での話)を2匹倒したこともあり、一気に5もレベルが上がったようだ。ステータスも一気に上がっている。

 

 だが、気になるのは称号だ。なぜか某特撮ヒーロー(?)と同じ称号をもらってしまっている。なぜだろうとくびを傾げる彼に言いたい。自分のさっきの行動を思い出してみろ、と。

 

 が、どうやらそういうことは後回しにするようだ。時間としても相当経っているので結構眠たいのだろう。

 帰るためにハナコを抱き上げて、ゆっくりと立ち上がる。

 

 「ま、いっか。取り敢えず今日はもう帰るとしますかねっと。28式展開」

 

 (承認しました。転移)

 

 一瞬にして部屋に戻った響は、ハナコを抱いて、そのままベットに潜り込み、眠りについたのであった。

 

 翌日、ぐっすりと寝ていた響は、ハナコに起こされて訓練には間に合ったのである。

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