第三十六話 色々と測定する
2016/02/03 誤字表記がありましたので修正しました
2016/02/01 誤字等のご指摘を受けましたので修正しました
2016/01/27 誤字等の指摘がありましたので修正しました
表記ミスがありましたので修正しました
2015/09/11 誤表記等修正しました。
2015/12/10 章番号、章表記、内容修正しました
この集落というか、この町では人々が町中で活動するのは大体九時頃から。当然その時間になると、色々なお店にも人が来るようになる。
一般的な商いを行う人たちの起床は、概ね八時から九時の間。起床時間が普通の人たちより早いのは、当然お店の準備があるから。
昼頃にお店で販売する道具の入荷があるそうだ。なのでその時間はそれなりに忙しいらしい。入荷するのは大半がエルフの造った製品で、一応他にも多種族が作成した道具もあるそうだ。まあ、一つの種族だけで全てがまかなえるとは思えないしね。
もちろん大通りに面したお店だけあって、買い物客も多い。ほとんどはエルフなんだけど、そこそこ他の種族も来るらしい。当然お店だから種族限定って事もないみたい。
ペッレルヴォさんが今日の大まかな予定を朝食を摂りながら説明している。朝食時にその日の予定を確認するのがいつもの事で、今日は僕らも加わったので、少し丁寧に教えてくれているらしい。とはいえ前日の単位などの事もあり、正直理解できていないと思うんだけどね。
言語自体はあまり変化はないみたいだ。若干方言のような言葉もあるみたいだけど、理解できないという程でもない。それを考えるとやっぱり千四百年も経過しているのか疑いたくなる。
今日は、ヴィルマさんが僕らに色々教えてくれるらしく、まずは集落の案内と、町の中心部を案内してもらう事になった。
出かける時にちょっと驚いたのは、刀身が百尋あるという刀を腰に付けだした事。若干刀身が湾曲しているので、刀であっていると思う。鞘ごと持たせてもらったらかなり重い。しかもヴィルマさんは女性だし、兵士とか武士でもない。なぜ刀なんか必要なんだろう?
「これを腰に付けている時は、誰かを護衛しているって事なの。まあ集落で私を襲ってくるような人はいないけど、町の中心部には変なのもたまにいるから。護身用よ」
護身用にしては十分すぎる武器だと思う。聞いたら太刀と呼ぶらしいけど、太刀ってこんなに長かったっけと思う。実際刀身と握りを含めると僕の胸くらいまである。はっきりと覚えていないけど、この長さでは別の名前になったような気がした。前世でどこかの博物館で見た記憶でしかないし、一度しか見た事もないので断言できないけど。
しかも彼女は、それをいとも容易く扱っているので、間違いなく扱いには慣れている。実際に誰かを切ったり、魔物などを倒したかどうかまでは分からないけど、少なくとも脇から抜いたりするのは何の苦もなくやっていた。僕よりも若干背が低いのに、簡単に扱っているのだから、それなりに訓練しているのは間違いない。
エリーの方はもっと驚いたみたいで、そもそも湾曲した刃を見た事がないらしい。実際こっちに生まれてから見たという意味では、もちろん僕も初めてなんだけど。なので僕もどこかで見た事がある気がするとだけ言って、間違っても刀とは呼ばないようにしている。変わった形の剣と言っておけば怪しまれないだろう。それに二人とも納得したようだったし。
ちなみに弓もあるらしいんだけど、聞く限りどうも日本の長弓に近い感じがする。男女関係なく、ある程度の年齢になると皆訓練を受けていて、刀と弓が使えるのは当たり前だと言われた。
集落の中を案内されながら、ヴィルマさんは色々と説明してくれている。でも僕の中では建物の方に気が奪われている。どう見ても屋根瓦とか漆喰を使った建物が多く、窓も時代劇に出てくるような江戸時代の蔵に似ている物がかなりある。基礎部分は石を何段か積み上げいて、見た目は日本の石垣に似ていたりする気がする。
