暴行及び監禁
最近仕事の方が忙しくなってきており、週2回の投稿も難しくなってきました。
5月半ばまでは仕事が忙しい時期が続くので、しばらくの間は投降を休む日が増えると思います。
主に金曜の投稿を休むことが多くなると思います。最低限月曜日の投稿だけは休まずに続けたいと思っております。
どーしよー!? キャロスティがギルドマスターに喧嘩吹っかけてるよ!
いくらいけ好かない奴でも、相手はギルドマスター。現役のガーディアンである俺たちの上司に当たるような役職なのに。
「あなたはガーディアンを何だと思っておりますの!」
「チンピラの類だろう?」
「ならあなたはそのチンピラの親玉ということになりますわね?」
「何だと!? 貴様!」
うわあー。どんどんエスカレートしていってるよ。
頼むからキャロスティ、それ以上挑発しないでくれ。
「お、おいソーマ? どうすんだよ!? キャロスティの嬢ちゃんがアヴァルに喧嘩売ってんぞ」
「どうって言われてもねえ」
俺の隣ではハバキさんが動揺している。
というかギルド内にいるガーディアン全員が動揺している。
二ドル伯爵からは、それとなくアヴァルの情報を集めるように言われているし、今騒ぎを起こすのは流石にまずいよなあ。
ここは俺が間に入って上手く取りなすしかないか。
行きたくはないが、俺は言い合いをしているキャロスティとアヴァルの元へと近づいた。
「貴様、誰に文句をっているのか分かっているのか?」
「分かっているからこそ怒っているのですわ! ギルドマスターなら、自分の役職に恥じない言動を心がけるべきでしょう」
「まあまあ、キャロスティ。落ち着いて」
「ソーマ!? あなた、向こうの肩を持つのですの?」
アヴァルへの怒りでキャロスティは完全に昨日の二ドル伯爵とのやり取りを忘れてしまっているみたいだ。
俺はアヴァルにバレない様に小声でキャロスティに話しかけた。
(昨日の話を忘れたのか? 二ドル伯爵の準備が整うまでは大人しくしていないとダメだろ)
(ですが、この男のせいで困っている人たちがいるのに、見逃すなど出来ませんわ)
正義感の強いキャロスティは、一刻も早くアヴァルをどうにかして、ガーディアンギルドを本来の状態に戻したいらしい。
気持ちは確かにわかるが、アヴァル本人に文句を言うだけじゃあ現状の回復は望めないだろう。
「おい! 何だ貴様、この無礼な女の仲間か?」
「ええ、はい。そうです」
「この私に盾突いて、無事で済むと思うなよ!」
「そ、そこをなんとか。穏便に済ませてもらえませんか?」
俺はキャロスティを無理やり後ろに下がらせて、どうにか穏便に話を進めようとアヴァルとの交渉を始めた。
俺の後ろではまだキャロスティが色々と文句を言っているが、ハバキさんが来てくれてキャロスティを強制連行してくれた。
ナイス! ハバキさん!
「キャロスティには後でちゃんと言って聞かせますので、どうか広い心で穏便に済ませてもらえませんか?」
「あの女とは違って、貴様は話が出来そうだな。だがもう遅い。あの女は私を怒らせた。穏便に済ませることなど出来ん!」
「お願いします! どうにか、どうにか穏便に!」
必死に頭を下げて詫びる俺をアヴァルとその取り巻きの女たちは楽しそうな表情で見下してくる。
正直、めっちゃむかつくが、ここで手を出すわけにはいかない。どうにかして穏便に片付けないと。
必死に謝罪する俺を見て溜飲が下がったのか、アヴァルが妥協案を出してきた。
「貴様のその情けない姿に免じて、今回の件を忘れてやってもいいぞ。ただし、条件を飲んだらな」
「どのような条件でしょうか?」
「あの失礼な女、キャロスティとか言ったか? 言動は気に食わんが、見た目は悪くない。あの女を一晩俺によこせ。たっぷり調教してやる。それで今回の件を忘れてやろう」
アヴァルはハバキさんに取り押さえられているキャロスティの、主に胸を見ながらそう条件を出してきた。
すんごい下心丸出しないやらしい目つきでキャロスティを見ている。
「お前たちもあの女を調教したいだろう?」
「ええ。アヴァル様に盾突く愚かな女を、アヴァル様の従順な奴隷に調教して差し上げたいですわ」
「ああいう気の強い娘を屈服させるのは最高に楽しいでしょうね」
アヴァルは取り巻きの女たちとキャロスティでどう楽しむか、下世話な会話をし始めた。次から次に出て来る聞くに堪えない下劣な提案やプランを聞いているうちに、俺には目の前にいる奴らが人間から醜悪な豚に見えてきた。
ああ、なんで俺こんな奴らに頭なんか下げてんだろ。
こいつらとまともに交渉しようとするのが段々馬鹿らしくなってきたな。
楽しそうにくだらない会話を続けているアヴァルたちを見ていると、なんか色々どうでもよくなってきた。
「おい、返事はまだか? どうせ貴様に選択肢などないだろうがな」
「俺からの返事はこれです。おらあ!」」
「ぐふぉお!」
俺に殴られて盛大に吹き飛ぶアヴァル。
しゃあ! やってやったぜ! 顔面殴ってやったよ!
