双子
陰鬱とした魔の谷を抜けて、立派な門が見えてきた。ほっとする。勇者ゼルとの死闘のせいで、数日しか経っていないくせに、なんだか懐かしく感じる。帰ってきた。
入場税に小銀貨1枚が必要な事を除けば、ご機嫌な国だ。今回は、3枚だが。そうそう乗って来たのは一人乗りの魔浪の馬車なんだが、少女2人は、上海雑技団よろしく、捕まって無理矢理に乗ってきた。凄いね。
痛む尻を擦りながら、馬車を預ける。
「お兄さん、痛そう」そう」
「あぁ君らは、痛くないのか?」
「はい、コツがありまして」してー」
「え?教えて欲しいな」
「立ってれば、痛くないのです」す」
「あっ、はい。」
駄目だ。この子達とは、分かり合えない気がする。げんなりした顔で入口に近づくと、ハゲたおっさんが、絡んできた。
「おうおう、草むしり野郎。今日は何もないようだな。ぶわはは。」
ドスッ!バキッ!
「お兄さんに、謝るのです」す」
突如奮われる双子のご褒美。
「ぐはっ、ありがとう御座います。」
「は、や、く。」く」
「ごめんなさい、お持ち帰り野郎さん。」パタリッ
双子の暴行により、改心し、気持ち悪い笑顔で、ハゲたおっさんが果てた。双子に暴行を注意しようかとも思ったが、Win-Winの関係なのか?
げんなりした顔で、小銀貨3枚を払い入門する。
「やぁ両手に華だね、ハヤトくん。」
「うるさいぞ、門番のトール。」
何時ものやり取りをしながら入門。今日も平和だ。
「ところでさ、なんでソフトウインドは、少ししか話さないの?」
「…」
「えっと?」
「話すのが、面倒みたいです」…」
「あーそんな理由なんだ。」
てくてくギルドまで歩きながら、アネモネと雑談。
「今回はさ、てっきりデイジーが来ると思ったんだけど?」
「隊長は、吸血鬼の能力奪取の際に、弱点の日光に弱いまで取り込んでしまって。日中は出れないのです。」
「え?溶ける系?」
「いえ、お肌が日焼けで、とても赤くなります。」
「え、大した事なくない?」
「は?女性には重要ですよ!」
「ご、ごめん。」
「分かれば、良いのです。ところで、何処に向かってるのです?」
「あぁギルドだよ。お金を真っ当に稼いで欲しくてね。」
扉を開けると、ヒソヒソとオレを称える声が聴こえる。「2人も連れてやがる」「お持ち帰り野郎め」「天獄のサラホールド狙いか」「羨ましい」ヘイトを集める盾職のツラいところねコレ。
あー受付嬢のマリエラさんの笑顔が怖いな。サラさんは、見ては駄目だ。あの色気に喰われてしまう。
「またお持ち帰りですか?ハヤトさん?」
「いや、2人の冒険者登録をしたくてね」
「あら、失礼しました」
「ははっ気にしないでください。」
このチョロさは、マリエラさんの良い所。さらさらっと書いて登録。何事も無く切り抜けた。と思ったのだが、
「早く、お兄さんの部屋に連れて行ってください。」お風呂楽しみ」
「ん?」
ゴゴゴゴ……
最後に地雷を踏まされた。泣きたい。逃げるように、宿へ向う。




