91 三学期が始まって、変わったこと。
冬休みはデート三昧だった。
初詣デートはもちろん、二日以降も毎日のように色々なところへ二人きりで出かけ、親がいないのをいいことに互いの家に誘い合ってのデートもした。
……少しだけ、キス以上に恋人らしいことをして、お互い色々戸惑うことはあったが、充実した時間だったと思う。
しかしそんな楽しい休みはあっという間に終わりを告げ、三学期になる。
そして、今までとは違う日々が始まった――。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆
冬休みの間に誕生したカップルは三組。
俺と明希、本格的に恋人同士になったらしいサキとイワン。そして、
「ワタクシ、ルイス殿下……もとい、ルイ様と正式に婚約いたしましたの。ですからこれからはいやらしい目的でワタクシに近づかないでくださいませね」
「ダニエラ嬢は僕のものだから」
二年C組のクラスメイトの前で堂々と公言した、ダニエラと塁である。
こうなるだろうという予想はしていた。
俺にフラれたダニエラは、もう塁から逃げまくる口実がない。だから最終的には塁とくっつくのはわかっていたことだが。
「それにしても早過ぎないか……?」
あれほど塁を拒絶していたダニエラが、彼を盾に他の男たちを退けているのだ。
多くのクラスメートは二人がまだ付き合っていなかったことに驚いていたが、事情を知る俺と明希にしてみれば違和感しかない。
「ダニエラさん、なんか変わったよね。まさか素直に塁くんを受け入れるとは、よっぽど失恋のショックが大きかったんだね」
「……そうかも知れないな」
でも、そう言う明希だってほんの少しだが変わっていた。
今まで学校ではコンタクトだったのに今は俺が贈ったメガネをつけている。そして、俺とお揃いのお守りを持ち歩くようになった。
部外者である他の生徒たちにとっては本当にどうでもいいくらいの、ごくごく小さな変化。
しかし俺たちにとってそれらは非常に大きく、もう前までの毎日には戻れないのだなぁと実感させられる。
ダニエラと俺は、ただの友人関係になった。
料理部は今も一緒だ。でも、彼女に料理を教えるのはもっぱら塁なので、俺は彼女のまずい料理を食べて率直な感想を言うくらいなものだった。
彼女以外の異性の手料理を食べるのはどうかと思うが、そのあたりは明希が許してくれている。
「ルイス殿下はワタクシの料理さえ褒めてしまいますの。ですからセイヤだけが頼りですわ」
彼は、『ダニエラ嬢の料理は、どんなものでも宝物さ』とキザったらしいセリフを吐くのだ。
確かにあれでは味見の意味がない。
「自分で食べたらいいだけだろ」
「食べられませんわ、こんなもの」
『こんなもの』を食べさせられる俺の身にもなってほしい。
そう思って苦笑するのは、今までと変わらなかった。
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