表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/1

01.自分を変える

主人公: 加藤清正(かとうきよまさ)

性別:男

誕生日:9月25日

身長:168cm

好きなもの:日本食、アニメ

特徴:

髪型はマッシュ。目と髪は真っ黒。

顔は少し整ってる程度。

ーー3月。満開の桜の下で、卒業生たちは笑顔で写真を撮る者、仲間と抱き合いながら涙を流す者、さまざまだった。


三年間を共に過ごした仲間との別れは、誰にとっても特別だ。


この男、

加藤清正(かとうきよまさ)

も例外ではない。

卒業を祝って騒ぐ輪の中に自然と混ざり、楽しそうに人を集めて写真を撮っていた。


「みんなありがとう! 三年一組は最高だ!!」


その声が校庭に響き渡る。


 



帰宅後。

ベッドに横になった清正は、さきほどまで笑っていた男とは別人のようだった。


勢いよく起き上がり、部屋に飾ってあるクマのぬいぐるみに向かって叫ぶ。


「なんだあれ!?

みんな思い出話してたけど、俺はたまに出てくるだけで、メインの思い出なんて誰にもなかったし!

ていうか俺自身もそんなに思い出ねぇし!!

何が楽しかった修学旅行だよ! こっちは“班の人と会話頑張るだけの班活動”だったんだよ!!」


清正はぬいぐるみを睨んだり、ベッドを叩いたり、飛び乗ったり、溜め込んだストレスを全部吐き出すように暴れた。


中学時代、清正は人と深く関わろうとしなかった。

だが、勢いには流されやすいタイプで、お人好しでもある。


その結果――

「親友」と呼べる存在は一人もいなかった。


「はぁ……はぁ……体力……無さすぎだろ俺……」


息を切らしながらベッドに倒れ込む。腕を額に乗せ、天井を真剣な目で見つめた。


「……やり直したい」


すると、


「ちょっと! うるさいんだけど! 卒業式の後だからってテンション上がりすぎよ!」


勢いよくドアが開き、清正の母が入ってくる。


「母さん! ノックしてよ!」

「あんた……泣いてる?」


「泣いてないって!」


涙は出ていない。しかし母はどこか心配そうな顔をしていた。


「声が震えてたし……。学校では泣かなかったし、何かあるのかと思って」

「ただテンション上がっただけだよ! もう出てって!」


「わかったわよ……。あ、そうだ!

従兄弟の咲ちゃんが卒業祝いするって言ってたよ!」


「咲姉ちゃんが? 今日忙しくて来れなかったのに?」

「今日は無理でも、明後日は空いてるって! みんなで行きましょ!」

「わかった。楽しみにしてる」


母は微笑んで部屋を出て行った。

ドアが閉まると、小さくため息を漏らす。


「咲ちゃんのとこ行って、元気出るといいんだけど……」


 



二日後。

加藤家は母の従兄弟である西園寺家を訪れていた。


白く美しい家に、丁寧に手入れされた庭。

清正は思わず見とれる。


「相変わらずの豪邸だな……」

「何言ってんの。早く行くわよ!」


母の声で我に返り、玄関へ向かう。


ガチャッ。

遠隔で開く鍵の音。慣れた様子で家に上がる母たちに続く。


「お邪魔します」

「いらっしゃい! 叔父さんもお久しぶりです!」

「ああ、久しぶり」


駆けつけてきた咲が笑顔で出迎える。


「清正君、大きくなったね! 寒かったでしょ、上がって上がって!」


リビングでは暖かいこたつを囲んで談笑が始まった。


咲の母は外出中らしく、帰りを待つ間、母と咲は楽しそうに話し込む。

清正はテレビをつけ、地元の事故率が急増しているというニュースをぼんやり眺めた。


 



