01.自分を変える
主人公: 加藤清正
性別:男
誕生日:9月25日
身長:168cm
好きなもの:日本食、アニメ
特徴:
髪型はマッシュ。目と髪は真っ黒。
顔は少し整ってる程度。
ーー3月。満開の桜の下で、卒業生たちは笑顔で写真を撮る者、仲間と抱き合いながら涙を流す者、さまざまだった。
三年間を共に過ごした仲間との別れは、誰にとっても特別だ。
この男、
加藤清正
も例外ではない。
卒業を祝って騒ぐ輪の中に自然と混ざり、楽しそうに人を集めて写真を撮っていた。
「みんなありがとう! 三年一組は最高だ!!」
その声が校庭に響き渡る。
◆
帰宅後。
ベッドに横になった清正は、さきほどまで笑っていた男とは別人のようだった。
勢いよく起き上がり、部屋に飾ってあるクマのぬいぐるみに向かって叫ぶ。
「なんだあれ!?
みんな思い出話してたけど、俺はたまに出てくるだけで、メインの思い出なんて誰にもなかったし!
ていうか俺自身もそんなに思い出ねぇし!!
何が楽しかった修学旅行だよ! こっちは“班の人と会話頑張るだけの班活動”だったんだよ!!」
清正はぬいぐるみを睨んだり、ベッドを叩いたり、飛び乗ったり、溜め込んだストレスを全部吐き出すように暴れた。
中学時代、清正は人と深く関わろうとしなかった。
だが、勢いには流されやすいタイプで、お人好しでもある。
その結果――
「親友」と呼べる存在は一人もいなかった。
「はぁ……はぁ……体力……無さすぎだろ俺……」
息を切らしながらベッドに倒れ込む。腕を額に乗せ、天井を真剣な目で見つめた。
「……やり直したい」
すると、
「ちょっと! うるさいんだけど! 卒業式の後だからってテンション上がりすぎよ!」
勢いよくドアが開き、清正の母が入ってくる。
「母さん! ノックしてよ!」
「あんた……泣いてる?」
「泣いてないって!」
涙は出ていない。しかし母はどこか心配そうな顔をしていた。
「声が震えてたし……。学校では泣かなかったし、何かあるのかと思って」
「ただテンション上がっただけだよ! もう出てって!」
「わかったわよ……。あ、そうだ!
従兄弟の咲ちゃんが卒業祝いするって言ってたよ!」
「咲姉ちゃんが? 今日忙しくて来れなかったのに?」
「今日は無理でも、明後日は空いてるって! みんなで行きましょ!」
「わかった。楽しみにしてる」
母は微笑んで部屋を出て行った。
ドアが閉まると、小さくため息を漏らす。
「咲ちゃんのとこ行って、元気出るといいんだけど……」
◆
二日後。
加藤家は母の従兄弟である西園寺家を訪れていた。
白く美しい家に、丁寧に手入れされた庭。
清正は思わず見とれる。
「相変わらずの豪邸だな……」
「何言ってんの。早く行くわよ!」
母の声で我に返り、玄関へ向かう。
ガチャッ。
遠隔で開く鍵の音。慣れた様子で家に上がる母たちに続く。
「お邪魔します」
「いらっしゃい! 叔父さんもお久しぶりです!」
「ああ、久しぶり」
駆けつけてきた咲が笑顔で出迎える。
「清正君、大きくなったね! 寒かったでしょ、上がって上がって!」
リビングでは暖かいこたつを囲んで談笑が始まった。
咲の母は外出中らしく、帰りを待つ間、母と咲は楽しそうに話し込む。
清正はテレビをつけ、地元の事故率が急増しているというニュースをぼんやり眺めた。
◆
その日の夜。
大人たちも合流し、卒業祝いの宴会が盛大に行われた。
父たちはアルコールで上機嫌になって歌い始め、清正は少し疲れて庭へ出る。
「父さん、酔うとすぐ絡んでくるから嫌なんだ……」
「そうだよね〜。うちのお父さんも似たようなことするよ!」
「うわぁ!!」
