殺戮作家が覚えておくべき三箇条
生憎と私は殺戮作家ではなく、ただ殺戮小説を書いているだけの一般人に過ぎませんが、風呂に入っている間にふと浮かんだので何となく書いてみます。
最近、殺戮小説と呼ばれる残酷な物語を幾つか見受けられるようになりました。
それ自体は悪いとは思いません。
ただし、自分としては「ただ殺せば良い」という小説が多いのがちょっと気になったのです。
殺すのが悪いのではないのです。
とは言え、残酷に殺せば良いとも思いません。
必要なら躊躇わずそうするべきだとは思っていますが、それはそれ。
そもそも殺戮というのは、某漫画の描写を借りて言うならば、殺「殺す」のと戮「惨たらしく殺す」という意味らしいので、そういう描写があって初めて殺戮小説と言えるので、殺し、更には残酷に殺さないとそもそも殺戮小説とは言わないと思うのですが。
閑話休題。
それでも、殺戮を上手く魅せるためには、三つほどルールがあると思うのです。
という訳で、その自分なりの三つのルールを書き連ねてみます。
※1:復讐という料理は冷めるほど美味い。
これは何処かの推理小説にあった文章らしいのですが、自分は「悪魔のミカタ」って小説で知った言葉です。
……至言だと思います。
なろうではカタルシスまでの道のりが長いと読者にそっぽ向かれる可能性が高いとは聞いていますが、それでもやはり、復讐という料理は冷めるほど美味しい……つまり、復讐までに労苦と手間がかかればかかるほど、時間がかかればかかるほど楽しいのです。
ちゃちゃっと復讐して終わるのは、上等の料理に蜂蜜をぶちまけるが如き、だと思います。
勿論、そうして苦労してたどり着いた復讐ですから、ゆっくり味わって食べたいですよね?
その結果として、爪の一つ、皮膚の1cm^2、骨の一本から眼球の一つ、内臓に至るまでじっくりと復讐を味あわせる描写になってしまうのは、仕方ないことだと思います。
※2:喪失の美酒は寝かせるほど美味しい。
これは、上の格言に倣って自分が勝手に作りました。
ええ、そうです。
殺戮小説と名乗るのであれば、敵ばかりが死んでもダメです。
メインヒロイン、もしくはそれに類するキャラクターも死ななければならないでしょう。
そのための……いや、違うか。
敵を含めて全キャラクターを殺す時の鉄則です。
出てきたばかりのヒロイン、キャラクターがいきなり死んでも、何も面白くないのです。
大事に寝かせて丁寧に扱って、ついにその時が来たならばコルクを抜いてゆっくりと味わうかのように、キャラクターが死ぬからこそ、美味しいのです。
ただキャラクターを殺しただけでは、面白味の欠片もありません。
大事だからこそ、喪失の痛みが貫くのです。
大切だからこそ、絶望感が増し……上記の復讐への怒りが生まれ、即ちそれが殺戮への一歩へとなるのです。
ちなみに、キャラクターの死に方は特に問いません。
が、残酷に死ねば死ぬほど、復讐の味は増すとは思っています。
※3:破壊という菓子は、丁寧に作り込むほど美味しい。
三つ目も格言的には適当に作った訳ですが、言っていることは間違えていません。
上二つにも通じますけれど……キャラクター、家族、建物、共同体、国家、世界に至るまで、それを破壊するということは、丁寧に作りこんでいればいるほど破壊した時が美味しいのです。
例えば主人公が破壊する美女がいたとして、ただ美女の顔面を殴り潰すよりも、金髪碧眼鼻筋が通りそばかす一つない白くやわらかな肌の美女の顔面を殴ってその白い肌が二度と元に戻らないと思えるほど潰し腫らし抉り、更には薄紅色の艶やかで整った形の唇を千切り取り、白く綺麗に並んだ形の良い歯を引き抜き、天上まで響くような美しい歌声を放っていた咽喉を焼けた刃で切り裂いて声を奪う等々。
何となく興が乗ったので軽く残虐な描写になってしまいましたが、そうやって丁寧に書き込めば書き込むほど、破壊した時は美味しいのです。
キャラクターの容姿だけではなく、性格や過去、今までの人生に至るまで……たとえ読者がそれを知る術はなかったとしても、作家の中にそれがあるならば、破壊する時に丁寧に壊してあげようと思えるじゃないですか。
それこそが、この三つ目の項目だと私は考えるのです。
という訳で。
当たり前のことを当たり前に書いただけの……実はパソコンに向かおうという気力を湧き起こすための軽い気分転換だった訳ですが。
……嘘を言った覚えはありません。
こうすると、もっともっと美味しい殺戮が出来ますよという普通のことを言わせて頂いただけで御座います。
そして、こういうのをちょっとだけでも意識すると……もっともっと楽しく殺戮が書けると思うのです。
さぁ、皆様もこの三つを胸に抱き、頑張って殺戮を書いてください。
……ちなみに私は殺戮作家ではありませんし、バッドエンドの物語なんて触れたいとも思えないほどのハッピーエンド好きなので、私は読まないかもしれませんけれども。。。
あ、でも、ちゃんと物語の展開上、バッドエンドを書いた方が盛り上がる、いや、そうするのが当然だと判断したならば、容赦なくバッドエンドを書く派ではあるんですけどね。。。
当たり前ですが、徒然なるままに書いただけの、ただの駄文です。
これに影響されて作風が変わったとしても、私は何の責任も取れません。
ついでに言うと、これで私の人格が分かるなんてことはないので、その辺りはご了承下さい。。。