もちろんヴィルマさんの説明もちゃんと聞いているけど、周囲にある道具なども和風の感じが多いし、何も聞かされていなかったら江戸時代にタイムスリップしたと言われても驚かないかも。唯一違うのが髪の色と丁髷がない事くらい。
端から見れば、日本好きの外国人の集まりと思われるのかな? なんて考えたりもしたけど、実際はここの人たちの文化であって、前世の日本など関係ないはず。それを思うとちょっと複雑な気持ちになる。
「クラウデアさんは特に男性ですから、早めに刀は購入した方がいいですね。エリーナさんは刀でも弓でも、まずは得意な方を試してみるのがお勧めです」
「えっとヴィルマさん。クラディでいいですよ。そっちの方が慣れているので。あと、僕は刀という剣……というか、剣に限らず武器類はまともに触った事すらほとんどありません。なので初歩的な事から教えてもらえると助かります」
実際、以前育ててもらった父に剣を少しだけ習ったけど、その時は木刀で小さい物だった。早くに魔法の訓練へ移行したので、それ以来本物の剣は触った事が数回あるくらいだ。当然この世界での剣の知識は皆無に近い。
「私もエリーでいいわ。クラディと同じく、私も武器は触った事もないの。どこかで教えてもらえたりするのかしら?」
「なるほど……では、今度近くの講習所に伝えておきますね。流石に素人が触ると危ないですから」
武器類をちゃんと紹介し、尚且つそれを早めに購入した方が良いと言うくらいだから、敵対心はないだろうと思う。どんな感情を抱いているかまだ分からないけど、敵対心があるのなら武器など絶対に触らせないはず。
「そうなると、鎧の方も考えないといけないわね」
「鎧? プレートメイルの類いですか? 私は見た事ないですけど……クラディは?」
「僕もないね。そういうのが必要な経験がないし。騎士が着ていたプレートメイルやチェインメイルとは違うんですか?」
もちろんヴィルマさんが言おうとしている鎧は、何となく想像がつく。ただ、どういった形かはまだ分からない。過去の日本に似ているからといって、全てが同じ訳でもないはずだし。
「丁度そこに防具関連を扱っているお店があるので、ちょっと案内するわ」
そう言われて入ったお店には、まさに日本風の鎧が並んでいた。僕らからすればかなりの量が置いてあるんだけど、お店としては小さい部類らしい。比較的汎用品を置くお店らしく、個別の受注生産のような事はしていないそうだ。どんな人でも扱えるという意味では、店の規模はともかく人気店の一つと教えてくれた。
「これが一番高価な部類で、一般的に大鎧と言われているの。値段は最低でも百円ね。普通買うとすればこの辺かしら」
案内された先にあるのは、おなかの部分だけを集中的に防護するタイプだ。確か日本史だと歴史的には、下級武士などが装着していたと思う。
「一般的と言っても、これだけで一円はするわ。それにこれはあくまで飾り用。実際はいくつかの素材を組み合わせるの。この展示品は普通の糸で編んでいるだけだけど、普通は魔鋼という金属を加工して、胸当てにしたりするわ。高級品だとオリハルコン製もあるわね。あとはミスリルなんかも高いわ。ミスリルだとお金さえ出せば糸のように細くして、これと似たようにも出来るから人気はあるけど、買うとなると十円は最低するわね。オリハルコンだと安くても五十円よ。このお店は基本現物で売る事が多いので、このままで使用する事が多いらしいけど。他のお店で部品の変更も可能だから、ここで最低限の物を揃えて、その後に色々と違う物を組み合わせる人もいるわね」
