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ロストメモリー  作者: 島山 平
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山岡有紀子の日記(4) 六月十四日 (月)

 今日の検査が終わって、明日になれば退院できるって言われた。よかった、いつまでも入院しているわけにはいかないから。働かなきゃいけないし、ここにいたって頭が元気になるとも思えない。怪我は治ってる、もうイヤってほど検査もした。後遺症もないって言われて、正直ちょっと安心。

 事故のことは、だいたいわかった。お母さんとか刑事さん、それに成田さんから教えてもらえた。あの日、わたしと成田さんは偶然出会って、タクシーに相乗りしたみたい。あんなにカッコいい人と一緒にいたなんて、当時の自分が羨ましい。なーんにも覚えてないのがもったいないな。

 成田さんはアピタの清掃員として働いているみたいで、わたしとも顔見知りだった。目的地の方向が同じだったから、一緒にタクシーに乗ることにしたんだって。そのせいで二人ともこんな目に遭ったんだから、不運としか言いようがないかも。わたしたち、相性がよくないのかもなー。一緒にいたら二人とも不幸になっちゃいそう。

 もうすぐ最後の検査が始まるー。さっさと終わってー。



 退院が先延ばしになっちゃった。検査中にまた頭がクラクラしてきて、念のためにもう少し・・って。この湿っぽい病院には飽きてきたんだけどな。何かあったら大変でしょ!って、お母さん大げさすぎー。


 退院した後も、アピタで働かせてもらえるみたい。中村さん、すっごく優しくてステキ。独身なのかな? ちょっとだけ気になる。アピタの人のことを色々教えてくれるんだけど、名前とかもあんまり覚えてない・・。工藤さんって、サービスカウンターにいたのかな。仕事内容のことはハッキリ覚えてるのに、人のことになるとなぁ。変な感じ。せっかく復帰しても仕事できなくてクビ、とかはイヤだから、がんばって思い出しとこ!

 それに、仕事がクビになったら、ぜったいお母さんが実家まで引っ張ってくはず。お見合いとかさせられて、無難な人と結婚させられちゃう。でもまぁ確かに、わたしもそろそろ結婚しないとヤバいかも。三十も見えてきちゃったし、あんまりのんびりしてる場合じゃないかも。そういう意味じゃあ、中村さんはどうなんだろう。よくお見舞いに来てくれるし、きらわれてるってことはないはず。もしかしたらいけちゃうかな?

 この日記、見られないように気をつけとこーww。

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