第二百二十八話 ヘニッヒ王国の惨状と、残されたモノ
2017/07/14
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バシュレ王国が壊滅的な攻撃を受けるなか、クラニス族の国家、ヘニッヒ王国王都クンツェも壊滅的打撃を受け、多くの人々が文字通り一瞬で消滅した。
しかしヘニッヒ王国は副都バルベがあり、王族はその二つに分かれて生活している。王都クンツェが政治の中心であるとするならば、副都バルベは商業の中心的都市であり、実際の人口も王都より多い。
王都壊滅の知らせは素早く副都バルベへと届けられ、その第一報に残った王族はおろか、副都に多くある商会主や大規模な商店主に衝撃を与える事となった。
「では、我々はどうするのですか!」
特に大きな商会の主が、声を荒げながら王族に詰め寄る。この地においては王族の力は必ずしも強くなく、何より多くの富を生み出す商会主や商店主に王族はあまり頭が上がらない。どの世界でも、やはり最終的には金の力が強いとも言えるだろう。
「そもそも何故エストニアムア王国に攻め込もうなどと。確かに帝国の力は強いですが、このような戦争など帝国自身が行えば良いのです!」
別の商会主も怒りの形相で王族を睨みつける。そもそも今回の件について、多くの商会や商店主は反対であった。武器商人でもあれば別だったのかもしれないが、多くは食料品や高価な日用品、アクセサリーなどをエストニアムア王国との交易品として扱っており、当然戦争となればそういった取引に大幅な支障が出る。食料品に関してはまだヘニッヒ王国政府が軍事物資として買い取っていたためマシな扱いだが、それでも交易で得られる利益と比べれば見劣りする。
彼らの手には、事前にサヴェラ立憲王国から落とされた紙が握られており、実は攻撃を受けない為の方法も記載されている。
「し、しかし。私達も帝国に睨まれている状態で……」
生き残った王族のうち、最も継承権が高かったのは一人の王子であるが、彼はまだ若く二十歳にも満たない。何より王都から戦争の報告は受けていたが、良くも悪くも副都にいる王族の言葉は王都に届かない。これは昔から王都と副都でその役割を分けた結果で、副都は王族が何らかの形で途絶えるのを防ぐために、副都にも王族を置いている程度の関係であり、王族としてはその時代の主要勢力から外れた考えを持つ、マイノリティ的な存在。実際に影では王族の流刑地などと言われてさえいる。
バルベの者達からすれば、力のない王族である事などお見通しであり、特にバルベとその近隣にある町や村では、王族よりも商会主や商店主の方が発言力が強い。そういった意味では、国内の意思が統一しているとは到底言えない。それが理由でフォルオ帝国につけ込まれたとも言えるのだが。
それに商人として大切な心得の一つに、常に新しい情報で商売を切り開くのは当然の事。その延長線で、バルベの商人達の情報収集能力は、ヘニッヒ王国政府よりも高いとさえ言われている。
基本的に最低限の身を守る武装程度はしても、それ以上が必要ない商人達にとって、確かにヘニッヒ王国の軍は警戒に値するだけの価値があったが、王都が崩壊した今では軍の組織だった戦闘の継続は既に不可能であると商人達は気がついている。
そしてサヴェラ立憲王国から通達された内容には、町や村を攻撃の対象外とするための記述があった。ちなみにこれはフォルオ帝国にだけは伝えられていない。
「各町になどにある最も高い建物に、可能であれば白、場合によってはそれ以外の布を掲げれば、町などには攻撃を行わないと書いてありますが、王族の生き残りとして、一応はどうするかお聞きしたいと思います。何より今ならまだ間に合う町や村も多くあるはずですので」
一人の商人が、紙に書かれていた文言を読み上げる。当然この場にいる全員が知っている事だ。発言した者の声にはあからさまなトゲがある。
それを聞いた王子は、既に彼ら商人達が何をしたいのか瞬時に理解する。彼らとしても、せっかく築き上げた今の状態を守ろうと必死である。
「返答が無いのであれば、我々独自に行動しますが、あなたは生き残った王族である事は間違いありません。出来れば我々に最善の答えを」
