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嫁さんの肩こり事情  作者: 仲村千夏
4/6

4・肩こりじゃなく腰ッ!?

「肩、痛い」


 現在、うつ伏せで寝ていたら背中に馬乗りされて腰が逝きかけている。

 今日は自分が腰をやってしまったのだ。

 仕事で重いものを持った時に腰がピキッと変な音が聞こえた。仕事はなんともなかったのだが帰ってきた瞬間に膝から崩れ落ちた。

 それからずっと腰が痛いのだ。

 

「今日は勘弁してくれないか?」

「肩痛いときは揉んでくれるって言った」

「うー。わかった。でも長くできないよ」

「それでいい。そのあとは私の番ね」

「えッ?」


 とりあえず痛みをこらえて座りいつもの肩もみを行う。

 痛がってはいたが、いつものメニューを五分、両肩して終了。


「はい。横になって」

「なにするの?」

「なにって、いつものお返しじゃん」


 そう言いつつ笑顔なところが怖い。

 何するかわからない。

 本人はじゃれたいだけだろうがこれまで何事もなく終わったためしがない!

 うどんを食べに行ったとき、七味をかけすぎて蓋が外れて漫画みたいな出来事になったり、本が逆さに落ちて変なしわが出来たり、資料がバサバサと落ちたり、卵が割れたりといろいろやっているから心配しかない!

 ただ、ここで断ると変に拗ねてしまって口をきいてくれなくなる……。

 不穏な空気をつくりたくはないのだ。

 

「わかったけど、優しくしてね」

「わかってるよぉ~」


 だからその笑顔が怖いのだ。

 自分はもう一度うつ伏せになって腰の痛い所を指す。

 そこに向かって一発平手打ち。

 電撃が腰から一気に脳天まで貫くような痛みに襲われる。

 声にもならないその痛さは本格的にやってしまったことを物語っている。いわゆる、ギックリ腰。

 歩くのも、立つのも、体を起こすのも痛みで困難になる。

 

「あ、ごめん」


 顔がニヤついている。完全にわかっていましたというような顔だ。

 わざとやったのは確信犯だ。

 

「ちゃんとするから~」

「次したらもういいから」

「は~い」


 そこからはさすったり、温めてくれたりしてくれるが所々で脇腹をつついてくるといういじめ付き。

 はっきり言って自分の反応をみて楽しんでいる。

 痛みとこそばゆい感じで拷問を受けた。

 時間にして約一時間、みっちりと。

 その間に痛みはだいぶ収まっていた。その上で湿布も貼ってもらった。

 揉んでもらっていたし、何より温めてもらったことが一番よかったのかもしれない。

 その日は、ゆっくりと休むことに集中して翌日には病院に行った。


「一時的な腰痛でしょう。安静にして一週間もすれば大丈夫ですよ」

「ありがとうございます」

「お大事に~」


 とりあえずよかったことはギックリ腰ではなくてよかったということ。

 仕事はまぁ、ぼちぼちと無理なくやって行こう。

 嫁さんは笑顔でこう。


「今日も、肩揉んでね。腰はギックリ腰じゃなかったんでしょ。それだったらできるよね?」


 そう言って今日も嫁さんの肩をもむ。

 というか、休日をゆっくりと過ごさせてくれ~!!


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