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ロストメモリー  作者: 島山 平
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山岡有紀子の日記(8) 六月十八日 (金)

 明日になれば、アピタでの仕事が始まる。これまでもやってきていたはずなのに、やっぱりちょっと不安。他の人のことを覚えてないからかな。

 お母さんが帰って、家の中はわたし一人だけ。それこそずっとそうだったのに、まさかこんなに寂しくなるなんて。いつでも帰って来なさいってお母さんに言われて、絶対ありえないって思ってたのに。正直、今なら帰ってしまってもいいかなって思う。それくらい寂しい。お母さんは最後までわたしのこと心配してくれて、明日の夕飯まで作ってくれた。自分があんな『母親』って生き物になれるかわかんないけど、世の中のお母さんたちは、みんなあんなもんなのかな。だとしたら、全員尊敬するレベル。

 そもそも、母親にならなきゃいけないわけで、そのためには相方が必要じゃん。中村さんとはラインのやり取りが続いてるし、新しい携帯には、お母さんと中村さん以外、ほとんど誰とのやり取りもない。女の友人関係って、こんなにも薄っぺらいんだな。わたしが事故で入院してたことすら知らないと思う。知らせようって気がないから、私も人のこと悪く言えないか。

 中村さんから教えてもらって、アピタのことはけっこう把握できているはず。サービスカウンターの人の名前も聞いたし、仕事の復習もできた。明日アピタに行っても中村さんがいる。ときどき様子を見に来てくれるっていうから、心配ないのかも。そもそも、心配なんてする必要ないんだけど。

 このまま、中村さんとの関係がうまくいったら・・。今度こそ、幸せになれるかもしれない。今までの恋愛はさんざんだったし、いっぱいツラい思いもした。最近だって、最悪の経験をしたばっか。でも、中村さんとの関係がうまくいけば。ぜんぶ、チャラにできる。もう一人で寂しく生活する必要もなくなる。お母さんを不安にさせることもなくなるんだ。娘の結婚は、最大の親孝行になるっていうし。いっちょガンバってみるかな!

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