米の価格が一樽で一円。ちなみに一樽あると、大体一人暮らしなら一年くらい大丈夫らしい。てっきり米俵があるかと思っていたけど、そういった所が前世と微妙に違う。重さは聞いていないけど、確か一俵って前世の僕の時代では六十キロくらいのはず。時代や地域によっても異なるらしいし、そもそも今日食べた朝食のご飯の量を参考にして良いのか分からない。
「お米一年分で一円って言ってたわよね? じゃあ、ミスリルでも十年分の食費……買う人なんているの?」
流石にエリーも驚きを隠せない様だ。
「人気と言っても狩りを主に行う人たちだけよ。それに全部ミスリルにすると色映えが悪くなるって言ってたわ。色々な理由があるらしいけど、普通の人は買わないわよ。さっき言った魔鋼を所々に使った物が一般的。でもちょっと狩りをするくらいなら、それで十分よ。あとこれだけだと腕や足の防御がないから、普通はそういった物も頼むのよ。手の防御なら籠手という物があるの。あそこに展示している物よ」
ヴィルマさんが指さした先には確かに籠手がいくつか展示してある。
「コテ? ってなに?」
エリーは相変わらず分からないみたいだし、ここは僕も分からないふりをした方が良いと思う。
「私達の防具では、特に肘から手の甲を防御するための防具ね。まあすぐに必要になる事も無いはずだから、また今度防具については教えてあげる」
店内をサッと見渡すと、明らかに和風の兜もある。足の防具なども和風だし、この地域のエルフは前世の日本をどうしても彷彿とさせる。
防具の解説が終わり、所々の商店を簡単に案内される。流石に野菜や肉類は前世の名前とはだいぶ違うみたいだ。形も違ったり、同じ形でも見た事がない色もある。美味しいと言われたキュウリの様な野菜は、試食させてもらったらマンゴーの様な味がしたし、中の色はピンクだったりする。それにこれは野菜ではなくてフルーツらしい。
色々と案内をされているうちにお昼になった。
ヴィルマさんは普通に時計を持っていて、時計その物は安物なら五十銭で買えると言われた。少し前までは安くても十円くらいしたらしいんだけど、コボルト族が低価格化と簡易化に成功したらしい。流石に時計は皆必要としているみたいで、五十銭は安くないと思うけど、一円以上の時計は普通に買われているのだとか。
ヴィルマさんの持っている時計は二円三十銭だと言っていた。誕生日プレゼントで親からもらったのだとか。物としては高価だし、親からのプレゼントとしては納得?
ちょうどお昼時にエルフの集落と町の中心の境目だったので、先にエルフの集落の方でお昼を食べる事になった。
集落の入り口に近いからか他の種族もいるけど、それでも半数以上はエルフのお客さんだ。食事はステーキからうどんの様な物まで色々あるらしいけど、僕ら二人は体力を付けなきゃって言われて肉料理。
グリンブルペグという動物の肉らしいけど、見た目は豚肉に似ている気がする。価格は一食で五銭だけど、肉の量は手の平よりも大きくて、しかも分厚い。食べきれるかなと思ったけど、案外美味しくてすぐにお腹におさまった。肉料理では結構定番という事だ。
この町では集落ごとに味付けが違ったりはするけど、使う食材はほぼ同じらしい。たまに大型の魔物や、小型でも大量の魔物が手に入ると、それらも肉としてお店に並ぶのだとか。もちろん普通の動物を狩りで仕留めて、それも食卓に並ぶ。
「あ、そうそう。母さんから言われていたんだけど、このあと技量計測をしてもらうから。あなたたちだとステータスチェックというのかしら?」
「技量計測?」
何となく想像はつくけど、一応聞いておく。
「まあ、簡単に言えばその人の持つ素質とかそういったのを測って登録するの。この町の人は全員持っているわ。ちなみに私のはこれ」
差し出されたのは薄い金属板みたいで、色は銀色。表面に文字が記載されている。
「若い時は成長するけど、ある程度年齢を重ねると下がる傾向にあるわね。午後一時に予約しているって聞いたから、そろそろ行きましょう」
