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第一二七話 輸送改革(一)

 町を発展させるには、やっぱり大量輸送は欠かせない。


 現状、外部とのやり取りは一本の道で、馬車等といった手段でしかないけど、僕としては最低限早くちゃんとした道の整備を整えたい。


 ただ外部への道を整備するのは、現状かなり大変という事も分かっている。そもそも道幅が狭く、その理由は山岳地帯とまではいかなくても、丘陵地帯。全てではないにしても、多少は山を削るなりトンネルを作るといった事が必要になるし、トンネルを掘るのは維持管理を考えると無理だと分かっている。何よりトンネルの概念が、少なくともここに住んでいる人達にはない。その状況でトンネルの維持管理は無理。


 そして初期に開発した畑が形になりつつある。


 土地が痩せていても比較的栽培が楽な作物という事で、麦の一種で『ラムギ』という作物を紹介された。それを栽培して収穫したまでは良かったんだけど、どうやら麦としては出來が良くない品種だと思う。


 収穫量は聞いていたのとほぼ同じ程度確保出来たので、とりあえずの食糧難からは脱出出来たのだと思うのだけど、収穫後の畑を掘り起こしてみたら、予想以上に根がかなり深い。麦みたいな品種で、痩せていても収穫出来て、さらに根が深いという事は、土の深い所からも栄養を吸収しているという事なのだと思うし、ミランダから得た知識も同じ。つまりこの作物は多用するとあっという間に土地が痩せてしまう。輪作のような体勢も早めに対応しないとダメだね。出来れば輪作でも休耕地はあまり用意したくない。食糧の確保は急務だし。


 まあ今の人達でも、連作障害の事は分かっているようで、休耕地などを作ることによってそれを防いでいるみたいだけど、人の生活はやっぱり食のはず。なので急ぎ他の作物も確保しないとダメなんだけど、イロはその辺のことがどうも詳しくないというか、そもそもこの国なのかこの世界の住人は、どうも連作障害などに関しての知識が不足している感じがする。


 どちらにしても用意出来ることは限られているし、僕が全部やるは無理がある。イロにもう少し他の作物について……無理かな? イロよりもエリーにお願いした方が早いかも。少なくとも他の作物の種や苗を輸入する事になるし。仕事を増やすことになるので、ちょっと嫌がられるかもしれないけど。


 それよりも、そろそろ鉱山からの輸送、材木や石材を輸送する効率的な手段を作りたい所。もちろんその中には食糧の輸送だって含まれる。


 材木を切り出した後は、その近くに製材所などを建設する予定だし、鉱山も精錬所を近くに作る。鉱山では人工的に作った石材も大量に発生するから、それだって大切な建設資材だ。ただ、どちらも町からは離れた所にあるし、既存の輸送……馬車ではどうしても輸送能力に限界がある。馬車だとあまり重い物は無理だし。


 ちなみに鉱山の近くには川があるのだけど、案の定汚染されていた。なのでこれも汚染除去をするつもりだけど、堆積した川底の土砂を一度掘り出し、乾燥させた後に精錬所で処理する予定。これもこれから考えないといけない。


 まあ精錬所はもうしばらく良いとして、輸送手段だけは先に作る必要がある。何せ精錬所もそうだけど、製材所にも設備を作らないとダメだからね。先に輸送手段を用意出来れば、それを使って精錬所などの設備も早く建設出来るし。


 それで今考えているのが鉄道輸送。トラックのような物も考えたけど、一度に大量となると鉄道が一番だ。それと、ゴムに似た物はあるみたいだけど、量が圧倒的に少ない。タイヤを作るには明らかに不足している。


 レールを作るために設備が必要だけど、それさえ終われば後は図面通りに線路を引いてもらえば良い。それなら住民の中から作業員を募集出来て雇用も創設出来るし、鉄道網を町と鉱山、製材所、そしてこの領地を繋ぐ入り口に敷設すれば、大量輸送が可能になる。


 幸いにして鉄は比較的安価に購入出来ることが決まったし、鉄道用に使うレールも規格は既に決めた。まあ輸出とか考えると、先にこの領地の入り口を拡張しないといけない大工事があるんだけどね。


