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ミケとの冒険


ここは、ダンジョン。

この迷宮は、低ランクの場所だが

それでも一般人には、魔物が棲む危険な場所。



ゴスッッ!


ゴスッッ!


しかしながら、出会い頭のミケが振る凶悪な、水バケツにより、一撃で作業のように屠られるゴブリン達。

その後を、てくてく歩くヒョロい青年。


彼は、何もしない。

ただ歩くだけ。


『ハヤトさんも仕事するっす。』

「いいけど、3回しか働けないぞ。」

『そうっすよね。』

「あと、あまり歩くと足に豆が出来るので、そろそろ到着して欲しい。」

『にゃんと使えない。』

((はぁ、それは同意だわ。))



((次は、右よ))

「次、右に行こう。」

『了解っす』


((そろそろ、着くわ))

「へぇ、そろそろゴールか。」

『え?来たことあるんすか?』

「無いけど、出発前に見たから分かる」

『凄いすっね』


凄いのは、ローズ。出発前に、ちらっと見た地図を正確にナビゲートしている。

彼は、ただ歩くだけ。



ぴちょん。


静かな迷宮に、水の滴る音が響く。



ぴちゃん。


迷宮の曲がり角から、淡い光が漏れる。

地面、壁、天井の材質が、一様に黒いタイルのような素材に変わり、この先のエリアが特別である事を示すようで、期待が高まる。

てくてくと奥へ歩く。



着いた。


少し広い行止り。円のような空間。最奥には、ダンジョンコアがある。


中央の天井には、鍾乳石があり、その先端からは水が滴っている。ぴちゃん。と落ちる水音が静かな迷宮内へ響く。


その鍾乳石の先端部は、凝縮した光が集まり、クリスタルのような輝きを内包している。


『おーっ』

「おおーっ」

((…綺麗ね))



ぴちゃん


暫く眺めて、その幻想的な光景を堪能した。

いや、共有した。


きっと地脈の欠片という言葉を聞くたびに、珍しく好奇心旺盛な顔で、キラキラと目を輝かせているこの猫娘の顔を思い出すだろう。その瞳は、地脈の光を内包している。



「さて、仕事するか?」

『そうっすね』


ひょいと身軽な猫が、鍾乳石のようなモノに近寄り、先端のクリスタルをペキッと折る。


『地脈の欠片ゲット!』

パチパチ


決めポーズをとるミケに、拍手を贈った。


この迷宮は、地図があり、定期的に出来るこの地脈の欠片というクリスタルを採取するクエストが出る。


日本では、残念な石の塊が、何十年という歳月をかけて形成されるので、決して折ってはいけないが、この魔法の世界では短いサイクルで地脈の力を凝縮し、その先端に、クリスタルが出来るのだろう。



ふと、その足下が気になる。

気になった。


水が落ちた先の地面だ。

水が穿ってヘコんだ跡もない。周りと同じ黒いタイルのような平面。


水が落ちて消えていく。

一瞬、落ちた場所が、2重に光るが、周りと同じ平面の黒いタイルに戻る。



「なぁ、地面とか掘れる?」

『へ?この迷宮は、何も採掘出来無いって聞いたから、ピッケル持ってきて無いっすよ。それにダンジョンの壁は壊せないっす。』

「だよなー。」



((フフッワタシを頼りなさい))

「出来るのか?」

『だから、出来無いっす!』


このお役立ち感は、まるで、青いタヌキ。え?のび太ポジなの?嫌だな。


((引鉄を引きなさい))

「あぁ、頼む。」



[闇魔法:闇の具現化]をセットして、照準も合わせず引鉄を引く。


ズドンッッ!!


轟音をたてて、銃身が赤熱し、濃密な黒い煙を吐く。濃密な煙が、さらに凝縮して集まり、実態として具現化する。


カランッ

と音を立てて、漆黒を集めたピッケルが具現化した。


「おぉっ、なんか出て来た。」

((それ、暫く使えるわ))




『にゃああああーーーっ!!』


静かな迷宮に響くは、猫の絶叫!先程までの幻想感は無い。



『先に、説明してください!』

「あぁ、ごめん。」


『で、そんなもの出してどうするんすか?』

「まぁ、見てなって。」



漆黒のやたら格好いいピッケルを、足下に、タイルが光った瞬間を狙い、叩き込む。


普通、迷宮壁は、ダメージ無効だ。

だけど、演出として成立すれば、破壊、つまり採掘できる。


採掘できた!

