↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/51

優しさ

私服のギルド受付嬢に、手を引っ張られて、デート?がスタートした。


細い滑らかな小さな手。

少し汗ばんだその手は、ひんやりと冷たくてドキドキする。

気付けば誘われるまま店に入っていた。


テーブルに向かい合って座る。

適当に注文を選び飲み物を待つ。 


冒険者の憧れの美女と一緒の席に

緊張で喉がからからだ。

水を求めてテーブルの上を見る。空のコップが重ねて置いてあるが、氷水の入ったピッチャーは、どこにも見当たらない。

そういえばメニューにあった精霊水は、有料だったな。

注文もしてないのに、入店直後にお冷が無料で出てくる日本が少し懐かしい。


『ウォーター。はい、どうぞ』

「え?」

『あれ?お水は飲まないんですか?』

「いや、ありがとう。」


魔法で水で満たしたコップを受け取る。水は各自、魔法で作るシステムなのか。


フォレストバードのスープを味わう。

パンみたいな物をちぎって食べる。


『元気出してください。クエストは失敗してもケガが無ければやり直せるんです。』

「励ましてくれて、ありがとう」


どうも、ひどく落ち込んでるらしい。

クエスト失敗は気にしてないんだ。でも、自分の正体が人間じゃなかった事実がダメージ大きくて、申し訳無いけど、気持ちの切り替えが出来ない。


「凄く活躍されてるから大丈夫です。もしかしてハヤトさんの正体は御伽話の勇者でしょー?」


『いや、残念ながら』


勇者の敵。正体は、迷宮の壁です。

なんて言えない。

勇者は、国で管理されてるから違う事は明白だ。気を使ってくれたその冗談が、今日だけはその優しさが、胸に刺さる。


『ええーあのゴロツキより、よっぽど勇者らしいのに!そういえばあのゴロツキ勇者、過去に大事なモノを盗んだとかでトラブルになった事があるんです。』

「それは、怖いね」

『そうなんですよ。だから今日は報酬は分けてお渡ししました。』

「見てた。とても良い仕事ぶりだったね。」

『そんな、ありがとうございます。』


テレテレしてて癒される。

テレマリエラさん誕生


お手洗いに行ったついでに、二人分の料金を先に支払った。


「今日は誘ってくれてありがとう。少し元気が出た」

『また行きましょう!えっと、ご馳走さまでした』



宿屋に帰り、ベットに横になる。

何もする気がおきない。

深紅の単発銃を撫でるがローズの反応は、無い。寝てるらしい。



『愛しのミケっす。水注文するっすか?』

「あぁ頼む」


小銀貨を渡す。


ちゃぽん、ほかほか〜

無詠唱で風呂桶にお湯が現れた。

あぁ本当に無詠唱出来たんだな。ぼんやりそう思った。


『総てを照らす希望の光よ。暖かなる光にて癒やすのは、肉体ではなくその魂。傷付いた戦士を光で包み、その心を癒せ。ハイヒール!』


天井からキラキラする光が落ちてきた。お湯の中に星屑が溜まる。揺らめくようにその湯が回復の光を放つ。


『元気出すにゃん?』


その優しい演出に

少し泣きそうになった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] ええ子や……。(ほろり) [一言] ええ子たちや……。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。