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幻想郷の食堂  作者: 東かた
2/9

第二話

随分と間が空いてしまいました。

ごめんなさい



ではどうぞ。


店の片付けが無い葉月の朝は、畑の手入れから始まる。

大根などの根菜が、美味しいこの季節。葉月の畑には、大根は勿論、カブ、太ネギ、かぼちゃなど、様々な野菜が元気に実っている。


「フゥ…こんなもんか。」


持っていたクワおろし、額の汗を拭う。

季節は冬だが、農機具は重たいものが多い。なのでそれなりに疲れるし、汗もかく。


「お疲れ様!ハイこれ!」


近くにいた小柄な少女が水の入ったコップを渡す。


「おお!ありがとう。」


それを一気に飲み干し、少女にコップを返そうとした時に、はて?とおもった。

葉月は一人暮らしだ。同居人などいるはずもなく、朝一人で畑に来てから声をかけられた記憶もない。

コップを渡された方を見ると帽子を被った少女がそこにいた。


「…こいしちゃん、いつの間に。」


「う〜ん…さっき?」


「いや…疑問形で言われても…」


「犯人は無意識だから仕方ない!」


「あはは…相変わらずだね。」


無意識を操る少女、古明地こいしはニッコニコの笑顔で言い切る。対して葉月は苦笑気味だ。

こいしは能力の制御が完璧では無い。なので無意識でフラフラと放浪している事が多い。

本人の意思に関係なく様々な場所に現れるのだが、朝はほぼ毎日、葉月の所に現れる。そして朝飯をたかっていくのだ。

ご飯を食べていくこと事態葉月は気にしていない。彼は料理人だから美味しく食べてもらえればそれで良いからだ。

ただ、なんの前置きも無く来られるのは困る。食材の量等が間に合わない事があるからだ。


「今日も食べてくのかい?」


「うん!お兄さんの料理は美味しいからね。」


「アハハッ!ありがとう。僕は片付けないといけないから下で待っててくれるかな。」


「分かった!」


こいしは家に、葉月は片付けの為に物置小屋に歩いていく。歩きながら何を作るか考えている葉月の顔は非常に生き生きとしていた。






side葉月


子ども、と言うのはその小さな体から想像もつかないぐらい元気だ。コッチがヘトヘトに疲れていてもキャッキャとはしゃぐ。

何が言いたいのかといえば、この幻想郷では見た目が子どもならソレが当てはまるわけで。

こいしちゃんが朝飯を食べて、てっきり帰るかと思えば『遊ぼ〜』と無邪気な顔で言われた。

当然断れる訳もなく遊び始めたのだが…


「ハァ…はぁ…ハァ……。」


「もう、葉月!おっそーいー!」


「こいしちゃん…それは…別のアレ…だから…。」


死にそうです。

元気も元気、妖怪だから身体能力も高いから寺子屋の子どもより質が悪い。楽しかったけどね?もうすぐ三十路の男性にはキツイです。


「こいしちゃん、部屋入らない。」


「う〜ん、お兄さん辛そうだし…良いよ!」


「ありがとう。」


前言撤回。きっちり話しを聞いてくれる。寺子屋の子達より全然マシだった。

疲労で重たい体を引きずって、家の中に。ちなみに今の状態は僕がこいしちゃんを肩車している。こいしちゃんは上機嫌で頭をペシペシしてくる。うん、痛いからやめようか?

部屋に入ったら、こいしちゃんを降ろして冷やしておいたお茶を出す。


「何する?」


「まだ、遊ぶ気なんだね…」


「だって、暇なんだもーん。」


『だもん、だもーん』と言っているこいしちゃんは大変可愛い。ロリコンじゃ無いぞ(重要)。


「う〜ん…じゃあ、将棋でもしようか?」


「しょうぎ?何それ!」


「将棋知らないの?えーと、チェスは分かる?」


「知ってるよ!フランちゃんとよくやるし。」


「え、フランちゃんと友達なの?何それ初耳。」


フランちゃんは知り合いの吸血鬼の妹だ。まぁ何と無く雰囲気が似てるから類友ってやつだろ。あの子チェス強いからなぁ…


「そのショーギって、チェスと同じなの?」


「ん…まぁ、だいたいはね。取り敢えずやってみようか。ルールは僕が教えるから。」


「よーし!負けないからね!」



青年?&少女将棋中…。



「はい、王手。」


「あ〜、また負けたぁ…お兄さん強すぎ。」


「一応手加減してるんだよ?飛車角落ちだし金銀無しだし。」


「よけい悔しぃ!もう一回!」


「まぁ、良いけどさ。」


どうやら将棋は気に入ったようだ。今の所僕が全勝だけど。

いや、手加減してるよ?さっき言った通りだし、待ったも有りだし、いくつか見逃してるし。

ポーカーフェイスしているだけで実際やばいと思った局面はいくつかあった。こいしちゃん以外と才能あるかもしれん。


「良し!次こそ勝つ!」


「まけねぇぞー(棒)」


「あややや、楽しそうですね。」


「お?新聞か。」


「新聞じゃありません、清く正しい射命丸 文です。」


突然窓から入ってきたのは、羽根を生やした女性。烏天狗という妖怪らしい。天狗組は大抵窓から入ってくる。きちんと玄関から入ってきて欲しいのだが、何度言っても聞きやしない。


「ゴシップ好きを清く正しいとは認め無い。」


「あやぁ〜、お厳しい。」


「で、何の用?生憎、今日からだいたい一ヶ月くらいまで店は開けないよ。」


「おや、残念。でも今日の目的は葉月さんのお昼ご飯をたかr…もとい取材しにきましたので。」


「たかりにきたんだろ。まったく…でも、もうそんな時間か。こいしちゃんも食べてくかい?」


「もちろん!」


ふむ、そうなると…うどんでもやるか。大根とネギもあるし、煮込みうどんでも作ろうかな。


「うどんで良いかな?」


「良いですねぇ。冬のうどんはまた別格ですから。お酒もあります?」


「うちは昼間に酒は出さないよ。」


「残念です…」


割と本気で落ち込む新聞屋。こいしちゃんを見習いなさい。無邪気にうどん連呼しながら喜んでるだろ。

まぁ、付き合いも長いし、店の宣伝してくれるから許してやるか。


「…少しだけだぞ。」


「やったぁ!!葉月さん大好きです!」


「おっ酒!おっ酒!」


「こいしちゃんも呑むんだね。良いけどさ。」


よく昼間から呑めるよなぁ。一周回って尊敬してきたわ。

この後、酔いつぶれた新聞屋が白狼天狗に引き摺られて帰って行ったのは完全に余談である。

何やってんだか。



一応言っておきますが作者もロリコンではありません。

こういうほのぼの系って良いですよねぇ。作者は大好きです。


ではまた。

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