もしかして昔受けた魔力計測とか、その類いなんだと思う。気になったのは生命力や敏捷性など、以前は耳にしなかった単語が記載されていた事。あとどうもランクがある感じがする。はっきり見えなかったけど、何かでランク付けしているんだろう。
エルフの集落を出る時は門をくぐる。そこにはさっきの日本風の鎧を着た人たちが何人かいるけど、荷物のチェックなどはないみたいだ。それに入ってくる他の種族も、普通に通過するのを見ているだけ。
「集落というか、町の警備をしている人は共通の格好があるの。装備する武器や防具は慣れた物で構わないんだけど、装備するのは剣類ね。もちろんここだとエルフの集落になるから、剣ではなく刀になるんだけど。それと隣に小屋があるでしょ? あれが警備する人の待機所。剣以外に槍も認められているけど、普通は剣ね。これはどの集落も同じよ。それから剣や刀の鍔は色が決められていて、必ず赤なの。形は集落や持っている人によってだいぶ違うけどね。それと鞘も赤よ。赤の鞘を持っている人がいたら、警備の関係者と思った方がいいわ。まあ問題を起こさない限り、お世話になる事はまず無いけど。それから赤い鍔を警備の人以外が付ける事は禁止されているわ」
確かによく見ると、刀の鞘と鍔が赤い色をしている。でも確か日本刀だと鍔を外す事は出来なかったはずだけど……。僕の記憶違い? まあ、そもそも刀なんてそんなに詳しいわけでもないし。
「計測は町の中心で行うの。まあ、ちょっと水晶玉で計測するだけだし、すぐに終わるわ」
そう言われながら案内されたのは、教会の様な建物。ただしこれといって何かのシンボルがある訳でもない。入り口に『ステータスチェック所』と書いてあるだけだ。記載がなければ分からないと思う。
入り口から入ると、中は一本道の通路があって、両側に部屋がある。入り口の近くだけちょっと広くなっていたり階段があるけど、見た感じ宿屋と言われたら疑わなかったと思う。
「ちょっと待っててね。手続きしてくるわ」
入り口付近にはいくつも椅子があったので、僕らはそこに座って待つ事にした。ヴィルマさんが受付で何かしているみたいだけど、僕らには分からない事だらけなので、ここは任せるしかないだろう。
しばらくしてヴィルマさんが戻って来ると、そのまま奥の方に案内される。それぞれの扉には番号があり、僕らは九番の部屋に通された。
「まあ、すぐ終わるから緊張しないでね。とは言っても、初めてだろうしちょっと難しいかな?」
ヴィルマさんは、最初に僕を部屋の奥にある椅子に案内した。エリーは後ろにある椅子で待っている。
「クラウデア・ベルナル君で間違いないかな? それじゃあ計測するね。右手をその球体に置いて」
待っていたのは竜人族の人だ。多分男性だろう。球体は無色透明で、水晶に見える。
おとなしく球体に右手を置く。すると、すぐに球体が一瞬強く発光した。
「はい、終わり。すぐにカードを作るので、しばらく待って欲しい。待合室にいればいいから。次はエリーナ・バスクホルドさんの番だ」
球体は別の物に交換され、すぐにエリーは僕と同じように球体に触れる。僕と同じように強い光が出て、それで終わった。
「三十分程で発行出来るので、待合室しばらくお待ち下さい。今日はご苦労様でした」
あれで何を計測したのだろうと思いながら部屋を出て、先ほどの入り口付近で待つ事にする。先ほどいた場所がどうも待合室らしい。というか、単なるロビーのようにしか見えないけど。
待合室を見回すと、親子連れが多い。種族によって違うとは思うけど、多分四歳から六歳程度かと思う。
「あ、やっぱり気になる? まあ初めてだろうし仕方ないわよね」
ヴィルマさんは、僕が気にしている事が分かったみたいだ。
