第十四話 家庭教師っていっても、専門じゃないし……
2016/01/30 誤字及び内容の修正を行いました
そろそろ色々な事を教える必要が出てきた。
僕も十七歳になり、オルビット君ももうすぐ三歳だ。
オルビット君はケットシー族とコボルト族のハーフだけど、ケットシー族の血が若干濃いらしい。その為成長が少し早いのだとか。
とはいえ相手はまだ三歳になっていない。会話に関してはほとんど問題ないけども、文字はまだほとんど覚えていないと言っていい。
それからユリアさんとチェウスさんが妊娠発覚。チェウスさんはまだ出産まではかなりかかるらしいけど、もしかしてオラリスさんって絶倫だったりするのかな? 流石にそんな事は聞かないけどね。
それにニーニャさんがランダーソンさん一家へ正式に迎え入れられる事になった。しかも妊娠している可能性がある。ついでにパセットさんもお手つきになったみたい。もしかして今後出産ラッシュ?
パセットさんは身寄りがなかったらしいので、オラリスさんとしてもほっとけなかったらしい。これはオラリスさんが教えてくれたんだけどね。まあ、お金には不自由していないらしいし、それなら僕が何か言う事じゃないかな。
オルビット君はまだ三歳になっていないとは言っても、ランダーソン家は商人の家だし、文字や計算は必須事項。かといって、無理に難しいことを覚えさせることなんて出来るはずがない。なのでまずは基本的は文字の学習と、単純な単語を覚えて貰うことになる。
ところでお店を継ぐのって誰になるんだろう? まだしばらく先の事だとは思うんだけど……。
「じゃあ今日も文字を書いてみようね?」
「はい、クラディさん!」
男の子だしやっぱり元気だ。物覚えも悪くないと思う。昨日は僕手作りの絵(下手くそ……)を見て、それが何か当ててもらった。大体は問題なかったけど、一部の絵でオルビット君にだめ出しを食らったけどね。フルーツの絵は苦手なんだから!
まあそれは別として、オルビット君はかなり優良物件になりそうな予感。文字を覚えるのも早いし、すでに簡単な足し算引き算も出来るようになった。この子なら確実にこの店をもっと繁盛させることが出来ると思う。
それにしてもランダーソン一家は子作りが趣味なのかと思ってしまう。三人が妊娠していて、ユリアさんは来月にでも出産予定だ。すでにユリアさんは子供の名前候補を考えているみたいだけど、父親であるオラリスさんはさらに次の子供のことを考えているようだ。
いくら商売が上手くいっているとはいえ、早々早まったことはして欲しくないんだけれど。
そもそも本来は妾であるはずのチェウスさんはもちろん、事実上の妾になってしまっているニーニャさんまでが妊娠している。二人ともおなかの子は順調に育っているようで、出産時期も同じ頃になるかもしれないそうだ。
ちなみにニーニャさんが無事出産したら、公式にこの家の一員となるらしい。ユリアさんが本妻、チェウスさんが側室みたいな関係なのかな。オラリスさん的には、特に序列を付けるつもりは無いみたいだけどね。何よりみんな仲が僕が見ていても良いくらいだし。
この世界では一夫多妻制は当たり前なので、妻にあたる人への呼び方が日本――というか地球とは異なるかもしれない。まあ、昔の地球でも同じような事はあったかもしれないし、僕が知らない所では、前世でも起きていたかもしれないけど。
一般論としては本妻はさすがに一番立場が上だけども、関係を持てば妾とか愛人であっても、普通の使用人としての立場とは違う。流石にそのあたりはちょっと驚いた。まあ、そもそも前世の日本では重婚などは認められていなかったからなのかもしれないけど。
この一家が家族経営を主体とした商店だからかもしれないけれど、本妻であろうと妾であろうと、それこそ愛人であろうと、やる仕事にほとんど差がない。それに正式に籍を入れていなかったとしても、それを理由に蔑ろという事もないようだ。
まあ貴族などと比べるとまた違うのかもしれないけれど、そもそもこの世界での貴族をほとんど知らないので、基準が分からない以上は普通の人はこういった対応を取ると覚えていた方が良いと思う。
ちなみに僕はあくまで使用人扱いではあるけど、待遇としては使用人の範疇を超えているみたいだ。
この前メイド組合へ久々顔を出したら、受付の人に『使用人として登録されているけど、その扱いはほとんど家族ね』なんて言われちゃったし。
まあでも、働き先で中途半端扱いをされるよりは遙かにいいと思う。何より待遇はいいしね!
それにしても僕って先生には向いていない。
まだオルビット君が小さいから良いけど、多分この調子で覚えていったら、僕なんかよりもこの世界では通用すると思う。
魔力こそオルビット君はあまり才能がないみたいだけど、覚えるのが早いと同時に質問も早くて、理解した上で質問をしている。魔力に関しては、遺伝みたいな物もあるみたいだし、これはこれで仕方がないと思う。
僕の教え方が云々とは、正直違うと思うのは気のせいではないだろう。きっとオルビット君の秘めた才能だ。それに僕の場合は前世の記憶を引き摺っている事が悪い方向に影響している気もする。
だからこそ僕は、オルビット君の才能を潰さないようにしないといけない。それには僕ももっとこの世界を知らないといけないのかも。
正直前世の記憶を頼りにしていた所もあるので、それだけでは多分通用しなくなるだろう。その前にちゃんと対策をしておかないと。
それにしても家庭教師って程には、僕に教える才能はない筈なんだけどな……。
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