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魔導書と歩む異世界ライフ  作者: ムラマサ
ダンジョン攻略編
78/78

新技炸裂! フロアマスター戦

 ほとんどの迷宮型ダンジョンには5階ごとにそのフロアを支配しているフロアマスターと言われるモンスターがいる。


 強力な力を持つ個体、もしくは複数のモンスターが出ることもあれば、地形などを生かし本来の能力以上の力を引き出して戦うフロアマスターもいるそうだ。


 今挑んでいるダンジョン。ゴブリンの狩場の5階にはゴブリンの上位個体。つまり進化した複数のゴブリンが出現する。

 さて、勝てるかねえ。


 -----


 ヴァンたちとパーティを組んで2日目。俺は金欠と言う情けない理由からさっそくフロアマスターに挑むことになった。

 4階の階段を下に下りると、すぐ目の前に巨大な石製の扉が待ち受けていた。


 「この扉に触れると扉が自動で開きます。中には先ほど説明した複数のゴブリンたちが待ち構えていますので扉が開いたらすぐに戦闘が始まると思ってください」


 ここのフロアマスターに何度も挑んでいるヴァンからそう説明を受けた俺は他のメンバー同様装備の最終点検を行い準備を整えた。


 一応ここに来るまでの間にヴァン達と話し合って作戦は立ててある。上手く行くといいが。


 初めてのフロアマスターへの挑戦に少し緊張する。それがヴァンに伝わってしまったのか、ヴァンが俺に話しかけてきた。


 「大丈夫ですよソーマさん。いざとなればここまで引き返せばいいんです。さっきも説明しましたが、このデカい扉は一度開くとフロアマスターを討伐するまで閉じません。そしてフロアマスターはこの扉より外側には出られないし、出れば攻撃もしてきません。だから俺たちも何度も負けながらも逃げ切ることが出来たんです。まあ、逃げるのは前回で最後にしたいですけどね」


 ダンジョンによってはフロアマスターと戦闘が始まると扉がしまって逃げられなくなるダンジョンもあるそうだが、この初心者向けダンジョンの扉は締まらないので扉の外まで引き返せば簡単に逃げられる仕組みになっているそうだ。


 中ボスとの戦闘中に負けそうだからって逃げられるなんてどんなヌルゲーだよって思ってしまったが、実際命がけの戦闘をするとなると有難い設計ではある。

 

 ふと思ったが、この世界のダンジョンってアルテイシア様が作ったのかな?


 ダンジョンは自然発生するって言うのがこの世界での通説だが、ここまで親切設定のダンジョンがあるとなると、やっぱりダンジョンを作った人がいるんじゃないかと思えてくる。


 このダンジョンのヌルゲー設定に特に疑問を抱いていない様子のヴァンたちを見るに、前世で異世界物のライトノベルやRPG系のゲームをやった経験のある俺だからこそ抱く違和感なのかもしれないな。


 点検を済ませた俺たちは、Ⅴの字に陣形を組んだ。

 左側は前方に俺。後ろにシオン。右は前方にヴァン。後方にレイ。一番後ろの中央にメルという配置だ。


 パーティのリーダーであるヴァンが代表してゆっくりと扉に触れる。

 すると重厚感のある扉が自動で開き、広い空間が見えてきた。


 扉の先には、野球場ぐらいの広さのドーム型の空間があり、そこに武装したゴブリンたちが居た。


 扉が開いたことに気づいたゴブリンたちは、まるでベテランパーティのような滑らかさで素早く陣形を組んだ。


 前衛に大きな鉄製の盾を持ったシールドゴブリン。そのすぐ後ろには剣を持っているソードゴブリン。後衛には弓を構えたアーチャーゴブリンがいる。それぞれ2体ずつ、計6匹のゴブリンの進化個体がこちらに向かって武器を構えている。


 向こうもやる気満々って感じで殺気をヒシヒシと感じる。

 よし! 始めるか!


