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間話 五 生きた証

2016/01/30 内容を一部修正しました

 神殿の地下際奥にある施設の中では、多数の人々がシリンダーの中に捕らえられている。それを助けようとする者は、この部屋を管理する者にはいない。そして、ここの事を知る一般の人々もいない。


「このラインは三番が限界って事か。あと、七番もせいぜい二年といったところか?」


 エーロ・ハンヒマキはリストを確認しながら、隣にいる同僚の持つリストも覗き見る。二人の前にはシリンダーが何十個と並んでいる。


「ええ、三番は廃棄の許可が下りました。ハンヒマキさんは十七番の準備を進めてください。三番の排水処理をその間に行っておきます」


「ああ、分かった。アンに任せたよ」


 そう言われたアンネリ・カールソンは、ハンヒマキに微笑みを返してから資料倉庫へ向かう。


 この階で唯一の女性である彼女は、いつからかアンと呼ばれていた。それはある意味敬意を込めての物でもある。彼女の二つ名が『処分屋のアン』であるからだ。


 『処分屋』とは、必要のなくなった検体を処分する者の事で、アンネリ・カールソンはその手際から誰よりも優れていると言われている。


 当然男性職員にも『処分屋』はいるが、彼女の手際に及ぶ者はいない。そして、彼女はそれを誇りにもしている。何よりも彼女自身が『人間』以外の他種族を嫌っているからだとも言える。


 資料倉庫にはこれまで蓄積された技術が数多く眠っている。


 検体の処分方法は基本的に同じだが、種族によって多少の差はある。強引に機械を止めても問題はないのだが、手順に従った方が後処理に困らない。なので確認は彼女であっても必ずする。


「三番は狼ね……」


 本来はウェアウルフと一般に言われるが、彼女の中では人間以外『動物』扱いでしかない。なので、彼女にとってはどの検体も動物を処分する程度にしか思っていない。


「検体として五十九年ね……短いじゃない。ホント、役に立たないわ」


 その言葉に、彼女が検体にされた『人々』を哀れむ気持ちはまるで含まれていなかった。


 彼女が見ているのは、『ζ(ラー)-003』と台座に記載されている容器で、この他にも様々な文字付きの番号がある容器がある。


 ζは比較的中期の魔力を取り出すためのエリアで、容器に入れられてからの耐用年数はおおよそ四十年から六十年。ちなみに一番短い期間の物だと、耐用年数は十年に満たない。


 ウェアウルフが入れられていた容器としては、耐用年数からすれば長い部類なのだが、彼女からすれば『死んでも魔力を絞り出せばいい』としか考えていないので、耐用年数で破棄するのは、どれも短く感じてしまうのだ。


 最も長い耐用年数とされているのが『無印(むじるし)』と呼ばれている容器で、こちらは限界がまだ分かっていない。


 彼女は最低でも週に二体、多いと五体の容器に入れられている人々を『処分』している。最初こそ手間取ったが、今はほんの三時間程で『処分』を終える。慣れていても五時間はかかる作業を、彼女は実に効率よく『処分』するのだ。それは相手のことなど『人』どころか、『物以下』としか認識していないからだろう。なので彼女の処分方法に躊躇いは一切ない。それ故、二つ名が付いた経緯があるが、彼女としては周囲の方法が遅いのであり、二つ名については何も思っていない。


 ファイルをいくつか側にある台車に乗せてから、『検体』を取り出すための道具も載せてゆく。台車に道具が山のように積み上がった後に、目的の『検体』の前へと移動した。


「まあ、短くても役には立ったのよね。その辺のゴミよりマシ」


 その辺に生活している『人間』意外を、彼女はゴミだとしか思っていない。全ては人間が頂点であり、それ以外の種族など隷属させて使い潰せば良いとしか思っていない。


 彼女が見上げるシリンダーの中には体のほとんどが真っ白に石化したウェアウルフの男性が、液体の中に浮かんでいた。

毎回ご覧頂き有り難うございます。

ブックマーク等感謝です!


間話5を追加しましたので、よろしくお願いします。


各種表記ミス・誤字脱字の指摘など忌憚なくご連絡いただければ幸いです。感想なども随時お待ちしております! ご意見など含め、どんな感想でも構いません。


また、今後以前まで書いた内容を修正していますので、タイトルに一部齟齬や追加が発生する可能性があります。本文内容の修正が終わり次第、随時修正していきますので、ご理解いただきますようお願いします。


今後ともよろしくお願いします。

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