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ロストメモリー  作者: 島山 平
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交換日記(9) 六月八日 (火)

 感謝しかありません。本当に、受け入れてもらえて嬉しいです。ありがとうございます。

 ボクが何日も引っ張った『秘密』というのが、両親の生い立ちに関することだったのは意外だったかもしれませんね。ボク自身に関する何かだと思ったはずですし。でも、ボクとしては、両親の生い立ちはボク自身に関することでもあります。自分がどこの誰の子孫なのか。もしかすると、とんでもない誰かの血を受け継いでいるかもしれないわけですから。逆に考えれば、素晴らしい一族の末裔なのかもしれないけれど、そんな家系の人たちが、子供を捨てるはずもないですし・・。考え出すと、なかなか難しい問題ですね。

 お話しした通り、両親は二人とも施設で育ちました。物心つく前に親に捨てられて、それぞれ別の施設で育ったと聞いています。ボク自身、あまり深くまで教えてもらっていませんし、その必要もないかなと考えています。二人にはしっかりと育ててもらいました。本当に感謝しているし、幼い頃から、友達にも自慢できる両親でしたから。


 ただ、その事実をボクは受け入れられても、恋人である有紀子さんにはどうなんだろう・・という不安がありました。有紀子さんはボクの恋人で、ボクのことは好きになってくれたけれど、ボクの両親のことは話が別ですよね。その二人が施設育ちだとか、誰の子供かもわからないというのは、もしかすると受け入れ難い事実かもしれない。そう思って、不安に感じていました。有紀子さんとは、将来的なことも考えているので。

 でも、無事に受け入れてもらえてよかった。ホッとしている、というのが正直なところです。

 有紀子さんの気持ちとしては、もしかするとモヤモヤしているところもあるのかもしれません。複雑な感情で、頭では理解しても感情的には・・というように。それでも、有紀子さんが受け入れると言ってくれたことが嬉しくて、その心の強さに感動しています。有紀子さんと出会えてよかった。心から、そう思います。

 有紀子さんはボクの内面を好きになってくれたんだから、それほど心配する必要はなかったのかもしれない。家柄とか、そんな俗物的なことは気にしない人なのだと、最初から信じればよかった。むしろ、そういったことを気にしすぎていたボクの方が謝らなければならないのかもしれませんね。余計な不安を感じたりして、本当にすみませんでした。

 でも、これでスッキリしました。安心して、有紀子さんと向き合うことができます。明日は一日中デートできるし、映画を見に行くのも楽しみです。もう何にも怯えることなく楽しめると思うので、思う存分、はしゃいじゃおうと思います 笑。


 昨日、有紀子さんが書いてくれた日記も読ませてもらいました。有紀子さんの御両親が離婚されて、お母さん一人に育ててもらったっていう。

 それを教えてもらえて、ボクは嬉しくなりました。そんな大切なことを、ちゃんと話してもらえたことがです。こちらとしては何も気にしないし、むしろうちの親にも色々あったし。有紀子さんも書いていましたが、お互い、余計なことを気にしすぎていたみたいですね。片親だとか、施設で育てられたとか、そんなことはどうでもいいって思います。有紀子さんは立派に生活していて、むしろお母さんに感謝しなくちゃいけないくらいですし。

 でもきっと、昨日の日記を書くのは勇気がいったと思うんです。ボクがなかなか伝えられなかったように、有紀子さんも、伝えたら嫌われるんじゃないか・・みたいなことを考えていたみたいですしね。でも、全然問題ありません。お互い様だし、お互いに正直に話せてよかった。もう、隠し事も何もない。迷わず、二人で進んでいけます。


 本当に幸せなので、こんな時間 (十一時半) ですが、長々と書いちゃいました。幸せなまま眠って、明日のデートを楽しむ気満々です 笑。さっき、有紀子さんから『おやすみなさい』ってラインがきたので、もう眠っちゃってるかな?

 それでは、こちらからも、おやすみなさい。

 明日は有紀子さんを楽しませてあげるんだぞ! 気合い入れろよ! 成田賢太郎!

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