その日の夜。

大人たちも合流し、卒業祝いの宴会が盛大に行われた。

父たちはアルコールで上機嫌になって歌い始め、清正は少し疲れて庭へ出る。


「父さん、酔うとすぐ絡んでくるから嫌なんだ……」

「そうだよね〜。うちのお父さんも似たようなことするよ!」


「うわぁ!!」


背後から声をかけられた清正は飛び上がった。


「ご、ごめん! 驚かせるつもりなかったの!」

「びっくりしただけ……。咲姉ちゃんも休憩?」

「それもあるけど……今日、清正君と全然話してなかったしね」


その言葉に、清正は内心嬉しくなる。


「そうだ……高校卒業おめでとう。直接言ってなかったから」

「清正君こそ、おめでとう!」


二人は笑って祝い合い、夜の庭を静かに眺めた。


ふと咲が思い出したように言う。


「そういえば叔母さんから聞いたけど、何か悩んでるの?」

「母さんから……? なんて?」

「卒業式でぎこちなかったし、家で暴れたりしてるって」


清正は驚いた。

母が自分の変化に気づいていたこと。

そして咲がストレートに聞いてくる空気の読まなさに、少しだけ落ち込んだ。


「……まぁ、咲姉ちゃんならいいか。実は――」


清正は、自分に“親友”と呼べる存在がいなかったこと、卒業式でその事実に痛感して落ち込んだことを正直に話した。


咲は真剣に聞き、しばらく考え込んだ。


「なるほど……じゃあさ、高校デビューしたら?」

「高校デビューって……キャラ変えるやつ?」

「正確には“自分磨き”だね。親友を作りたいなら、今の自分を変えようってこと!」


「自分を、変える……」


咲の言葉に、清正は深く考える。


「卒業式で思い出を泣きながら語れるような……そんな相手が欲しい!」

「いいね! ならコミュ力が必要だね!」


恥ずかしさを隠しながらスマホで調べ始める清正に、咲が優しく言う。


「私も手伝うよ。時間あるし!」

「ありがとう、咲姉ちゃん!」


二人は庭でコミュニケーションの勉強を始めた。


 



翌朝。

清正は早起きし、ストレッチをして朝食へ向かう。


「あれ? 咲姉ちゃんは?」

「友達と朝から遊びに行ったわよ」


その言葉に、清正は少しだけ胸が痛んだ。

咲には朝7時から遊ぶ“親友”がいる。


――やっぱり、俺も変わらなきゃ。


そう思いながら朝食を続けた。


 



二週間後。

高校デビューの準備は整っていた。


鏡の前で表情練習をし、目のクマを取り、柔らかい笑顔を身につけた。

美容院の予約を入れ、カラコンも買う予定だ。


母が気づく。


「なんか……あんた最近変わった?」

「最近いろいろ頑張ってるからかな」


その日の夕方。

帰宅した清正を見て、母は腰を抜かした。


「え、えぇ!? あんたその髪!! それに目ぇ!!」

「ごめん……」


髪はやさしい白色に染まり、目はカラコンで深い茶色に変わっていた。


だが母はすぐに笑顔になる。


「似合ってるじゃない! びっくりしただけよ!」

「よかった……。校則も調べて大丈夫だから!」


スマホを見せる清正に、母は安心して頷く。


「どうして急に?」

「高校では、違う自分で行きたいと思って」

「高校デビューってやつね! いいじゃない!」

「……怒らないの?」


清正は不安そうに聞く。


母は優しい声で答えた。


「怒らないわよ。

あんたはいつも考えて行動するって知ってるもの。

その選択が絶対、あんたのためになるって信じてる」


「母さん……ありがとう!」


その言葉に、清正の胸に自信が芽生えた。


そして――

明日は高校の入学式。


清正は緊張でなかなか眠れない。


「眠れない……母さんに否定される不安はなくなったけど……やっぱ高校デビューって緊張する……。

でも絶対、将来自分が納得する人生送ってやる!」


明日次第で清正の未来は大きく変わる。

考えすぎて眠れないまま時間だけが過ぎていく。


「早く寝よう……考えても仕方ないし」


青春している自分を想像しながら目を閉じた。


だが――


彼は知らない。

自分が“一週間後に異世界へ転生する”ということを。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