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[月花草の採取] 受注


てくてく歩いて、フォルディア王国に到着!


入口の引取所で屑魔石と錆びたナイフを売却、しめて小銀貨2枚。身分証明書持ってないから、びくびくしてたけど、不要らしい。ただし、町民以外は入場税がいるとの事。

入場列に並んで、入場税の小銀貨1枚を払う。

めっちゃ眼つきの鋭い人に、ジロジロ見られた。見慣れない顔なので、悪意感知スキルで、入場審査されたらしい。


「あのー冒険者ギルドは、どちらですか?」

『あぁ、トール案内してやりな』


スラッっとしたお兄さんに案内してもらい冒険者ギルドに到着。重そうな鎧を着ていたし、オレよりは、強そう。


『お互い頑張ろう!もうすぐ僕、門番になれるんだ』


ニコッと笑う純朴そうな人だ。


「ありがとう!」


オレもニコッと笑って、お礼を言った。



「登録したいのですが?」

『はい、登録料は小銀貨5枚です』


ニッコリ微笑んで対応してくれたのは、下級受付嬢のマリエラさん。可愛い眼鏡のお姉さん。隠れ巨乳とみた。


オレでなきゃ、見逃してたね

((サイテー))


ごほんっ。ぶっちゃけ審査に通らないかびびっていたが、子供ができる清掃やお使いクエストもあり、審査なんて、なかった。

申請用紙に、必要事項を、さらさら書いて提出する。


[名前:ハヤト 職業:斥候 ランク:F]

ギルドカードを手に入れた!


なお、職業は、特殊職を除いて自己申告制。ダメージ0を活かして盾使いも悩んだけど、盾持ってないんだよね。心は、盾使いだから。


しかしながら、問題がある。

所持金が、小銀貨1と超貧乏なので、どこにも泊まれない。とにかく何をするにも金がいるのだ。


さっそく、深夜クエスト[月花草の採取]を、クエストボードから剥がして、提出しよう。

深夜クエスト、あって良かったー。


『このクエストは、レッサーウルフが出るので、必ず魔除け草を持っていってくださいね。熱中して効果時間を忘れないように。お金貸しますよ?』


優しい。。天使だ。

犬柄のお財布から小銀貨4枚を出そうとするお姉さんを

「大丈夫です」(ダメージ無効なので)

と困った笑顔でお断りした。



クエスト[月花草の採取:E]start


薬草店に行く。

 魔除け草(小銀貨3 弱 2h)


これか。効果時間は2時間、一晩中採る気なら、8時間で合計、小銀貨12もいる。

まぁ買わないんだが。

小銀貨4?あー1回分と、残りは飯の金か、気配り凄いなマリエラさん。完全耐性スキルで食事を我慢。


武器屋に行く。

 ヒノキの棒(小銀貨8)

 ナイフ(銀貨2=小銀貨20)

 臆病者の盾(銀貨3)


……当然、買えない。


ブラック勇者ですら、ヒノキの棒ぐらい持ってるよね!?

まぁオレには魔法銃あるし?

今日は、残弾無いけど



『気を付けろよ、魔除け草は持ってるか?』

「大丈夫です。」


と門番と会話し、門を出る。



夜風が気持ちいい。


意外と月明りって明るい。

松明は、持って来なかった(買えなかった)けど、問題ないな。


あと、うるさい。魔獣の唸り声とか聴こえる。車のクラクションや列車の音と同じ感じかと感傷に浸った。



てくてく歩いて、目的地へ


綺麗だ。


目の前には、緑色の草原に月花草の白い花が月明りを浴びて、幻想的に光を讃えていた。風で揺れるその姿は、まるで精霊が遊んでいるように見える。



((綺麗ね。。))


「そうだな」


((そういう時は、お嬢様の方が綺麗って言うのよ?童貞さん))


何言ってんだ、この銃?


「無機物には欲情しないから」


とローズをあしらい。月花草を採取する。白い花の中にある香り高い結晶を集める。この月花草、月の夜に採取しないと、魔効が無くなるらしい。さすが、魔法の国だよね。


ガジガジ裾を噛もうとしてきたレッサーウルフを撫でてみたが、仲良くはなれなかった。しかし、この犬、凶悪な顔してる。


袋を忘れたが、問題ない。

一つの花から少ししか採れないから、上着を袋替わりにすれば余裕なんだ。

ウルフを無視して採取に励んだ。



夜が明けて、入口の引取所に納品に行ったら、査定待ちしてる先客のイカツイおっさん冒険者が、絡んできた。


『へっ、そんだけの量かよ!びびりすぎだぜ。兄ちゃんのランクは?』

「Fですが。」


『ぶわはは、まぁワシはEだからな。』


すげー偉そうなんだが、Eなのかよ。しかし、この顔で月花草クエは残念だな。先程までの幻想的な気分が台無しだ。

おっさんの納品を横目で見ると、雑っ!酷いレベルの処理をしていた。なぜ、葉っぱまで入っているのか?理解出来無い。花の中にある結晶を集めるんだ。誰か教えてあげてください。