 「メル!」

 「うん! いっくよー!」


 ヴァンから合図を受けた陣形中央にいるメルが作戦通りに先制攻撃を仕掛ける。


 「くらえ! ロックバスター!」


 メルの構える杖の先端に直径2メートルほどの巨大な岩が出現し、ゴブリンたち目掛けて放たれた。


 土属性中級魔法・ロックバスター

 小石を飛ばす土属性初級魔法トスストーンの上位版で、直径数メートル級の大岩を放つ魔法だ。俺もまだ習得していない魔法でもある。


 同じ新人ガーディアンの魔法使いであるシエルはまだ中級魔法を1つも覚えていないが、実はメルは中級魔法を既に複数習得している。伊達に未来の大魔法使い(自称)を名乗っているわけではないようだ。


 「「ギギャアア!?」」


 メルの放った大岩はゴブリンたちの陣形中央目掛けて飛び、いきなりの先制攻撃に慌てたゴブリンたちはこちらの狙い道理に左右にばらけた。


 「今だ! 行くぞレイ、メル!」

 「ああ!」

 「まっかせて!」

 「俺たちは左に!」

 「行きましょう!」


 俺たちは二手に分かれ、右に散ったゴブリンの方にはヴァン、レイ、メルの3人が。左のゴブリンの方には俺とシオンが向かった。

 俺たちが向かった左側にはシールドゴブリンが1体にアーチャーゴブリンが2体。いい感じにばらけたな。


 今回立てた俺たちの作戦はこうだ。

 まず、メルのロックバスターで敵の陣形を崩す。ゴブリンが散った所で俺たちも二手に分かれてゴブリンたちが体勢を立て直す前に一気に攻め立てる。


 相手が陣形を組んで攻めて来るなら、先制攻撃で陣形を崩してこちらの流れに持ち込もうという作戦だ。


 二手に分かれる分こちらのリスクも増すが、このゴブリンたちはパーティを組んでいるからこそ強い。そこを崩せば個々の強さは今の俺達でも十分通用するレベルだ。


 「ギィ!」


 俺とシオンの接近に気づいたシールドゴブリンが自分の後ろにいるアーチャーゴブリンを守ろうと盾を構えた。


 「シオン! あのゴブリンの相手を頼む! 倒せなくてもいいから足止めしてくれ!」

 「はい!」


 俺の後ろを走るシオンがすぐさまシールドゴブリン目掛けて矢を放った。弓使いのシオンとシールドゴブリンでは相性はあまり良くないが、足止めぐらいなら問題ないだろ。


 俺はシオンの矢を盾で防いでいるシールドゴブリンの脇を通り過ぎ、後ろのアーチャーゴブリン2体へと迫った。


 自分たち目掛けて接近してくる俺に弓を構えるアーチャーゴブリンたち。すぐさま俺目掛けて2本の矢が飛んできたが。


 「アースウォール」


 土属性中級魔法・アースウォール

 地面の土を隆起させ、敵の攻撃を防ぐ土壁を作り出す魔法だ。


 土壁で矢を防がれたアーチャーゴブリンたちは次の矢を構え、俺が土壁の左右どちらかから出て来るのを待ち構えた。が、残念。俺が攻めるのは上からだ。


 土壁を足場にして上空に飛んだ俺は、初めて習得した足技系のアーツを発動した。

 上空から敵目掛けて放つ高速飛び蹴り。その名も。


 「ダイナミックストライク!」  


 某日曜朝の仮面ヒーローの定番必殺技に近いモーションでアーチャーゴブリンに急接近し、胴体を蹴り抜いて地面に着地。


 残ったもう一匹のアーチャーゴブリンが慌てて俺目掛けて弓を構えるが、接近戦は俺の十八番。相手が弓を引くよりも早く俺の右アッパーが顎を撃ち抜いた。


 「よし!」


 順調に2匹倒せたな。残るはシールドゴブリンだが。

 

 「ターンショット!」

 「ギイイイ!」


 俺が後ろを振り向くと、シオンの放った矢が弧を描くように急カーブして、盾を構えていたシールドゴブリンの側頭部に突き刺さった。弓のアーツにはあんなものもあるのか。


 足止めどころか1人で倒してしまったシオンに俺は心の中で謝罪しておいた。

 

 さて、こっちは無事終わったが、向こうの3人はどうなっているかな?


