(機械の国)ある寒い日の朝
ある寒い日の朝。それは突然やってきた。
何事もなく平和に暮らしていた家族のもとに、強風とともにやってきた
機械の集団。
俺達は必死になって逃げた。
食べかけのごちそうも、家の財産もすべて投げ出して命だけは助かろうと逃げた。
ただひたすらにみんな自分だけでも助かろうと、家族を蹴落としてまで
生き残ろうとした。だけど、それは機械達の前では無駄な抵抗だった。
あいつらは銃をぶっぱなして、俺らを殺していった。
俺は、物陰に隠れていて助かったのだが他の者はみんな死んでいった。
そして機械達はやがて俺を見つけ出した。そして、俺は近くにあったバイクで逃げた。
なぜか機械達は追ってこようともせずに、街に引き返した。
そして、俺は山奥に疎開して今こっちに戻ってきたというわけだ。
✝✝✝
「そんなことがあったんですかぁ…」
「でも、なんでおってこなかったんだろうね」
「それはわからない。だが、おそらく機械達はどうせこのまま放っておいても死ぬだろうと思ったんじゃないかと思う。」
「そうですか。お話、ありがとうございます。」
「え、あんたら、ちょっと話しに突っ込んだり、深く入り込んだりしないのか?」
「僕たちは旅の者ですから、深く出来事に干渉したりしてはいけないのです。決まりですから。一応」
「そうか。残念だ。もう行くのか?」
「はい。この国はもう見る物もなさそうですし」
「そうか。じゃぁ、御達者で。」
「じゃ、行こうか」
「うん」
僕は自転車のバーを上げて、念力を注ぎ込むと
自転車を走らせた。
(走らせるといっても、自転車をこいでいるわけではなく滑って行っているといった感じだ)