地面からは、クリスタルと同じ種類の色を内包した小さな宝石が2個出て来た。

しかし、輝きが違う。ずっと見ていたいそういう光を内包している。


『にゃぁっ! だから、先に説明を!』

「あぁ、ごめん。」


地脈の雫2get!


石を取り出した後は、何事も無かったかのように、無傷の黒いタイルに戻った。水滴が落ちても光らない。2重の光は、2個あったからか。


「さぁ、帰るか!」

パチパチパチ


と拍手するミケと、来た道を戻る。



ずっと気になっている事がある。

ちょっとそわそわしている。

だんだんと入口に近付いてきた。

頼む。残っていてくれ。


おぉっ

会いたかったぞ、宝箱ちゃん。


ぎゅっと抱きしめた。


『ええーミケは、いらないっす。』

「このロマンが分からないとは」


重い宝箱を抱えて、のたのたと歩くヒョロい青年ハヤト。


『そのゴミ箱、捨てないっすか?』

「駄目だ、持ち帰る!」


携帯食を食べて、

魔狼の馬車で帰路につく。

「サスペンション欲しい。」

人間は、欲深い生き物。

宝箱を大事そうに抱えた彼は、化け物だが、心は人間である。




引取所に、到着。


『おぅ、久しぶりじゃな。今日は何じゃい?』

『地脈の欠片っす!』

『ふむっ、普通じゃのう猫娘。ほれ、納品カードじゃ』

『あざっす!』

「フフフ、この宝箱(小)もある」

『開けるなら、小銀貨1枚じゃが?』


明らかにガッカリした顔のドワーフのガルム。なんだロマンの分からないヤツが多すぎる。小銀貨を払う。


ガチャッ!


『おおっ』


出て来たのは、錆びたナイフ(小銀貨1枚)


『おおっハズレじゃ!こりゃ、いらんわい。持ち帰えってもええぞ。お持ち帰り野郎のハヤト殿。』


あれだけ重いのを、頑張ったのに!

くそっ、煽ってきた。月下草の事を、まだ根に持ってるのか、悔しい。

まてよ?


「そーか、持ち帰ってもいいのか。」

『いいぞ。』


2つの宝石を、ちらりと見せる。


『そっそれは!地脈の雫!?頼む!う、売ってくれぇぇ』

「残念だったな、許可は取った。オレは、お持ち帰り野郎のハヤトだ!」


『お持ち帰り野郎に全部持ち帰られた。』


後に残るは、哀しいドワーフ。



「ほらっミケ!報酬だ。」


僅かに大きいほうの宝石をミケに渡す。


『大好きにゃん!』


ぎゅっと抱きつかれた。

こんなキャラじゃ無かったと思っていたのだが。

慎ましながらも、胸はあった。

エネルギーの塊であるその身体に、不覚にもドキドキした。

((浮気者っ))




ギルドにて納品カードを提出。


下級受付嬢マリエラさん

癒しスポットだったハズなのに、サラさんのせいで、すっかり堕天使化


『これはこれは、デート楽しかったですか?』

「いや、護衛を」

『へー』

「えーと、プレゼントがあるんだ。」

『え?デート券ですか、今から予約しないと。それ以上でもいいですよ』


すっと、地脈の雫を渡す。

大地の力を内包したその宝石は、ずっと見ていたい輝きがある。


『えぇ!!!』


びっくりするマリエラさん可愛いのう。

揺れる豊満な胸をみながら堪能する。


『ハ、ハヤトさん。ありがとうございまずぅぅ。』


え?泣き出した。

結構、ヤバイ石だったのかも知れない。


『うふふふ』


ドヤ顔で、サラさんに宝石を見せつける、最高の笑顔を魅せる大天使マリエラ。


普段より、ヘイトが凄い。

冒険者と、『お姉さんには無いのかしら、ぼくぅ?』サラさんの心の声が、凄い。


ヘイトを集めるのは盾職のお仕事。

彼は、哀しき盾使い。




[地脈の欠片:E]達成

[小金貨1枚]get!


(報酬は小金貨2枚だったが山分けのため)




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