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ロストメモリー  作者: 島山 平
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山岡有紀子の日記(5) 六月十五日 (火) 

 再検査して、問題なかった。体に問題ないのは自分でもわかるしし、頭もハッキリしてきた。思い出せないことも多いけど、入院する必要はなくなった。

 もう大丈夫! 

 明日退院して、仕事は今週末からになった。ほんとに、中村さんが色々助けてくれている。アピタのことでいっぱい不安があったのに、彼のおかげでなんとかなりそう。ラッキー! そして中村さんありがとう!


 なんだか、気分がとってもスッキリしてる。頭はぼんやりなのに不思議な感じ。大きな仕事を終えた後っていうか、これからに向かってがんばれる気がする。色々あったし、将来について考え直したとこもあるけど、必要な遠回りだったかも。事故のことは忘れて、アピタでがんばってこ!

 

 中村さんが連絡先を教えてくれたんだけど、これってどういうこと? 期待しちゃっていいのかな? 今日はお休みだったみたいで、わざわざケーキまで持ってきてくれたし。明日の退院をお祝いしてって。看護師さんにはナイショにしなくちゃねって、わたしは糖尿病で入院してるんじゃないんだけどなぁ。でも、そんなオチャメなとこも可愛いし、何より、気遣いが嬉しい。そこまでされたら、意識しちゃってもしょうがないよね。仕事に復帰したら、もっと会える時間が増えるのかな。ドキドキしちゃったりして。

 独身って言ってたし、今度こそ、ちゃんとした恋愛ができるのかもしれない。お母さんが病室に来てるときに、鉢合わせなくてよかった。お母さんのことだから、勝手に変な勘違いとかしちゃうはず。中村さんとは、ゆっくり親しくなっていくのが正解だと思う。焦らずに、このチャンスをものにすればいいかな。

 それに、お母さんがきいてきた。成田さんとはどんな関係?って。

 彼のことはそんなに詳しくないし、たまたまタクシーが一緒だっただけなのに。あやうく、成田さんに突撃しちゃいそうな勢いだった。確かにカッコいいとは思う。ただ、静かだしよくわかんない。最近も病室に来てくれるけど、わたしを見ると悲しそうな顔してる。別に、同じタクシーに乗っていただけなんだから、責任を感じる必要はないのに。優しいんだろうな。でもなんかちょっと違うかもって感じ。昨日はついにほとんど会話がなかったし、もう会いに来てくれることもないかも。どうせ退院しちゃうし、それも必然って感じかな。

 この病室で泊まるのも今日が最後。おじさんのいびきはうるさかったし、おばさんのお見舞いにくるお友達のおばさんたちはうるさかったけど、そんなにイヤじゃなかったな。ケンタくんが可愛かったからかもww。最終日だし、お世話になった佐藤さんともお別れ。何回か来た刑事さんは、これからは家にも来るのかな。わたしが話せることは全部言ったし、事故のことは忘れたいくらいだけど。運転手さんが死んじゃったとはいえ、別に殺人事件ってわけじゃないし、わたしが話せることはありませーん。交通課の人たちにがんばってもらえばいいや。


 明日は家のベッドで寝られるー。おいしいご飯も作ってもらえるー。お母さんの小言くらい、我慢してあげよっかな。

 それではみなさん、さようならww。

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