本人認識不可の呪い
内心でもですわますわのガラの悪い、つまりおもしれー男を書きたくなった。ので軽く書きましたが、何故か変な願望を持ち始めました。
どうして……()
俺は、言ってしまえばチンピラだ。
勇者や強い奴に簡単に殺されても仕方ない雑魚で屑。自覚がある分タチが悪いと、ギルドの受付のBBAから言わせてやった。
そんな俺だが、生きる為の最低限の線引きはしていた。しかしある日、しくじってしまい、教会に捕まってしまった。
「クソッ、俺は知らなかったんだ! 本当だ、じゃ無きゃアーティファクトになんて手を出すか!!!」
なんとかこの場を切り抜けられ無いか、叫び暴れるが、誰一人として冷たい眼差しを変えることは無い。
しかし、あまりにも煩いと思ったのか、口枷が嵌められた。チッ、これじゃ言い訳も出来ねぇじゃねぇかよ!
『此度の事が無くとも、いずれ儂の前に引き摺られて来ただろうに。なんとも強情な男じゃ』
目の前にいる、巫女に憑依した断罪の神タチキリはやれやれという表情だ。うるせー、ジジイが中にいるせいで超絶美人の巫女が穢れる。二度と喋るなよ。
『神を前にしても変わらぬ心。最早天晴じゃな……じゃが、生半可な罰では反省が見えぬという点もあるのう』
あ”? 黙れジジイ。神がなんだ、所詮、古ぼけた伝説(笑)を勝手に掲げた横取り野郎だろ? この世で一番強くて偉いのは人間! 勇者サマや英雄サマなんだよ!!!
『ふむ……ようやく分かったぞ、主の事を。異種族嫌悪を拗らせた人間至上主義の夢見る幼子、というべきか……主への罰、決めたぞ』
ハッ、どうせチャっちぃショボショボ魔法しか掛けらんねぇだろ? ヴァーカ! 永遠に教会に閉じこもってるんだなクソジジイ!
『「神罰〖汝が口より出づる言の葉、及び思考はお淑やかな淑女とならん。汝が自覚するは、黄泉ノ国への旅路のみ〗」……どうじゃ?』
⸺何かしましたの? 私に罰など、神を自称するだけの老いた男が出来るだなんてあり得ませんもの。
『ふむ…そやつの枷を外せ。あぁ、口の物だけじゃ』
老いた男の言葉を聞き、周りにただ立っていただけの男の一人が私の口枷を恐る恐る外しますが、即座に私から離れました。何故か口元が歪んでおり、面白そうだという気配が見え隠れしております。
なんですの!? 私に無礼だとは思えないのですか!?
「⸺口枷だけでは無く、宝石よりも繊細な私のこの手を縛る枷も外して下さる? それに、少々小腹が空きましたので菓子も欲しいですわ」
『んん? ちょいと傲慢さが増えたかの? それに、口の悪さが隠しきれてはおらんの……まぁ良い。そやつを眠らせて元の場所に投げ捨てておけ』
チグハグな老いた男がそう言うと、突然瞼が重くなる。
「このっ、覚えてらっしゃい。弱き簒奪者…私は、必ず……貴方を…⸺」
***
冷たく硬い地面で目が覚めてしまう。
私を誰だとお思い? 強きお方に残酷に切り捨てられても当然の愚か者のべギルですのよ!
もっと冷たく不衛生で腐って悪臭の酷い地が私の城なのよ!!!
しかし、この怒りを向ける相手は既に居なく、日は少し傾いています。仕方が無いので、私に相応しい姿である事を確認してからギルドへと向かいます。
今日を生きる資金と、私が教会へ連れて行かれてしまった依頼への抗議の為です。
「⸺私が来ましたわ! いつもの老婆は何処ですの!?」
私がいつもと同じように、扉を蹴りながらギルドに入ると、中の人物全ての視線が私に向き、静寂が訪れます。……何処かおかしな所でもあるのかと背後を確認しますが、何一つ変わらない日々の光景です。では、一体なぜ…?
「お、お前…べギル、だよな?」
「あら、万年底辺を這う蛆虫のガイではありませんか。姿を見ても分からないとは、とうとう眼すらお腐りになられましたの?」
「言葉が違うが、いつもの罵倒だと……!?」
私の言葉を聞き、皆がいつも以上の喧騒で騒ぎ出します。それを聞きつけてか、普段は自身の身体よりも小さな椅子と机で書類仕事に追われているギルドマスターが現れました。酔っ払いの一人がギルドマスターに耳打ちをすると、驚いた表情で私を見つめますが、直ぐに私の元へ歩みを始めました。私の元に近づいていた皆は、ギルドマスターに気づくと道を開けます。
そして、ギルドマスターは私の前に立つと、頭を下げて謝罪の言葉を紡ぎました。
「今回の件、私の監督不行届だ。高頻度のランクの上下や日々の素行といった問題が見受けられるからと、詳細不明の依頼を斡旋し、ギルドの創設理念を軽んじたメーゼは降格処分とし、一年の減給。ギルドマスターとして確認を怠った私は三年の減給とした。これで、許してほしいとは言わん。だが辞めないでくれ」
彼はいつもそうですわ。部下が何か問題を起こす度、自身の給与を減給して、ギルドを辞めないで欲しいと頭を下げる……貴方の給与、未成年向けの恒常依頼の報酬よりも少なくなっていません? これだから辺境のギルドマスターに、頭の足りない人情溢れた男と紹介されるのですよ?
「謝罪を受け取りますわ。今回は、個人的な夢の為に振る舞っていた私にも落ち度があります。ですから、ギルドマスターへの減給は三年も必要ありませんわ」
「それと……その言葉遣いを止めてくれないか? 始めて早々悪いのだが、苦情が届いている」
………言葉遣い、ですの?
「特に変えた覚えはありませんが……?」
ピシリ、という音が響く幻聴が聞こえ、幾人かが泡を吹いて倒れていきます。私の目の前のギルドマスターが、初めて見る顔をしながら私の左手を取る。
「お前っ、この手の甲は……!?」
「あら? 気付きませんでしたわ……思い出したくもない老人の顔が浮かび上がるのですが、コレなんですの?」
「いつかやらかすとは思っていたが、こんな形だなんて……」
そう言い、ギルドマスターは膝をつきました。
用は終わったようね。私、今日の食事代を稼がないといけませんし、仕事を始めるとしましょうか。
「ゲッやべぇ!? ギルマスから魂が出てるぞ!?」
そう叫ぶガイの声を背に、私は今日の依頼を確認する為、ギルドの奥へ進むのでした。
名:べギル
歳:23
性:♂
何故か、主人公の初登場時に倒される小物に憧れてしまった人間至上主義。人間至上は生まれた家が悪いが、小物になりたい願望は本人の問題。
実は戦闘力だけを冒険者ランクに当てはめるとSになれる逸材なのだが、小物願望から来る所作や身嗜みのせいで強さでランクが上がっても直ぐに低ランクに落ちる。
ギルマスは仕方なく討伐依頼に限りAランクを斡旋することを特例的に認めた。
尚、ですわますわになったのだが見た目や声、所作は元のままなので、ゲラは直ぐに笑うしゲラじゃ無くても我慢できない(低音ボイス)