少しだけ王子は考えた後、彼らの意見に同意するしかなかった。何より王都の惨状を聞いている以上、これ以上の惨事は避けたいとも思っている。
王子の同意が得られると、すぐさま何人かが部屋の外へ駆けだしてゆく。既に準備はされていたのだろう。後は王子がどうするかだけの質問であった事は明白だ。
その日、バルベや周辺の町、村にある高い建物に、国旗以外の布があちこちに吊された。特に多い色が白で、場所によっては屋根などにもシーツだった物などが石などで固定され載せられる。
そして布が掲げられたバルベや周辺の町、村と田畑には、爆撃が行われる事が無かった。だがそれでも、連絡が行き届かずに布が用意されなかった町や村は、文字通り殲滅される事となってしまう。それでも国土が完全に焦土とならなかっただけ、バシュレ王国は幸運と言えただろう。
◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆
「陛下。バシュレ王国の一部町や村に、『敵対意思無し』の印が掲げられていたとの事です。ですが、他国では無かったとの連絡を受けているのですが、一体バシュレ王国で何があったのでしょうか?」
ペララ国防大臣が報告してきた。彼には僕とアマツカミボシが共同で作成した、空軍の運用方法を事前に伝えている。全体な戦略的方針は僕が決めたけども、各所の戦術的な方針は原則としてペララ国防大臣の指示で行われた。ちなみに僕だって専門的な事となると無理だ。なのでこれについてはアマツカミボシの協力もある。内蔵されていたデータに、戦闘に関する物があったからだ。どうやら居住可能な惑星に到達した場合に、原住民との戦闘があった場合の対処としてデータが存在していたらしい。そのおかげでかなり助かった。
この世界でも降伏などの方法はあるけども、町や村が独自に交戦意思無しの意思表示をする考えは無い。そこで考えたのが、白い布を町や村などの高い建物に、見える形で掲げさせる事。白い布がない場合は、国旗以外の布を使う事も許した。国旗はその国の象徴であり、意思だ。つまり敵対する意思と判断されても仕方がない。
無差別に町や村を焼き払っているように思われるかもしれないけども、事前に偵察機や爆撃機が、町の上空でそれらの布があるかどうかを確認させている。敵対意思がないと表明すれば、首都は別としてもそれ以外を無差別に焼き払いはしない。ただバシュレ王国以外では、その動きが無かった。恐らく王都が崩壊した後、何らかの形で他の勢力が町や村の安全確保に動いたのだろう。それをペララ国防大臣に伝えると、なる程と納得してくれたようだ。彼も元々騎士だが、どうやらエストニアムア王国は戦争についてかなり甘い考えをしていたとしか思えない。まあ、それだけ長期の平和を享受していたのだろうが、それを理由にして肝心な事を忘れるのはダメだ。
そもそも僕には前世の記憶があり、当然東京大空襲をはじめとする都市への無差別爆撃や広島、長崎の原爆投下の事などを知っているし、他にもドイツのドレスデン空襲などの事も知っている。
どの例にとっても、目標は明らかに民間人であり、それを実行した事は歴史的に間違いであると僕は思っている。今はそれを僕が実際行っているのだけども、それでも警告は出したし、翌日に軍を進攻目的で動かさなければ、もっと結果は違っていただろう。
だけども直近の問題解決は、続々と集まる難民対策だ。それにはエストニアムア王国が安全になる事が最低条件で、その条件を満たすには進攻してきた軍を潰す必要が絶対条件。まずその条件が揃わなければ、難民は次々と押し寄せてくるし、その対策をこれ以上遅らせれば、手痛いでは済まない事が起きるだろう。
いくら王政が基本のこの世界で、王が絶対的権力者だったとしても、警告の意味を理解すれば軍を無闇に進める事はしないだろうし、最前線の指揮官にもある程度の判断は任されているだろう。それを事実上翌日には反故にした結果として、爆撃を命じた。そこに後悔の念などない。後悔するのであれば、そもそもこんな事を実行はしない。
恐らく後の歴史家からは、僕は世界的な殺戮者だとか、そういった意味の言葉で語られるだろうけども、目の前にある問題を解決しなければ、僕らの方こそ危険になる。それは時間が経過すればする程危険性が増し、いつまでも様子を伺うという事は出来ない。口先だけの平和など何の役にも立たない。