 基本は単線で作り、途中で上下線の待ち合わせ駅のような所も作る予定。いきなり複線は材料の問題とか色々あって無理だ。ついでにそこにも小さな町なり村を作って、可能なら農地とかそういった物も増やしていきたい。


 王都で鉄を扱っている所に、長さ五(メントル)のレールは発注済み。この長さなら何とか領地の入り口付近にある険しい道も通過出来る。まずはこれを使って、町に用意してある空き地から農地に向かって鉄道を作るつもりだ。


 本来なら別に見つけた鉄の鉱山を優先したいのだけど、こっちも現地に精錬所を作るか、鉄鉱石のまま町の方まで輸送しなくちゃいけないし、精錬所を作る意味ではどちらも同じ。だけどミスリル鉱山よりも距離が倍近く離れているので、埋蔵量などをもう少し調べてからにしたいと思っている。


 魔法でおおよその埋蔵量が分かるのは便利だね。少なくともミスリル鉱山はまだまだ埋蔵量が豊富だし、主な鉱脈はむしろ地下だ。なので生産が軌道に乗れば、かなりの量を調達出来ると思う。鉄の鉱山はこれから調べないと。


      ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆


「それで鉄道ですか。鉄道というのは、そもそもどういった物なんですか?」


 今回も秘書役はミーサ・ペイッポさん。どうやら彼女が第一秘書? みたいな立場に落ち着いているらしい。適材適所には変わりないから、僕としては構わないんだけどね。


「地面の上に直接長い鉄で作ったレールという物を置いて、その上を馬車みたいな物が走ると思えば分かりやすいかな?」


「その、レールが必要な理由がいまいち分からないのですが……」


 鉄道の概念が無くなっているみたいだし、これは仕方がない。


「鉄のレールの上を、鉄で作った車で走らせるんだ。車というか、車輪とかだけ鉄で作って、後は木で造ればとりあえず問題ないよ。まずは馬で引かせる形にするけど、僕が考えている魔石とか魔方陣を備えた動力を使えば、馬に引かせる必要も無くなるね。鉄のレールの上を鉄の車輪で走らせると、普通に地面を走るより速く移動出来るはずだよ。ただ、地面の上を走るからどうしても事故は起きる可能性がある。なので全部とはいかないのだけど、基本的にはレールの上に人などが入れないように対策もする。まあ、柵でも作って入りにくいようにするだけだけど」


「では、まずは試験的に運用をすると?」


「うん。まずはちょっと離れた所にある農地までレールを敷設して、その周辺に作物を集めてもらう。そしてそれを荷台に積み込んで、こっちまで運ぶんだ。逆に農地へ肥料なんかも運べるよ。かなりの時間短縮になるはずだから、それで空いた時間で他の事もしてもらう予定。それと同時に、危ない所もあると分かってもらえたらってね。馬が引くには速度もそんなに出ないだろうけど、それでもぶつかったりしたら死人が出る可能性もあるから」


「分かりました。それで、そのレールという物を設置するのに、どの程度時間がかかるのでしょうか?」


「ウーン……農地までさほど距離が無いけど、レール一本は長さ五Mだし、平行して同じ幅で二本を設置しないといけない。今回の農作物輸送には間に合わないけど、距離的には三ヶ月程度で何とかなるかな? そもそも直線で作るし、試験的に運用するのが目的だからね。それで何か改良点とかあれば、それも取り入れるつもりだし」


「そうですか。作業員の方はどういたしますか?」


「レールはそれなりに重いから、出来るだけ人を集めてくれると嬉しいな。後はこっちでレールの幅を決めているから、その通りに作ってもらえれば難しくはないはず。体力に自信がある人を優先して雇ってもらえる?」


「至急手配いたします。必要な事があれば、すぐにお知らせ下さい」


「ああ、それと見つかった鉄の鉱山だけど、時間を見て視察に行けるかな? 現地の様子とか、色々調べないとダメだし」


 こうやってサヴェラ高地というか、この国で初めて鉄道の敷設が始まる事になった。運用が上手くいけば、今開発している魔石と魔方陣を組み合わせた機関車で、輸送革命が起きるだろうね。

毎回ご覧頂き有り難うございます。

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