 岩の向こう側を覗いてみると3人は三角形の形に陣形を組んで戦っていた。


 2匹のソードゴブリンとヴァンとレイが激しく打ち合いをしている後ろでメルが魔法の発動準備をしている。


 1匹だけいるシールドゴブリンは、邪魔になると判断したのかソードゴブリンたちの後ろで大人しくたたずんでいる。

 

 ヴァン達にとくに怪我などは見受けられないが、ソードゴブリンの方は既に満身創痍といった感じだ。これなら余計な手出しをせずにいつでも動けるように待機しておいた方がいいかもしれない。


ちなみにシオンは俺の後ろの方で矢の回収をしている。シールドゴブリン相手に矢を使い過ぎたようだ。


 「ソイルスモーク!」


 魔法の発動準備が済んだメルが、ヴァンとヴァンが相手をしているソードゴブリンに向けて魔法を発動した。

 ソイルスモークは土属性初級魔法で土煙を起こす魔法だ。


 火属性初級魔法にはソイルスモークと似たスモークスクリーンと言う魔法があるが、スモークスクリーンは割と広範囲に煙を出すのに対して、ソイルスモークは煙の量が少ない。


 そのためあまり使われることのない魔法なのだが、今回メルはその範囲の狭さを生かして、近くで戦っているレイに影響しない狭い範囲でヴァンたちを煙で包んだようだ。


 事前にメルから合図を受けていたヴァンは、突然の土煙に驚いているソードゴブリンを上段から切りつけてとどめを刺した。


 ソイルスモークで魔力を使い果たしたメルは、杖にもたれ掛かってなんとか倒れないようにその場に踏ん張っている。

 そんなメルを心配したヴァンが一声かけようとしたその時。


 「ギギィ!」

 「うわあ!」


 後ろで待機していたシールドゴブリンが、盾を構えて後ろからヴァンに体当たりしてきた。

 吹き飛ばされたヴァンだが、ちゃんと受け身はとれたようであまりダメージを受けている様には見えない。


 だが、シールドゴブリンの狙いはヴァンではなかった。

 ヴァンを吹き飛ばしたシールドゴブリンは勢いそのままに後方にいるメルに向かって行ったのだ。


 「メル! 避けて!」

 「ちょ、動けないって」


 ヴァンが急いでメルに警告を飛ばしながら後を追ったが、追いつけそうにない。

 立っているのがやっとのメルも、足が生まれたての子鹿のようにガクガク震えていてその場を動けない。

 これはまずい!


 「サンダームーブ」


 雷属性中級魔法・サンダームーブ

 雷の速さで高速移動できる魔法。直線的にしか移動出来ないのと、体に負担がかかるデメリットがあって、俺みたいな肉体派魔法使いしか習得しない魔法でもある。


 これでメイギス様から貰ったMDで習得した魔法とアーツは全部使ったことになるな。

 土属性中級魔法のアースファール。雷属性中級魔法のサンダーブレイクとサンダームーブ。そして初めて習得した足技系アーツ、ダイナミックストライク。

 

 アースファールで初めて防御系魔法を習得出来たし、サンダーブレイクはサーペントフレイムを上回る俺の最高威力の魔法で、必殺技と言っていいほどの力がある。

 俺の魔法のレパートリーも大分充実してきたな。


 サンダームーブでシールドゴブリンとメルの間に滑り込んだ俺は、両手を交差させて盾の突進を正面から受け止めた。


 「ぐっ! おらあ!」


 手にかかる強い衝撃に耐え、俺はシールドゴブリンを弾き飛ばした。

 姿勢を崩され無防備になった所を後ろから追っていたヴァンがすぐさま首をはねて仕留めてくれた。

 ふう。なんとか間に合ったか。


 ヴァンの後ろの方に視線を向けると、ちょうどレイの槍がソードゴブリンの胸を貫通していた。

 あっちも無事勝利できたようだ。


 「ありがとうございます。ソーマさん」

 「おう。気にすんな」


 俺とメルはお互い息が切れ切れだ。

 盾を受け止めた時の衝撃で両腕がしびれちまった。

 俺とメルは同時に地面にへたり込み、安堵の溜息をついた。


 そんな俺たちの前では、念願のフロアマスター討伐を喜ぶ、ヴァン・レイ・シオンの3人が勝利の雄たけびを上げていた。

 元気だなあ、あいつら。

 


 


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