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妙メモリー

ホイットニー・ヒューストンで遊んだ話

作者: みょめも

僕がまだ小学生の頃、全国で一大ムーブメントを巻き起こしたものといえば真っ先にホイットニー・ヒューストンの名前が挙がるだろう。


それまで放課後公園でサッカーや野球をしていた子も、塾へ行っていた子も、果ては大人たちにいたるまで、みんなこぞってホイットニー・ヒューストンにはまり、連日ニュースでも取り上げられ社会現象とまで言われた。


1人1つホイットニーを持っているといっても過言ではなく、ポケットや鞄のちょっとしたスペースに入れて学校に持ってくる生徒が続出したため、しまいには『ホイットニーなどを持ってきた場合は没収』と言われた程だった。




ホイットニーはお腹を空かせたらエサを与え、ウンチをしたらしっかり流さないといけない。


そうしないとストレスが溜まって、いいホイットニーに進化しないのだ。


しかし、愛情を持って育てればしっかり進化し、最終的にはホイットニーから『エンダーー』という美声を聞かせてくれる。そのときの感動は何物にも代え難いものがあり、だから校則を破ってまで学校に持ってくる子どもがいたのだ。




進化手前まで育てたホイットニーをこっそり学校に持ち寄っては、先生にばれないよう休み時間に『エンダーー』を聞き、みんなで喜びを分かち合っていたがある日、悲劇は起きた。


授業中にコソコソとやっている友達がうっかり進化させてしまったのだ。


クラス中に響く声。


しかし聞こえてきたのは思いもよらない声だった。





『ヨーーヒーー』





なんと彼がやっていたのはホイットニー・ヒューストンではなく、 バッタもんのセリーヌ・ディオンだったのだ。


当時、ホイットニー・ヒューストンは店頭で品薄状態が続いており、高値で売買されるほど入手困難な状態だったことから比較的安価に手に入るバッタもんのセリーヌ・ディオンを売っている店もあると聞いたことがあった。


きっと彼はなかなか手に入らない状況に我慢できなかったのだろう。




ただ、彼のセリーヌの『ヨーーヒーー』はとてもいい『ヨーーヒーー』だった。


あだ名がしばらく『タイタニック』になってしまった事を除けばとても心暖まる話だ。

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