「基本的に計測は、生まれてから一度しか行わないの。まあ多少の例外もあるけど、気にする必要は無いわね。さっき見せたカードだけど、ミスリルで出来ていて、その人の身分証になるわ。種族や血液型、体力や魔力などが魔力で記載されているの。まあ、後で詳しい説明を受けるはずだし、身分証がないといざって時に面倒だからちゃんと作らないとね?」
確かに身分証は大切な物だ。さらに持っていない場合は、罰金を取られたり、場合によっては奴隷に落とされるらしい。奴隷に落とされるのは、かなり希な場合らしいけど。
ここでも奴隷に奴隷紋を付けるらしく、魔道具の焼き印が使われるのだとか。一度押されると、専門の治療師以外は消す事が出来ず、魔法で行動を縛られるのだとか。以前の事を思い出すので、それ以上は聞かない事にした。
それと、やっぱり種族による差別に近い物はあるみたいだ。
差別というよりは、仲が悪いと言った方が正しいのかもしれない。ただその理由は双方分かっていなかったりして、曖昧になっているという。ちなみにエルフ族の場合はコボルト族や妖精族――身長五十センチにも満たない、前世に絵や映画で見た様な人(ケットシーは妖精族の亜種とされているらしい。ただ身長は普通の人とあまり変わらない場合もあるそうだけど)、ウルフ族とは友好関係があり、仲が悪いのはオーガ族や竜人族、ドラゴン族など。中立的なのはオーク族やサキュリア族だそうだ。
それでもハンターなどの仕事をする場合は、種族別にという訳にもいかず、最初は同じ種族や友好関係にある種族で組む場合もあるらしいけど、大抵は種族に関係なくチームを作るらしい。
そんな説明を受けていると、僕らが呼ばれたみたいだ。ヴィルマさんを先頭に僕らは受付へ行く。
「保護者のヴィルマ・ルフタネンさんと、クラウディア・ベルナルさん。エリーナ・バスクホルドさんですね? 申し訳ありませんが、三番の部屋に行って頂けますか?」
受付の人に言われて、僕らは三番の部屋に行く事にした。ヴィルマさんはちょっと首をかしげている。
三番の部屋へ入ると、中には竜人族とエルフ族、コボルト族の三人が待っていた。三人とも男性で白衣を着ている。机が真ん中にあり、三人は奥の窓側、ドア側に三脚の椅子があった。真ん中にコボルト族の人、左に竜人族の人で、右側がエルフ族だ。
「呼び出して申し訳ないね。確か二人は、先日救出されたとかで。今はルフタネン家の人が保護者代わりでいいのかな?」
「ええ、そうよ。何か問題が?」
コボルト族の人がなんだか悩ましげにカードを見ている。多分あれがミスリルで出来た身分証だろう。
「どうしても確認したくてね。とりあえず座ってくれるかな。長くなりそうだし。こんなのは初めて見るから」
そう言われてヴィルマさんを中心に僕は右側、エリーは左側に座る。すぐに机へ二枚のカードが置かれた。
「ルフタネンさんは二人の事を聞いているのかな?」
今度はエルフ族の人。集会に出ていなかったのだろうか?
「君らの事は知っているが、私は仕事上出席出来なくてね。話は聞いていたけど、こんな結果とは思わなくて」
僕の前に出されたカードを見る。そこには僕に関する情報が記載されているようだ。
★クラウディア・ベルナル
(旧姓クロード・ジョロワフ・ベッケアート)
★年齢 一四五二歳
★種族 ハーフエルフ(エルフ七〇%・ウルフ三〇%)
★血液型 不明
●基礎体力 34
●限界体力 51
●生命力 102
●技量 205
●知識力 892
●魔力 296341
●魔法属性 水・風・土・火
・水属性 9999
・風属性 9999
・土属性 9999
・火属性 9999
●習得スキル
・高速演算 5
・俊敏性増加 2
・物品鑑定 4
・魔力増幅 5
・広範囲魔法 5
・魔法強化 5
・魔石鑑定 5
・魔法召喚 5
・魔法精錬 5
●賞罰 なし
●備考 転生者
「なにこれ……」
ヴィルマさんが驚きを隠せないでいる。すぐにエリーのカードも見て、同じように驚いていた。何か凄い事が記載されているんだろうか?
