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幻想郷の食堂  作者: 東かた
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第一話

始めまして。

語彙力が乏しい学生の書いたものなので暇つぶしがわりに読んで頂ければ幸いです。


それでは、どうぞ。

その場所はこの世界にあって、この世界にない。

日本であって日本では無い。

忘れ去られたモノの最後の楽園。

その名は幻想郷。

魑魅魍魎が跋扈し、神様も存在し、人が空を飛ぶ。不思議が常識の世界。

間違って迷い込めば、妖怪に喰われる危険性と常に隣あわせになる、何処までもシビアな世界。

そんな世界に迷い込んだ一人の青年の、お腹が一杯になる平和なお話。











「いらっしゃい。」


「おう、大将。今日は一段と冷えるなぁ。」


戸を開けて入って来たのは、いかにも職人と言った感じの男。店の中はほろ酔いの客で賑わっている。

大将と呼ばれた青年は、カウンター席の中から苦笑気味に答えた。


「そうですね。いつかの異変みたいに長引かなければいいんですが。」


「アハハハッ、そうだな!」


笑いながら男は、カウンター席につく。

大将と呼ばれた青年は慣れた手つきでおしぼりと、水を出す。


「今日のおすすめは何だい?」


「ぶり大根ですね。生きのいいのが入荷したんで。」


「ぶりってぇのは何だい?」


「ああ、そうか。ぶりは海にいる魚ですよ。今の季節は丁度旬なんです。」


「ほぉ〜、そいつは美味そうだ。じゃあそれと、あと熱燗くれや。」


「分かりました。」


青年は熱燗を作りつつ、鍋の中のものをよそう。


「はい、お先に今日のおすすめぶり大根です。」


「おお!美味そうだなぁ!」


男は歓声をあげながら大根を口に運ぶ。


「うまい!やっぱりこの店の料理は最高だな!一ヶ月まった甲斐がある!」


「ハハハ!ありがとうございます。」


笑顔の客に青年も笑顔で応える。

今日も満員で幸せに満ちているこの店の名前は、

『咲』

大将事、南方 葉月(みなみかた はづき)が営む気分屋な料理屋である。



——————————————————————————————


side主人公


「ふわぁ〜〜あ」


あくびをしながらも手は休めずカウンター席を拭いて行く。そろそろバイトでも雇っかなぁ。どうしよう。

悩みながら手早く椅子を机の上に置き、下を箒で掃きゴミを外に出す。

昨日は朝の一時近くまで営業していたのでまだ寝い。

朝ご飯食べて、畑の手入れをしたら、もう一眠りするか。寝不足で腫れぼったい目を擦りながら、店の二階の居住区に戻ると何故かそこには、角生やした幼女がいた。


「萃香さん。なんでいるの。・・・」


「一緒に食べようとおもってね〜。」


「毎回たかりに来るのやめてもらえます?」


「なんだよ〜、あたしと葉月の仲じゃないか。」


「はぁ〜・・・」


呆れと諦めが半々の溜息が出る。おまけにこの人朝っぱらから酒飲んでるし。


「分かりました。ちょっと待っててください。」


「あ〜い。」


いつも誰かしら朝に来るので、ご飯は多めに炊いてあるから心配は無い。問題は、食材が足りるかどうかだ。

恐る恐る見てみると、いくつかの野菜と魚が三匹残っていた。

これなら大丈夫そうだ。早速取り出して、調理を始める。

魚は七輪で炭火焼きに、野菜はおひたしと味噌汁の具になり、どのくらい食べるのかを聞こうと居間に戻ると、萃香さんはいなくなっており、9本の尻尾を生やした狐耳の女性と、二又に別れた猫の尻尾を生やした子供が代わりにいた。


「藍さんと橙ちゃん?何で此処に?と言うか萃香さんは?」


「萃香殿なら、先程霊夢が連れて行ったぞ。昨夜の宴会で賽銭箱を壊したらしい。」


「あの人は、本当に・・・。」


人に迷惑をかけずに生きていけないのか?この前も寺子屋で生徒に酒飲ませようとして、慧音先生の頭突きくらってたのに。

懲りないなぁ。


「それで、お二人はなぜここに?」


「紫しゃまが、今日は葉月さんの家で食べようって言ったんです!」


「え?聞いてないんだけど。」


「うむ、私はてっきり紫様伝えていたと思ったんだが、違ったようだな。」


あの人も懲りないなぁ。まぁしょっちゅう起こることなので慣れてしまったが。藍さんも苦笑気味だ。

紫さんは、この幻想郷の創始者で賢者と呼ばれるほど頭がいい。前にいる二人、狐耳の方が藍さん。紫さんの式で、頭もいい九尾の狐だ。子供の方が橙ちゃん。藍さんの式、つまり式の式なのだが、まだ式になってから日が浅いらしくもっか修行中らしい。


「で、肝心の紫さんは?」


「まだ、寝ておられる。」


「ええ……じゃあ、先に食べちゃいましょうか。」


「待ったほうが良いのではないか?」



「いいんですよ、寝坊する方が悪いんですから。それに、せっかく作ったのに冷めてしまいますからね。」


「そうだな…では、そうしようか。」


「橙ちゃんは魚、大きいほうがいいかな?」


「お魚!?もちろん大きい方がいいです!」


しっぽをビンビンさせながら言ってくるのだが、猫に魚って大丈夫だっけか?…深く考えるのはやめておこう。一応藍さんに何か要望はあるか聞いてみたところ、油揚げを多めにとのこと。

狐ってやっぱり油揚げ好きなんだなぁ、と思ったのはここだけの話。

そのあと、起きた紫さんが原因でひと悶着あったのだが、割愛させていただく。







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