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潜入


車輪の跡を辿り、獣道を歩く。


本来、獣道というのは、草むらにある20cmぐらいの穴道だ。ただ、ここは異世界。

魔物道なんだろう。人間がゆうゆうと通れる大きさがある。

どんな大きさの魔物が通り抜けたらこうなるのか、考えるだけで恐ろしい。


障害物が無いと、進軍速度が上がる。気持ち良く歩けた。

ただ遠かった。現代人には荷が重い。

ダメージ0スキルの適用外なのか、背中の袋に入れた余分に持ってきた食料が、肩に食い込む。捨てようかとも思った。しかし、捨てるのは農家に失礼だ。心が、日本人のオレに架せられた十字架がそれを許さない。

ゴルゴダの坂を歩くイエスよろしく悲痛な顔で歩く。


「疲れた。足に豆が出来てる。痛い。」

((貧弱ね、頑張りなさい))


やっと、

辿りついた先には小さい迷宮があった。

入口の近くには、杭が打ち付けられ、馬車と魔狼が繋がれている。明らかに生活している雰囲気がある。

((盗賊のアジトかしら?))

「確認しよう。」



荷物を木陰に隠し、潜入する。潜入は身軽な装備が鉄則だ。

オレは、荷物を降ろす口実を得た。

ふいーっ汗を拭う。


盗賊のアジトなら、確かめてギルドに報告し殲滅する必要がある。

足に豆が出来たとか、言ってられない。


まず外に止められた馬車を確認。馬車には、見た事が無い変わった足跡があった。

((鼠族の足跡ね))

「そうか、鼠族か。」



覚悟を決めて迷宮に潜入。

1人なので潜入には向いている。ぼっちでは無く孤高と言って欲しい。


薄暗い迷宮で、足跡を辿りながら探索する。


子供の鳴き声が聞こえた気がした。

幻聴だろうか

「子供の声、聞こえた?」

((ええ、聞こえたわ))

幻聴ではないらしい。

あまり良くない兆候だ。盗賊より、犯罪者ギルドや悪魔結社の可能性が出てきた。


明かりが見えた。

足音を立てないように注意して息を殺して、近付く。


『帰りたいよー』

子供の泣き声が微かに聞こえる。

『うっせぇぞ!酒が不味くなる』

何かを叩く音。


中を一瞬覗くと、鼠族が複数いた。

さらに会話が聞こえる位置までにじり寄り壁に耳を当てる。


『今回は、人形集め早く終わったな』

『酒が美味いぜ』

『しかし、人間のガキってのは、間引いても全然いなくならねぇのな』

『魔の谷の迷宮を人攫いのアジトにするとかヤバすぎっしょ』

『おいっ人形集めって隠語を使え』

『街じゃねんだから、イイダロ』



[迷子の捜索]

ふんわりとしたギルドの依頼が繋がった。


助けたい。今すぐに。

くそぉ、もっと力があれば

今すぐ助けられるかもしれないのに。


残念ながら、たった1発ではこの局面は切れ抜けれない。

完全に制圧出来ないと、逃げられたり子供に危害が及ぶ可能性がある。早く帰って助けを呼ばなければ。


逸る気持ちを抑えて、足音を立てないようにその場を離れる。

洞窟の出口までが遠く感じる。


逸る気持ちがダメだった。

入口から来た人物と遭遇してしまった。


「!?」

『!!』


鼠族では無さそうなのが救いか。


見た事がある顔だ。

こいつは、




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