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スノーフォール市街戦 2
「こんなのはおかしい」
後ろを振り返る。寒さに体を震わせながら、下士官に背中を向けて蹲る捕虜がいた。彼を何度も何度も殴りつける下士官を注意する者はいない。それが日常で誰も疑問をもっていないのだろう。
この戦争に栄光や名誉といったものは存在しない。いや、この世に存在するあらゆる戦争に名誉なんて高尚なものは存在しないだろう。もし名誉や誇りをもって戦争する者がいrのだとしたら、それは幻想でただの勘違いなのだとライアン少尉は胸の内で激しい無力感と言ってやりたい言葉を出せずにいる自分への腹立たしさを隠しきれなかった。
「あんな奴でも、ここにくる前はまともだったのかもな」ローガンが言った。
「だからなんだと言うんだ。許す器量もない人間には人を幸せにできる力もない。敵国の捕虜だからとか、そんなくだらない事が許さない理由にはならないんだ」ライアン少尉が言った。
「ああ、分かってるよ。今は戦争中でここは前線だ。誰のために何をするのかなんて考えてる奴はいねえよ」
ローガンを少しだけ睨むもすぐに無意味だとライアン少尉は悟った。彼の言い分も理解できたから、ライアン少尉は報告書が映し出されたモニターの電源を落とし、前線へ向かう。