当然その結果として、僕は民間人ですら巻き込み殺害するという非情な決断をしたとも思っているけども、これも後悔はしていない。究極論で言えば、守るべきは僕の家族であり、それは僕がこの国の権力者として、この産まれたばかりの国を守るという事になる。だからこそ僕は即時に決断したし、エリー達はおろか、ペララ国防大臣他その他の大臣にも相談は一際せずに決めた事だ。そして作戦というか、この戦いが終わるまでは僕自身が非情になるしかない。それだけの決断をした責任がある。
エリー達は一生理解してくれないかもしれないけど、それはそれで構わない。守るためには、時として味方にさえ非情にならなければならない。敵を騙すにはまず味方からなんて言い方もあるけども、まあそれに近い事だ。勿論それは敵に対する非情さと意味が異なるけども、どっちにしたって仕方がない。
「そのまま攻撃は最初の命令の通りに続けるように。それから、今日はまだフォルオ帝国への本格爆撃は行っていないはずだけども、そちらの様子は?」
「はい。国からの脱出経路をおおよそ潰しましたので、国外へ逃れる事は難しいでしょう。継続して断続的に砲撃も行っております。どちらにしても最初の攻撃で帝都が消滅しているため、組織だった行動はかなり制限されるかと。本当に明日、フォルオ帝国への最終作戦を行うのですか?」
「何を今さら。帝国が糸を引いていたのは事実なんだ。彼らには国民揃って地上から消えてもらう。これは僕が本気であると言う事を示す手段でしかない。同じ事をまた僕らの国に行うような事があれば、再度同じ事になるという警告だ。そもそも今回も裏で手を回しながら、自分たちはほとんど直接手を下していない。そういった事は、心底嫌いだ。虫酸が走る。前例を許すと、同じ事は繰り返される物だ。その為にも、今回は本気でやる。これは前回の内乱とは違うし、国と国の力のぶつけ合いだ。時には譲歩してはならない事もある」
この考えは、もちろん前世の影響もある。日本がいつまでもきちんとした対応を取らなかったせいで、グダグダになった北方領土や竹島など。一度でもおかしな事を認めれば、それは連鎖的に他の事に波及しかねない。ならば周囲から恐ろしいと言われても、怖がられたとしても、権力者としてやるべき事はやらなければならない。
「方針に変更は無しだ。明日には次の作戦『フォルオの炎舞』を行う。これは予定では無く、決定事項だ。帰還した爆撃隊などの乗員には、明日に備えて十分な休養と、地上の整備班に機体のチェックを急ぐように。また予定通り爆弾の積込みも行う。関係者に再度十分伝えるように」
僕が命じ、ペララ国防大臣が執務室を後にする。
前世で『指揮官とは孤独である』みたいな事を聞いた事がある気がするけど、その為の責任者たる指揮官だ。そして今の最高指揮官は僕であり、他の誰でも無い。
ペララ国防大臣がドアを静かに閉め、誰もいなくなった執務室で思わず椅子の上から両腕を上げて背伸びをする。それから両手の肘をついて、顎を手の甲に乗せて考える。
ただ国内開発だけで平和に過ごせるなら、はっきり言ってもっと楽だっただろうし、そもそもあの反乱の件が無ければ、もっと楽だったはず。突き詰めれば、王都の屋敷で過ごすだけなら、何の苦労も無かったかもしれない。まあ、それを言い始めれば生まれた後からの話になりかねないから、これ以上は考えない事にしているけども。
でも、現実は非情だ。そんな時に甘えてばかりはいられないし、そもそもそんな事をすれば僕らの命が危ない。その為には、どこかで感情を押し殺さなければならないと分かっていても、それはそれで正直苦痛にもなる。
前世での僕もそうだったけど、政治家の批判は簡単だった。何より日本という国は、あからさまな犯罪的手法でなければ、政治家の批判をしても捕まる事は無いと言える。
ところが現実に自分が政治家というか、今の場合は国王だろうけど、そんな立場になると問題点ばかりだ。そして一つ舵取りを間違えれば、特にこんな王制国家主体では、あっという間に自分の生存すら危うい。そうなれば自分の身を守るためにも、場合によっては切り捨てなければならない事はあるし、無駄と思っていてもやらなければならない事も多い。
