勇者は敵
マリエラさんに会いに帰ってきましたよっと、ギルドに入ろうとしたら
『おいっ!今は、やめとけ。草むしり野郎。』
優しく肩を掴まれ、止められた。
イラッとしたが、なぜかフレンドリーな感じだ。不思議と悪意は感じない。なぜだー、なんでだ?
「オレは、ハヤトだ」
『ん?すまない。称号に不満なのか?俺は竜殺しのゼオンだ』
どうも聞くと[月花草の採取]で、大活躍しすぎたオレについた称号らしい。
不満しかないわ。草むしり野郎ってなんだよ。[絶望をもたらす壁]か[深紅の単発銃使い]を希望する。
受付嬢は上級中級下級と3美人。ファンクラブがあり、話しかけれる機会が多い下級担当のマリエラさんの人気は1番らしい。冒険者は男性比率高いから、嫉妬で、この称号に決まったのは、想像に固くない。
ちなみに、女性冒険者は、相談カウンターのイケメンから受注してる。
『ハヤト君、話題になっててさー。今、ゴロツキ勇者いるから入ると面倒だよ?』
どうも心配してくれたらしい。
「心配ありがとう、ゼオン。大丈夫だから。」
ひらひら手を振って、ギルドに入ると
マリエラさんにゴロツキ勇者が絡んでた。
『勇者様は、上級受付にどうぞ。』
『いやー俺ちゃんSランクだけど、マリちゃんの仕事しかウケないから、キリッ。』
なんか実力が怪しいなコイツ。残念なブサメンの勇者、黙ってれば勇者の肩書だけで、それなりにモテただろうに。
『あっハヤトさん!おかえりなさーい』
こちらに気づいたのか、ぶんぶん手をふるマリエラ様。
胸が、たゆんたゆん揺れてる。アルファ波の安らぎ。
((雌犬が))
『ちっ!草むしり野郎が。俺ちゃんなんか、市場で手に入れた、非常に珍しい高品質の月花草を買ってきてやったんだぞ。』
絡んでくる勇者。あーそれオレが納品した素材か。マリエラさんに渡したのは、上級素材の月下草なんでね。
ゴロツキ勇者を無視して、報告書と証拠の納品カードを提出。
『ええ!?』
イイネ!マリエラさんのこの反応、癒される。
ドタドタと奥の部屋へ
あーこのパターンね。
ギルマスのエッケンハイムさん登場ー!!
パチパチ
と心の中で拍手を送る。
[劣化毒亜蒼竜(弱体化中)の討伐:B]
『緊急クエストだ!弱っているうちに叩くぞ!』
なんか期待してた反応と違った。
『ひゃははっ俺ちゃんしかいないっしょ!マリちゃん助けれるのは、勇者の俺ちゃんだけ。感謝しろよぉ、草むしり野郎ぉ』
勇者がオレの顔をぺちぺちしてくる。やばい、殺したい。精神ダメージ入るのは盲点だった。ダメージ0のぺちぺちは、オレのスキル殺し。
((勇者コロス))
いやー、ローズと以心伝心だわ
『はっ草むしり野郎は、どうせ、くっそ、ショボい武器だろぉ?その腰に下げてる棍棒はゴブリンのお下がりかぁ?』
「、、魔法銃だ。」
((ハヤト!))
失敗した。泥水飲んで我慢しなきゃいけないのに、ローズを貶されたようで、我慢出来なかった!
最大の敵に、あっさり情報を漏らす。
『鑑定』
深紅の単発銃[ローズ] 迷宮1
攻撃力100(1)
コア、知的武器、闇魔法8、言語4、念話、転移、人化、地図、弾丸補充1発/1日
この時の大失敗を、オレは後で後悔する。
腐っても勇者。レアスキルの鑑定持ちだ。オレには鑑定遮断があるが、ローズは、制約上持てないらしい。
うかつだった。ローズを危険に晒してしまった。あとは、勇者の低能に期待するしか無い。
『ひゃははっ1日1発だけ。攻撃100ぅ。それじゃ竜は無理だ!感謝しろよぉ、草むしり野郎にはゴブリンがお似合いだぜ』
『ハヤトさんは、斥候なんです』
マリエラ天使降臨
『じゃあどうすんだ!マリちゃんのお願いなら俺ちゃん竜と戦っちゃうよ?』
『、、、お願いします、』
悔しそうに俯くマリエラさん
ゴロツキ勇者に苦い顔のギルマス。権力には逆らえないらしい。仕事しろよ!無精髭っ。
『しかし、勇者様達だけでは』
『念のため、竜殺しのゼオンも連れて行くから!話を、通しとけっ』
『それなら、、、受理します。』
うっわー、寄生プレイなのか勇者。
『先程は、失礼した。』
「いえ、気にしないでください」
頭を下げて、退出するギルマスを見送る。
『ハヤトさん調査お疲れさまでした。本当だったら偉業なのにこんな形になってしまい、すみません』
「庇ってくれてありがとう。本当は逆なんだが」
『ますます好きにな、あっ!それはそうと、ランクEに昇格です。』
[名前:ハヤト 職業:斥候 ランク:F→E]
[鉱山の毒霧の発生原因調査:E]達成
[金貨2枚、小金貨3枚]get!
小銀貨だと2,300枚ですよ。ヒャッハー