生暖かい目で、おっさんを見送って、引取所のドワーフのおっちゃんに、自分の素材を提出する。


「月花草を、納品カードで」

『おぅ、んん?なんじゃこりゃ』


「どうかしましたか?」

『いや、品質が良すぎる。丁寧な選別に、魔除け草の臭いが無いのが、信じられん!さっきのビビりの処理は、雑じゃし、魔除け草の焚きすぎで臭かったわい』


「それは、どうも。」

『おぅ、色つけとくからの。また頼む。』


袋代わりにしていた月花草のとてもいい香りが移った上着を羽織って、入門した。


え?また小銀貨1枚とるの?

最後の1枚だよ?

ギルドに入ったのに、入門税がいるのか。



((無一文さん、考え事?))

「あぁ、素材はギルドカウンターに提出するのかと思ってたけど、入口の引取所で、換金か納品カードを選ぶんだな」

((当然でしょ、未処理の魔物の死骸とか町中引きづられたら迷惑だし。それに換金できなきゃ入門税払えない人もいるわ))


ふーむ。言われてみればそうか。オレの知ってるファンタジー知識と違った。


ローズと雑談しながら歩く。ただ、ローズは念話でオレだけに話してくるから他人から見れば独り言なんだ。明らかに不便だし不審者になるけど、この声を独占できるのは少し嬉しく複雑な気分だ。ちなみに、オレは、念話出来無いので独り言は避けられない。

ギルドにつくと、さっきのおっさんが湿気た顔で座っていた。高価な魔除け草を使いすぎて、赤字なのか?可哀そうに。


『おかえりなさい。心配しましたよ。』


天使マリエラさん降臨


「納品カードです。あとこれマリエラさんにプレゼントです。」


月花草の中に、ごく稀に、最高級品の月下草が混じる。極上の香りで、女性に大人気。売るには少ないからという理由で、売ってくれぇとせがむ引取所のドワーフを無視して持ってきた一品。


『え??ありが、ええ?』


ビックリしすぎたマリエラさん可愛いのう。


((ちっ、雌犬が))


怖っローズ怖いよー


『ありがとうございますハヤトさん!それと記録更新かも』


おぅふ、もう名前呼ばれた。月下草さんに感謝。納品カードを持ってバタバタ裏に駆け込んだと思ったら、なんか裏から、貫禄のある無精髭の人が、出てきたんだけど。


『第55支部ギルマスのエッケンハイムだ。まずは[月花草の採取]記録更新、おめでとう。エルフとウィードの高レベルハンターでも雇ったのかね?』


普通は、月花草の採取は、獣に怯えながら月明りで魔除け草の風向きに注意してと、簡単に見えて難易度が高い。結界は魔効を劣化させるし。防御固めたら繊細な作業はできないしで、オレ以外がやるなら、超高難度のようだ。


「秘密です。」

『まっ、当然だな、今後も期待してる!』


『ハヤトさんお礼に、デートしましょう!』


月下草でテンション爆上がりのマリエラさんが急に抱き付いてきた。


むにゅん。


その豊満な胸が、腕に押し当てられ、たまらない極上の弾力を感じる。一身に、全神経を腕に集中した。

天国か。


((雌犬が))


寒っ、ホルスターの愛銃ローズから、禍々しいオーラが増大する。やばいね。カラータイマーが鳴っている、もう戦っては、ダメだ。


「気持ちは嬉しいけど、それより宿に行きたくて。」

『そ、それは、ちょっと早いです。』


「いや、疲れてるのでひとりで。」

『あっ///』



[月花草の採取:E]達成

[小金貨4枚+銀貨7枚]破格の報酬get!


月下草を売れば、金貨5枚は余裕で超えてたんだが、受付嬢の笑顔は、お金じゃ買えないのです。

小銀貨だと470枚ですよ。ヒャッハー


ほくほく顔で、ギルドを出たんだが、


『おぅ待てや!インチキ野郎。ワシの方が、量が多いのに、どうなっとんや?』


たちはだかるイカツイおっさん。


さっきのおっさんか?

あの雑な処理が原因なのに、なぜ分からないのか不思議だ。随分と失礼なヤツだが、まぁいい。

気分いいから見逃してやろう、てくてく歩く。


『こら、ワンド様が直々に後輩の指導せんといかんのぅ、正義のEランク拳くらぇや!』




ダメージ0!


固まるおっさん。


てくてく歩くオレ。

真の強者は、イジメはしないのだ。争いは生まれないよ。




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