これが日本だったら、多少のミスは他の政治家や側近が何とかしてくれるかもしれないけども、王国制だと全ての責任は国王にある。舵取りを間違って、最初に犠牲となるのは国民だ。そして間違った舵取りは、些細な事が命取りになる可能性を常に秘めている。
日本ならせいぜい失脚して、議員の資格を失ったりとかで、最悪でも刑務所に収監される程度だろう。死刑になるなど、国家転覆でもしようとしなければあり得ない。しかしこの世界では文字通り命に関わる。下手な言い逃れをする余裕があるなら、先に実行した方が確実だともいえる。
当然どこかで間違った判断をしてしまうかもしれないけども、こういった事は後にならないと分からない事が多い。何より当事者は、どうしても目の前の事に集中しなくては、対応が後手後手となってしまいかねない。そして後手後手になってしまえば……それについて考えるのは止めよう。
実際、エリー達やペララ国防大臣にしっかりと相談してからでも、後で考えれば良かった可能性もある。でも今それが分かるとしたら、多分当事者じゃ無い立場である人だけだろう。現場で動く人間には、後の人間がどんなに『あの時こうしていれば』や『何故ああしなかったのか』などと言っても、それは『後で全体を知っている』だけに過ぎない。現実は常に動き続ける。後で言えるのは、結果を知っているからこその結果論だ。僕から言わせれば、そんなのは無責任でしかない。もし論じるなら、その時に置かれた状況で語る必要があり、例えその後の歴史として知っていても、それを知らなかった事として論じるべきだと考える。
今どの程度の人達が、僕の事をどう思っているかなんて分からない。それこそ僕がアマツカミボシに操られているだとか、洗脳されているだろうとか噂をされているかもしれない。じゃなければ、それこそ気が狂ったとか。
でも、今はどう思われてもいい。
今やる事は敵を排除する事。それだけに集中しなければ。
戦争は、始めた時点で終わらせる方法を考えておくなり、決定しておかなければならないと聞いた事がある。
今考えている終わらせ方は、まずエストニアムア王国の直近の進行を阻止し、難民を少しでも早く引き上げさせる事だ。同時にエストニアムア王国を盾として、サヴェラ立憲王国へ手出しさせない事を明確にさせる事だ。
その為だけであれば、確かにやり過ぎと言われるかもしれない。だけども、最も効果的な国防というのは、相手に『攻めさせる気さえ起こさせない』事だと思っている。それには、どこかに一度絶対的恐怖を与えるのが一番早い。手段としては恐らく悪い方法の一つだろう。言い訳なんかしない。する気も無い。
前世の世界みたいに核兵器がある訳でもない。確かに僕らは魔導炉を究極兵器として使用した。この世界で魔導炉を作れる技術を持つのは、当面僕らだけだろう。だからといって、いつまでもそれが通用するかなんて分からない。それに核兵器と違って、核による汚染の心配が無い。つまり使うのに躊躇う要素がそれだけ低くなる。せいぜい大量に死者が出る事をどう思うかだろう。放出された魔力による汚染があるが、それは核の汚染に比べたら無いに等しいとすら言える。まあ、今はそれについては後だ。
一番の敵は、後ろで手を引いていたフォルオ帝国を壊滅……いや、この世界から消す事だ。もし今存続を許せば、再度同じ事を他の国を使って行うだろう。問題となるのはそれまでにかかる時間。そして僕はその時間を与えるつもりは無い。その為の殲滅戦だ。
もう覚悟は出来ているつもりだ。終わったら、全てエストニアムア王国を前面に立たせて、後始末を全て押しつける。そのくらいの事はやってもらわなければ、僕らの行為が無駄になる。その為にエストニアムア王国を多少脅す。どちらにしてもバシュレ王国、リスラ王国の国力は最低限どころか、ほぼ滅亡は確定だ。しかしヘニッヒ王国は上手く立ち回れば存続は可能だろう。それでも当面は何とか存続するだけでやっとだろうが。
しかしどの国にしても、被害は甚大。そして爆撃した地域には多数の金属片も残っている。爆弾こそ火薬式ではなく、ある種の魔力爆弾のため汚染は最低限に保たれるが、それでもしばらくは魔物が侵入する事は避けられない。魔力による汚染は魔物をおびき寄せるきっかけとなる。