背後から声をかけられた清正は飛び上がった。
「ご、ごめん! 驚かせるつもりなかったの!」
「びっくりしただけ……。咲姉ちゃんも休憩?」
「それもあるけど……今日、清正君と全然話してなかったしね」
その言葉に、清正は内心嬉しくなる。
「そうだ……高校卒業おめでとう。直接言ってなかったから」
「清正君こそ、おめでとう!」
二人は笑って祝い合い、夜の庭を静かに眺めた。
ふと咲が思い出したように言う。
「そういえば叔母さんから聞いたけど、何か悩んでるの?」
「母さんから……? なんて?」
「卒業式でぎこちなかったし、家で暴れたりしてるって」
清正は驚いた。
母が自分の変化に気づいていたこと。
そして咲がストレートに聞いてくる空気の読まなさに、少しだけ落ち込んだ。
「……まぁ、咲姉ちゃんならいいか。実は――」
清正は、自分に“親友”と呼べる存在がいなかったこと、卒業式でその事実に痛感して落ち込んだことを正直に話した。
咲は真剣に聞き、しばらく考え込んだ。
「なるほど……じゃあさ、高校デビューしたら?」
「高校デビューって……キャラ変えるやつ?」
「正確には“自分磨き”だね。親友を作りたいなら、今の自分を変えようってこと!」
「自分を、変える……」
咲の言葉に、清正は深く考える。
「卒業式で思い出を泣きながら語れるような……そんな相手が欲しい!」
「いいね! ならコミュ力が必要だね!」
恥ずかしさを隠しながらスマホで調べ始める清正に、咲が優しく言う。
「私も手伝うよ。時間あるし!」
「ありがとう、咲姉ちゃん!」
二人は庭でコミュニケーションの勉強を始めた。
◆
翌朝。
清正は早起きし、ストレッチをして朝食へ向かう。
「あれ? 咲姉ちゃんは?」
「友達と朝から遊びに行ったわよ」
その言葉に、清正は少しだけ胸が痛んだ。
咲には朝7時から遊ぶ“親友”がいる。
――やっぱり、俺も変わらなきゃ。
そう思いながら朝食を続けた。
◆
二週間後。
高校デビューの準備は整っていた。
鏡の前で表情練習をし、目のクマを取り、柔らかい笑顔を身につけた。
美容院の予約を入れ、カラコンも買う予定だ。
母が気づく。
「なんか……あんた最近変わった?」
「最近いろいろ頑張ってるからかな」
その日の夕方。
帰宅した清正を見て、母は腰を抜かした。
「え、えぇ!? あんたその髪!! それに目ぇ!!」
「ごめん……」
髪はやさしい白色に染まり、目はカラコンで深い茶色に変わっていた。
だが母はすぐに笑顔になる。
「似合ってるじゃない! びっくりしただけよ!」
「よかった……。校則も調べて大丈夫だから!」
スマホを見せる清正に、母は安心して頷く。
「どうして急に?」
「高校では、違う自分で行きたいと思って」
「高校デビューってやつね! いいじゃない!」
「……怒らないの?」
清正は不安そうに聞く。
母は優しい声で答えた。
「怒らないわよ。
あんたはいつも考えて行動するって知ってるもの。
その選択が絶対、あんたのためになるって信じてる」
「母さん……ありがとう!」
その言葉に、清正の胸に自信が芽生えた。
そして――
明日は高校の入学式。
清正は緊張でなかなか眠れない。
「眠れない……母さんに否定される不安はなくなったけど……やっぱ高校デビューって緊張する……。
でも絶対、将来自分が納得する人生送ってやる!」
明日次第で清正の未来は大きく変わる。
考えすぎて眠れないまま時間だけが過ぎていく。
「早く寝よう……考えても仕方ないし」
青春している自分を想像しながら目を閉じた。
だが――
彼は知らない。
自分が“一週間後に異世界へ転生する”ということを。




