調査クエスト 受注
ギルドで依頼票を眺める。
[鉱山の毒霧の発生原因調査:E]
これかな?ぺりっと剥がし提出。
『ハヤトさん、おはようございます。』
受付嬢が、名前を呼ぶのが珍しいのか、後ろから、(月花草をむしって、マリエラ様のご機嫌とってたくそ野郎だぜ)とオレを称える声が、ひそひそ聴こえる。
ヘイトを集めるのは盾職の仕事だし、仕方ない。
『この毒霧は、[毒消し草]では効果不足で、先週Dランクの方が、失敗してます。やめた方が。』
「大丈夫です」(完全耐性あるので)
『あっ!洞窟の外から、原因を調査されるのですね。でも10日を超えると、失敗になるので注意してください。』
天使マリエラさんの胸を、しっかり目に焼き付けて、準備に向う。
すぐに調査完了では、信用されないので、今回はキャンプをして時間を潰す。
道具屋で、[簡易キャンプセット]購入。金貨1と銀貨2。小さなテントと松明等が入ってる基本なヤツ。
情報屋で、[鉱山の地図:1層]を購入。小銀貨7
教会で、金貨1預けて[魔物図鑑:毒]を借りる。
雑貨屋で、保存食を少し購入。
[鉱山の毒霧の発生原因調査:E]start
目的地近くを通る行商の馬車に乗せてもらい鉱山へ向う。3日後に、また通るというので、帰りも乗せて貰う約束をした。
てくてく歩いて目的地の鉱山へ。
松明持って[鉱山の地図:1層]を描き足しながら、のんびり探索開始。毒霧?魔物?関係ないね。
((そこの長さ違うわよ、あーしかもちょっと1層の地図も少し違うじゃない。不良品掴まされた?))
地図スキルを持ってるローズのダメ出しが、一番大変だった。描いてもらいたいが、戦力として温存せねば。
4階層の奥に、そいつはいた。
毒霧を吐きながら、油断かまして寝てやがる。
[魔物図鑑:毒]をペラペラめくる。
これか、
[レッサーポイズンブルードラゴン亜種]
(肉体は弱いが、極悪な猛毒霧を吐く。近づいてはならない。何らかの原因で逆鱗を落とすと毒霧が白くなり、再生するまで毒が弱くなる。)
長い名前だな。龍より、弱い竜種だけど、弾丸1発での討伐は無理だろう。オレには、1日1発しか、攻撃手段がないからな。
「逆鱗が欲しい。」
心の声が漏れる。物欲センサーだわ
((そう?なら引鉄を引きなさい。))
「え?取れるの?」
((フフフ、アタシを誰だと思っているの?))
出来るらしい。有能、いや極悪だな。
[闇魔法:奪取]をセットして、寝ている劣化竜の逆鱗にゆっくり照準を合わせ、引鉄を引く。
ズドンッッ!!
轟音をたてて、銃身から黒い煙がのぼる。逆鱗のあった部分から激しく血が撒き散り、激痛で目覚めた劣化竜は咆哮をあげて、のたうち回る。暴れる劣化竜は、周辺の岩を容易に砕き深い爪跡を残す
左手に黒い煙が集まる。徐々に質量をもった煙がはれると、その手に現れた逆鱗を、握りしめた。
毒霧の色が白い煙に変わり、効力の切れた煙が、洞窟にゆっくりと広がるように満ちた。
[劣化毒亜蒼竜:逆鱗]get!
アッサリと調査をすませ、用の無くなった鉱山を後にし、テント設営して、保存食を噛り就寝。
翌日は、オークを探し求めた。深紅の単発銃の一撃で狩り、焼肉と姿を変えた。しかしながら、調理スキルが欲しいなという残念な完成度だった。収納スキルも無いので、未練たらたらで、素材の多くを諦めた。
最終日は、深紅の単発銃を使うのを夜まで我慢し、
夜に、人化をお願いした。
((ハヤトは、仕方ない人ね))
なぜかご機嫌のローズ
余分な光のないこの世界では、星の煌めきが幻想的で、時を忘れるくらいに綺麗だったが、オレは隣に座るこの美少女から目が離せなかった。
その深紅の髪は、夜の星の煌めきを反射している。
お嬢様の方が綺麗ですよ
そんなどこかで聞いた言葉を我慢した。
『へぇ、これはオーク肉。貰っちゃって悪いね。お兄さんは見かけによらず、強いんだね』
迎えに来た商人に、お土産の肉を半分あげたら、喜んでくれた。ちょうど昼飯時だからと、いい感じに焼いてくれて、分けてくれた。
「美味っ!こちらこそご馳走さま。」
商人と、仲良く、もぐもぐオークを頬張りながら、馬車に揺られて帰路につく。
入口の引取所に到着!
はー馬車って腰が痛いね。スライムクッションがあるけど、悪路だから、自動車に慣れたオレには、ちとキツイ。この世界にスプリングは、ないのかな。
『おぅ、月花草か?』
「今回は、調査依頼。」
『なんじゃつまらん。あれから月花草ブームで、納品増えたけど、三流品ばかしでのう、ガックリして帰るヤツが多いんじゃ。』
ドワーフのガルムに、すっかり顔を覚えられたらしい。
「納品カードで。」
[鉱山の毒霧の発生原因調査:E]
[劣化毒亜蒼竜:逆鱗]
[鉱山の地図:4層]
[調査報告書]
(毒霧の原因は、レッサーポイズンブルードラゴン亜種と断定。証拠素材の逆鱗を提出する。洞窟外に白い毒霧がみえるため好機である。入手した地図の怪しい位置に○を付けたので確認されたい)
『おぅ、んん?なんじゃこりゃ。』
なんだか、怪しい眼鏡をはめて、逆鱗と分厚い本をにらめっこするドワーフが、ここに誕生した。
((退屈ねーハヤト))
無言ドワーフにたっぷり30分以上待たされた。
『本物じゃの。意味が分からん。伝説の勇者から譲渡されたのか?』
「秘密です。」
『地図もいい出来じゃし。4層は未探査じゃから、買取できるぞ。1層の地図が違っとたのは、地図は販売する時にどうでも良い所をワザと隠すんじゃ。その修正内容が合格なら、信用して買取しとる。』
「そんな事教えていいんですか?」
『常識の話じゃよ、買取額は期待せい!』




