第百八六話 ゴムの代用品
2017/09/12 誤字の修正を行いました
アマデウスから戻って、前に送られてきた変な物三つを前にする。
ちなみに小山から作った石材にはかなり感謝された。やっぱり石材不足は深刻だったみたいだ。少なくとも一ヶ月は石材不足に悩まずに済むらしい。でも、一ヶ月で枯渇するって事だから、早めに対策を立てないと。
エリーにもその辺を報告したら、石材輸送のトラックを急いで作るように言われた。当然僕としてもそれには賛成だけど、何せ木材よりも石材は重い。それでまたトラックを魔改造。中型魔道トラックに大型用の星形魔動エンジンを搭載した。安全対策は前よりもしっかりしているので、一度の輸送量は落ちるけど、確実に重くても走る事が出来るトラックを優先した形だ。それを新規に十台。エンジン部分を乗せる場所の設計図を書き直したら、車体を作っている人から悲鳴が来たけど、流石にこればかりはね。
それで車体については予定よりも三日程製作が遅れる事になって、エンジンだけ用意できている。なので暇が出来たから謎の物を調べる事にした。
「ウーン、手に取ってみると柔らかいんだけど、本当に分からない。魔法で解析……」
調べ物に魔法って、正直無敵だと思うんだ。
「ん? 分子量がもの凄く多いみたい。高分子の物体? 基本的には水素と炭素で出来ているみたいだけど、それ以外もソコソコにある」
高分子だと、確かゴムもそうだったっけ? 熱を加えるとどうなるかな。
ちなみにまず試した物はラテス・グリンブと言われている魔物の脂肪。色がほぼ真っ白で、ヒヒイロラムナの残留物は灰色。もう一つ謎の物はほぼ黒だ。黒い物は液体に近い。正確には、採取した時には液体だったらしいんだけど、時間経過で一応固まったらしい。でも机の上に置くと平べったく周囲に伸びるんだよね。何これ一体?
加熱すると途端に柔らかくなってきた。途中で止めて、今度は冷却。すると硬くなる。ウーン、この世界のゴムなのかな? もしかしたら、この世界にはゴムの木が無い?
さらに今度は加熱して液体にした後、硫黄を少しずつ加えていく事にした。何パターンかの配合を試していくと、配合する量が多い程硬くなる。うん、これって天然ゴムの性質にそっくりだよね。問題は、量が圧倒的に足りない事かな? 魔物の脂肪だから、いくら量を用意するとしても限界がすぐに来そう。
「そういえば、ラテス・グリンブってどんな魔物なんだろう? その辺は全然聞いていなかった。後で聞いておかないと」
とりあえず量はともかくとして、タイヤの可能性は十分出てきたかな? 問題は残りの二つ。
次に用意したのはヒヒイロラムナの残留物。こっちはかなりの量があるらしくって、むしろ困っていると聞いている。ラテス・グリンブの脂肪と同じように実験したら、温度こそ違いがあったけど、ほぼ似た感じの特性がある事が分かった。ついでにもう一つの謎物体も、また温度違いでほぼ似た特性がある。
「問題はタイヤにした時の摩耗性とか、温度による変化だよね。タイヤとして使うのなら、やっぱりある程度の温度には耐えられるようにしないといけないだろうし」
それにチューブ型にするか、単にゴムだけで作るかとか、色々あるんだよね。チューブ型の方がゴムの量は少ないけど、そもそもチューブに空気を入れる道具がこの世界になさそうだし。まあ、それは僕が作れば良い事かな? そうなると、チューブに空気を入れる弁の部分をどうするかが問題だ。
せっかく時間があるんだし、タイヤ開発を本格的に行おう。
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