当然それについては、エストニアムア王国に通達するし、そんな場所を好き好んで併合はしないだろうが、一応は釘を刺すのも忘れない。まあ、冒険者ギルドのような所は、喜んで魔物狩りをするかもしれないが。それについてはこちらでどうこう言うつもりもない。ただ、魔力爆弾は強力な魔物を発生させる事が多いので、初期にはかなりの被害が出るだろうが。それは命をかけて魔物狩りをする以上、冒険者の自己責任だ。
今は外務大臣に、エストニアムア王国へ終戦時に通達する草案を作るよう指示をしている。明日の夕方にでも、最初の草案は完成するはずだ。それを多少手直しした後、エストニアムア王国と残存しているヘニッヒ王国に送る手筈になっており、さらにバシュレ王国、ヘニッヒ王国とリスラ王国、フォルオ帝国に隣接する国にも、警告の意味を若干込めた外交文書を送り、僕らが何をしたのか、そして敵対した場合にどうなるかをはっきりと記載する。
当面バシュレ王国、リスラ王国とフォルオ帝国は魔物の繁殖地となり、時と共に魔物が跋扈する森に呑まれるだろう。唯一ヘニッヒ王国だけは、上手く立ち回る事が出来ればそれを最低限に抑える事が可能かもしれないが、それも舵取りを間違えれば前の三国の二の舞になる事は避けられない。そして少なくとも、僕はそれを支援するつもりなど毛頭無い。
迷惑をかけられたのだから、エストニアムア王国にはせいぜい頑張ってもらおう。
そういえばアマツカミボシには感謝だな。アレのおかげで航空機のエンジンに革命的な性能を得る事が出来た。魔力のエネルギー八割以上を運動エネルギーへと変換しているので、エンジンの発熱が極めて少ない。おかげで空冷エンジンでありながら、戦闘機タイプでも出力が格段に上がった。
単純に比較は出来ないのだけども、最初に僕が製作した九気筒星形エンジンでは、一番小型のタイプだと馬が引いた方が実は早かった。あの時は色々試行錯誤していた時期だったけども。それでシリンダーの容積とか回転方法なんかを試行錯誤して、まともに動くようになった。
だけども今回特にニスカラ重爆撃機へ搭載した魔動エンジンは、特にエネルギー効率が格段に違う。戦闘機タイプよりも上の、九割を超える魔力を運動エネルギーに変換し、計測したところ最大回転時で音速の一歩手前までの性能を誇る。本来ならそこまでの性能は期待していなかったが、おかげで速力を若干減らす代わりに、その莫大なエネルギーを爆弾搭載量向上に向ける事が可能となった。これが出来ていなければ、1L(≓百トン)などという性能は出せなかっただろう。機体内に搭載出来る量は限られているので、当然翼にも爆弾を装着出来るようにしている。ワイバーン等の対策として、大口径の機関砲にもする事が可能だ。
アマツカミボシの計算を元に僕が算出した値だと、ニスカラ重爆撃機に搭載した魔動エンジン一基当たりの馬力は、おそらく四万馬力に達するはずだ。ガソリンなどの燃料とは違い魔力を元にしている事と、エンジンに使用している部品が地球の物とは根本的に異なるので、一概に比較など出来ないのだけど。実際に貨物二十Re(≓二十トン)でエンジンを一基だけ動作させても余裕で離陸する性能がある。最大搭載量が1L(≓百トン)としているのは、単に安全マージンを取っているに過ぎない。
まあそんな訳もあり、飛行機に関してはアマツカミボシ様々だと言える。この件が終わったら、現行の魔動飛行船の改装も行ってみたい。
しばらくはそんな事も出来ないだろうけども。
毎回ご覧頂き有り難うございます。
ブックマーク等感謝です。
各種表記ミス・誤字脱字の指摘など忌憚なくご連絡いただければ幸いです。
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今後ともよろしくお願いします。
新作も公開中です
「異世界は全てスキル制!? ~スキルで最強を目指そう!~」
http://ncode.syosetu.com/n0478dt/
こちらもよろしくお願いします。
本文中にも一部記載がありますが、単位は以下の通りです
重さ
1R≒100グラム
1Re=1000R≒100キログラム
1L=1000Re≒100トン