「体力と賞罰は問題ない。むしろ普通だと思う。しかしそれ以外はあり得ない数値だ」
エルフの人の声は、若干震えていた。
「前文明の生き残りと一応聞いていたが、年齢は確かに裏付けている。それと、過去に別の名前があった様だ。さらに転生者……ベルナル君はもしかしてこの世界以外も知っているのか?」
エルフの人は明らかに声が震えている。
正直どのように返答すれば良いのか分からない。それに他の数値も多分異常なんだろう。
「私達は別に君に危害を加えるつもりはないんだ。しかし転生者というのは、私達も初めて見た。君が答えられる範囲で、名前の事などを話てもらえると嬉しいのだが……」
竜人族の人は、顔を引きつりながら僕に問いかける。
「それにバスクホルドさんは、転生者という記述こそないが、魔力や魔法関係が信じられない。スキルも同様だ。その点についてはベルナル君も同じだが……」
竜人族の人の言葉を信じれば、エリーのカードにもとんでもない事が記載されているのだろう。
「わ、私が一四八四歳? これ冗談よね? 計測ミスじゃないの?」
エリーは魔法関連よりも、年齢にショックを受けている様だ。まあそれは僕もなんだけど、僕の場合は転生者と書かれているのがショックだったりする。正直あまり知られたくないから。
「計測ミスは考えられない。何なら再度ここで計測してもいい。結果が出るまでに、二人の事について聞きたい事もあるので、希望するなら再度調査するが、どうする?」
「もう一度お願いします!」
竜人族の問いかけにすかさず僕が言うと、エリーも頷いていた。
「分かった。正確さを増すため、これに両手を置いて欲しい」
すぐ後ろにあったのか、二つの水晶のような球体が置かれる。僕らはすぐにその上に両手のひらを置いた。先ほどと同じように水晶が強く光る。
「結果が出るまで少し待って欲しい。それで特にクラウディア・ベルナル君については、魔力や魔法関連の事でまずは聞きたい。他の項目も大切だが、魔力関連はほぼ間違いないはずだ」
そこまで言われると、流石に黙っているのは無理だ。とりあえず以前育ての親に習っていた魔法や、その時の事を話す。向かいの三人は熱心にそれを紙に記載している。時々羽根ペンが止まるのは、何か驚いているみたいだ。
一通り説明を終えると、目の前の三人は信じられないといった感じで僕を見ている。そりゃ僕の説明を受けたら、信じる以前に疑うだろう。
「……色々と規格外なのは承知した。ここに記載されている各属性魔力の欄だが、数値の上限が四桁までしかないんだ。なので正直君の実力は想像すら出来ない。それに魔力についてだが、熟練の魔法使いであっても三桁に届くかどうかだしクラウディア君の言っていた七桁の数字など本来あり得ないし、そもそも複数の属性に対して適応力があるのはあり得ないんだ。スキルについても1から5までしか計測出来ないので、君の実力は計測不能と同じ事になる」
確かに以前の魔法練習でも、普通では考えられないと母さんが言っていた。
「召喚については我々も初めて見る。精錬についてもせいぜい熟練者で四が限度。出来れば近いうちに、魔法その他の実力を見せてもらいたいが、この値だとこの町の周辺では被害が予想される。なのでこちらについては、場所も含めて検討させて欲しい。バスクホルドさんも同様に」
エルフの人は、値を見ながらあり得ないという顔が見える。それでも一応説明だけはしてくれた。
「結果が出たようだ。転写するのでちょっとだけ待って欲しい」
先ほどの水晶に別のカードをかざす。すぐにカードが発光する。魔力的な仕組みなんだと思う。発光が終わると、やはり目の前の三人は唖然とした顔をしていた。
「結論だけ言わせてもらうと、魔力の値が三倍以上になっている。知識力も上がっている。他の値も上がってはいるが、誤差範囲だと思う。それと残念ながら年齢は同じままだ」
竜人族の人はそう言いながら、新しいカードを僕らに見せた。確かに魔力量は九万を超えていた。
「とりあえず身分証は必要なので、これは二人にお渡しする。こちらで調べたい事があるので、後日人を迎えに行かせるので、出来れば協力願いたい。君らも混乱しているようだし、今日はこれで終わりにしよう。なに、君らを害するつもりは全くないと誓わせてもらうよ。ただ、この事はルフタネンさんを除き、出来るだけまだ秘密にして欲しい。今日は長時間申し訳なかった」
エルフの人がそう言うと、新しいカードを僕らに渡す。ヴィルマさんはなんだか放心状態だったけど、今日はこのまま帰宅する事にした。
各種表記ミス・誤字脱字の指摘など忌憚なくご連絡いただければ幸いです。
また感想などもお待ちしております!
ご意見など含め、どんな感想でも構いません。
更新速度からおわかり頂けるとは思いますが、本小説では事前の下書き等は最小限ですので、更新速度については温かい目で見て頂ければ幸いです。
今後ともよろしくお願いします。




