表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

23/100

22 神社から戻ったら悪役令嬢がナンパされかけていた。

 楽しい時間はあっという間というのは本当で、気づいたら神社を回り終えていた。


「――そろそろ帰ろっか。ダニエラさん、待たせてるし」


「そうだな」


 なんだか物足りないが、仕方がない。

 俺たちは今ダニエラに無断でここにやって来ているのだ。彼女を不安にさせているに違いないのだから。


 今度からはダニエラにスマホの使い方を教えて常に連絡できるようにしておいた方がいいかも知れない。

 ともかく、ダニエラが本格的に迷子になっている可能性もあるので、のんびりはしていられなかった。俺たちはお土産のスイーツが入った袋を片手に、手を繋いで寺の方へ戻った。


 ……その姿はきっと、他の観光客たちには恋人同士にしか見えないであろうということはこの時の俺には思い至らなかった。



◆◇◆◇◆◇◆◇◆



 ダニエラを探してしばらく寺の境内を俺たちは歩き回っていた。

 案の定というか、正門のところにもその周辺にも彼女の姿はない。俺と明希は二人で寺のさらに奥へと進みながら彼女の名を呼んだ。


「おーい、ダニエラ。いるのか? いたら返事しろ」


「ダニエラさんどこー?」


 しかし、いくら呼んでも返事は聞こえてこない。

 大勢の観光客に紛れてろくに周囲を見渡せず、探すのは難しそうだった。 


「……これって結構やばいんじゃないか?」


「何が?」


「ダニエラってあの容姿だろ。連れ去りとか事件に巻き込まれてるんじゃ」


「まさかー。……と、言いたいところだけど、あり得なくはない、かも。でもあのダニエラさんでしょ。運動神経抜群だし大丈夫だよきっと。多分。そう信じたい」


「どんどん自信なくなってるじゃねえか」


 そんな風に言いつつも、時間が過ぎると共に不安は募っていく。

 先ほどまで明希とデート気分になっていた自分が恨めしい。無理にでもダニエラを連れてきて、三人で神社巡りするべきだったかも知れない……。


 と、後悔していたその時だった。


「――お黙りなさい。ワタクシを誰と心得まして?」


「なんだ、姉ちゃん。オレらに喧嘩売ってんのか?」


「ワタクシはダニエラ・セデカンテ。これ以上ワタクシに近づいたらただじゃおきませんわよ」


 染めた金髪にピアス、そしてダボダボパンツの絵に描いたようなチャラ男二人組の中から、聞き覚えのある声がしたのだ。

 ――ダニエラだ。ダニエラが男二人にナンパされかけているらしい。


「ダニエラさんっ!」


「おい、ちょっと明希!?」


「誠哉には絶対に助けさせないから! 王道ラブコメ展開を発生させてなるものかー!!」


 叫び、今まで俺と手を繋いでいた明希がものすごい勢いで駆け出した。

 向かった先はもちろんナンパ男に囲まれるダニエラの元。だが、明希一人が突っ込んでいって大丈夫なのだろうか。というより、むしろさらに厄介な事態になるだけでは。


 俺が行かなくては。でも、いざとなったら男二人組に勝てる自信なんて――。


「いや、何迷ってんだよ俺。やるしかない時はやるしかないだろうが」


 心を決め、ようやく遅れて走り出そうとした俺だったが、その行動は直後無駄なものとなる。

 どこからともなく見知らぬ少女が現れてチャラ男どもを蹴散らしたからだった。


「うちのお嬢様に何してくれてるんですかっ、この痴れ者どもがぁぁぁ――!!!」


 明るい茶髪を振り乱し、鬼の形相で叫ぶ少女。

 メイド服を翻す彼女が何者かはわからない。棍棒のようなもので彼女に殴られ、軽々と吹っ飛ぶナンパ男たち。しかしメイド服の少女は彼らに目もくれず、中央に立っていた青髪の美少女……ダニエラに駆け寄って行った。


 ここまでにかかった秒数、たったの三秒。

 あまりに一瞬過ぎる出来事に、俺はもちろん明希までも呆気に取られるしかなかった。


 ――ああ、またさらなる面倒ごとの予感がする。

 面白い! 続きを読みたい! など思っていただけましたら、ブックマークや評価をしてくださると作者がとっても喜びます。

 ご意見ご感想、お待ちしております!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。


作者の作品一覧(ポイント順)



作者の連載中作品
『裸の聖女』が世界を救うまでの物語 〜異世界召喚されてしまった少女は、早くおうちに帰りたいのです〜

両刃の斧のドワーフ少女はダークエルフの姫君に愛でられる

乙女ゲームのヒロイン転生した私、推しのキラキラ王子様と恋愛したいのに相性が悪すぎる



作者の婚約破棄系異世界恋愛小説
【連載版】公爵閣下に嫁いだら、「お前を愛することはない。その代わり好きにしろ」と言われたので好き勝手にさせていただきます


あなたをずっと、愛していたのに ~氷の公爵令嬢は、王子の言葉では溶かされない~

【連載版】婚約破棄なんてしたくなかった。〜王女は婚約者を守るため、婚約破棄を決断する。〜

この度、婚約破棄された悪役令息の妻になりました

婚約破棄なさりたいようですが、貴方の『真実の愛』のお相手はいらっしゃいませんわ、殿下

悪役令嬢は、王子に婚約破棄する。〜証拠はたくさんありますのよ? これを冤罪とでもおっしゃるのかしら?〜

婚約破棄されましたが、私はあなたの婚約者じゃありませんよ?

婚約破棄されたので復讐するつもりでしたが、運命の人と出会ったのでどうでも良くなってしまいました。これからは愛する彼と自由に生きます!

公爵令嬢と聖女の王子争いを横目に見ていたクズ令嬢ですが、王子殿下がなぜか私を婚約者にご指名になりました。 〜実は殿下のことはあまり好きではないのです。一体どうしたらいいのでしょうか?〜

公爵令嬢セルロッティ・タレンティドは屈しない 〜婚約者が浮気!? 許しませんわ!〜

隣国の皇太子と結婚したい公爵令嬢、無実の罪で断罪されて婚約破棄されたい 〜王子様、あなたからの溺愛はお断りですのよ!〜

婚約破棄追放の悪役令嬢、勇者に拾われ魔法使いに!? ざまぁ、腹黒王子は許さない!

婚約者から裏切られた子爵令嬢は、騎士様から告白される

「お前は悪魔だ」と言われて婚約破棄された令嬢は、本物の悪魔に攫われ嫁になる ~悪魔も存外悪くないようです~

私の婚約者はメンヘラ王子様。そんな彼を私は溺愛しています。たとえ婚約破棄されそうになっても私たちの愛は揺らぎません。
― 新着の感想 ―
[一言] >「誠哉には絶対に助けさせないから! 王道ラブコメ展開を発生させてなるものかー!!」 wwww
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