突然のことに、何が起きたのか理解できずにギルド内にいた全員が固まった。
吹き飛んだアヴァルはギルドの壁にめり込んだままピクリとも動かない。
まあ、死んではいないだろう。たぶん。
「おいいいいい!? 何やってんだソーマ!?」
「ナイスですわ、ソーマ!」
何が起きたのか理解したハバキさんからは苦情が。キャロスティからは称賛の声が届いた。
とりあえずキャロスティに向かってサムズアップしておいた。
「きゃあああああ!! アヴァル様アアア!!」
「アヴァル様!? アヴァル様!?」
アヴァルの取り巻き女たちが、壁にめり込んでいるアヴァルの元へと走っていった。
急いでアヴァルの足を引っ張り、アヴァルを壁から救出している。
助け出されたアヴァルはすぐに意識を取り戻し、俺を睨みつけてきた。
「貴様あああああああ!! こんなことをして、ただでじゃ済ませ」
「ファイヤーボール」
「あっちいいいいいい!!!」
「アヴァル様あああ!」
ハハハハハハ! 顔面にファイヤーボールを食らわせてやったぜ。まあ、一応手加減はしておいたけど。
痛みで悲鳴をあげているアヴァルを、多分俺は今すごくいい笑顔で見ているんだろうなぁ。
にしても、やっちゃったなあ。これからどうしたものか。
「き、きじゃま! 許ざんぞ! ころじでやる!」
痛みのあまりか、アヴァルは呂律すら回らなくなってきたみたいだ。
んー。でも、本当どうしようかな?
とりあえず、こうなったからにはアヴァルも取り巻き女たちも逃がすわけにはいかないからなあ。
・・・・・気絶させておくか。
「ま、まで! ぐるな。こっちにぐるなああああ!!」
「こ、来ないで! あっち行って!」
「私は嫌々従っていただけよ! だから助けて!」
俺が一歩近づくたびに悲鳴や命乞いをするアヴァルたち。
大丈夫だよ~。殺したりしないから~。気絶させて地下の訓練場に監禁するだけだからさあ。
「サンダーショック」
「ぎゃびい!」
「きゃああ!」
ふう。これで逃げられる心配はなくなったな。
俺は足元で気絶しているアヴァルたちから視線を外し、キャロスティたちに向き直った。
「これからどうしよう?」
「お前なあ」
俺の無責任な発言に呆れるハバキさん。
とりあえずアヴァルたちは縄でぐるぐる巻きにして闘技場の隅っこに放置した。
そして、今更ながら気づいたけど、ガーディアンギルドのギルド職員にも俺の所業を思いっきり見られてた。
ギルド職員のことを完全に忘れていた俺が、アヴァルたちを放置して地下訓練場からギルドの一階に戻ると、なんとギルド職員一同が拍手で俺を迎えてくれた。
話を聞くと、ギルド職員たちもアヴァルの横行には困り果てていたらしい。
何度もアヴァルのことをガーディアンギルド上層部に報告しようとしたらしいのだか、そのたびにカスカロフ子爵に妨害されていたらしい。
ちなみに、アヴァル同様カスカロフ子爵に取り入って甘い汁をすすっていたサブマスターの男は、俺のことをカスカロフ子爵に報告しようとしたところを、ギルド職員一同が袋叩きにしたらしい。
俺とすれ違うように縄で縛りつけられた、顔面が酷くはれ上がっている男が訓練場に運ばれていった。
あれがここのギルドのサブマスターらしい。もはや元の顔が分からん。
俺よりギルド職員たちのほうが容赦なかった。
-----
「ではこれより、第一回・ギルドマスターぶっ飛ばしちゃったけどどうしよう会議を始める!」
やってしまったものは仕方ないと開き直って、ギルド職員も含めたギルド内の全員で話し合いをすることになった。
「ギルド職員としては、アヴァルたちのしでかしていたことを上層部に報告したいのですが、アヴァルを捕えてもカスカロフ子爵の妨害が無くなるわけでないないので報告は難しいでしょう」
「アヴァルたちを締め上げてカスカロフの情報を聞き出そうぜ? きっとカスカロフが不利になるような情報いっぱい持ってんだろ」
「今職員数人がギルドマスターの執務室を漁っている所です。カスカロフ子爵の悪事に関する書類が出て来るといいのですが」
「そっちも重要だけどよ。ようやくアヴァルが消えたんだから、一刻も早くギルドを通常業務に戻そうぜ? 今までアヴァルのせいで断ってきた依頼が溜まってるだろ?」
「その問題もあったな。あー、しばらく忙しくなりそうだ」
みんなであーでもないこーでもないと話し合いを続けていると、俺が今一番合いたくない人が向こうからやってきた。
「なにやら賑やかですね。ソーマ殿?」
「げ! 二ドル伯爵様!?」
「あなたとキャロスティさんに付けておいて護衛から大体の事情は聴いていますよ。まさか初日でいきなり問題を起こすとは」
全部バレてるー!?
二ドル伯爵は穏やかな表情で笑っているが、全身から怒りのオーラが漂っていた。
「申し訳ありませんでしたああ!」
「いえいえ。謝らなくて結構ですよ。その分きちんと働いてもらいますから」
「え? 働く?」
「とりあえず、ソーマ殿にはギルドマスターとサブマスターへの暴行の罪で私の屋敷の牢屋に入ってもらいますよ」
「えええええ!?」
なんでサブマスターまで俺のせいになってんの!?
俺が混乱していると、二ドル伯爵のうしろから常駐軍の兵士が出てきて俺を拘束してきた。
俺は助けを求めてうしろにいるみんなの方を見た。
全員、俺と視線が合わないように顔を反らしやがった。
つーか職員ども! サブマスターをボコボコにしたのはお前らだろうが! 顔反らしてんじゃねえ!
「では、行きますよ」
「嫌だあああ! 半分冤罪じゃねえかあああ!」
誰か弁護士を呼んでくれええ!




