天使マリエラ?
ギルドに寄り、昨日貰い損ねた報奨金を貰おう。楽しみだ。そして癒やされよう、天使マリエラさんに。
『これは、お持ち帰り野郎のハヤトさん。クエストですか?超特急でランクアップして、下級の私は捨てられるんですか?』
堕天していらっしゃる。
「お持ち帰り野郎とは?」
『2つ目の称号です。良かったですね。罪状は、引取所のガルムさんから、素材を全部売ってくれないと泣きつかれた。3人の少女を連れ回してた。先輩のサラさんとお部屋で2人きり。の3点です。』
「ギルマスもいたんだけど。。」
『えっ?そうなんですか?』
ニヤニヤと、こっちを見てるサラさんは、相変わらず色っぽい。
堕天使マリエラが、ぐるっと首を回し、ジト目でサラさんを見ると、あっ目を逸らした。ふぅと息を吐くと、いつもの天使モードに。
『久しぶりですね、ハヤトさん。依頼ですか?』
無かった事にした!
「いや、、、今日は受け取りだけで。しばらく、ゆっくりしたいかなー。オレは下級冒険者だし。」
『いい心掛けです。それと持ち帰るべき人は
他にいると思います。』
「あ、はい。」
ランクアップのお知らせ
[名前:ハヤト 職業:斥候 ランク:E→D]
[お持ち帰り野郎]称号get!
[天上の雲茸の採取:E]達成
[迷子の捜索:C]達成
[迷子の捜索:E]達成
[迷子の捜索:E]達成
[迷子の捜索:F]達成
[金貨15枚]get!
中級が受けれるようになりました。
受けれるものなら、受けてください。
捨てられる可愛そうな下級の私。
マリエラさんの瞳は捨てられた仔犬が訴えてくるように、不安げに見えた。
さて、
今日から3日間は、予定が詰まってる。
お食事に行くのだ。
囚われの少女達のお宅へ。真の目的もあるしね。ムフフ。
うん。バレたら死ぬな。
ダメージ0スキル無効な気がする。
[1人目アーニャの家]
「大きいな。」
((そうね。貴族かしら?))
凄い豪邸だった。依頼:Cの破格の報酬相手。
『ようこそ、いらっしゃいました。旦那様がお待ちです。』
老執事に、案内されるまま、キョドりながら、ついて行くヒョロい青年。
小市民のハヤトは、落ち着かない。
さながら、ウサギがライオンの檻に迷いこんだか如く。そこに、死線を潜り抜けた男の姿は無かった。
((はぁ、しっかりしなさいよ。情けない。))
『キミが娘を救ってくれた恩人か。良く来てくれた。歓迎しよう。』
『お待ちしておりました。この度は、助けてくださり、ありがとうございました。』
清潔感のある高級な服を纏った優しげなこの家の主人と、お淑やかなお嬢様が一礼し出迎えてくれた。町娘に扮してお忍びで遊んでいた所を拉致されたらしい。
豪華で優雅な食事会の後は、食事のお礼に、ハヤトは物語を披露した。
これこそが、真の目的。敵と場所を偽装し、勇者協会の追手を欺く。ローズの智慧を借りて作り込んだ物語。
「ふと、カンデラ平原で、怪しい馬車を発見しました。なんだ?と興味を覚えたオレは、草むらに隠れそっと忍びよると、そこには覆面の手傷を負った複数の盗賊達が。そして馬車からは、なんと子供の声が聞こえるではありませんか!緊張のあまり、ドクドクと早鐘のように打つ鼓動は、その音だけで敵に気付かれてしまうかと。逃げて報告するのが英断だという弱き心の声を撃ち倒し、勇気を出して!深く深く息を潜めて、、単身で静かにじりじりと近寄りました。振り返えれば僅かな時間、ですが永遠とも思える時が過ぎ。今だ!見張りの一瞬の隙を付いて……」
嘘をつく青年。きっと今は、ピノキオのように鼻は長い。彼は嘘は嫌いだが、人の為ならつけるのだ。子供の未来を守る!エドナの家でも同じ物語を語ったので馴れたものだった。
いいよね?事実はもっとハードだったし。
『おぉー』『素晴らしい』『絵本の勇者さま』『格好良い!』『アーニャ様、助かって良かった』
ぱちぱち
と拍手が巻き起こる。使用人達も含め、昼飯後のティータイムの演目は、満足頂けたようだ。囚われの姫アーニャが登場するシーンでは皆、息を飲み前のめりに、聞いてくれた。昨日は、そこはエドナ姫だった。
『娘をどうかな?』
『素晴らしい考えです。お父さま。』
「いえ、歳が離れておりますので」
娯楽に飢えた皆のリアクションに気分を良くし、調子に乗って、やり過ぎたらしい。
なんとか、貴族の豪邸を脱出!
「少し、疲れた。」
((お疲れ様。))
途中、貴族街の小洒落た雑貨屋さんに寄ると、とてもいい匂いの石鹸があったので2つ買う。
仕事をやりきった彼は、ゆっくりと、てくてく歩き帰路につく。
さぁ、おばちゃんの作るキノコ料理が楽しみだ。
やばい、いい薫りが店に充満してる。
娘娘亭は、普段のお肉の焼けた匂いではなく、深い森林の清々しい薫りで、充ちていた。
『この本日限定、天上の雲茸スープを追加で!』
『はいよ。』
朝の一欠片だけ入ったスープを結構な値段で販売しているが、大盛況らしい。
『おかえり、今夜は期待していいよ。』
「もぅ、お腹ペコペコです。」
天上の雲茸のフルコースだ!
メニューには無いオレの為だけの特別料理
焼いたのから、蒸したのから。グラタンなのか色々ある。う、美味い!
あぁ天上に至る至高の味。薫り。
この場を支配した薫りの正体を見ようと、他の客の視線が凄い。
ヘイトを集めるのは盾職のお仕事。
『このキノコ凄い美味しいねぇ。また持ってきてくれても良いんだよ。』
「すみませんが、なかなか手に入りませんので」
幸せの余韻に浸り、軋む階段を登ってお部屋に入る。
落ち着く。
今夜こそ、熱いお風呂に入りたいものだ。




