砲市、説得される
「そういえば砲市」
「なあに? お母さん」
「砲市は何かやりたい事があったんじゃないの?」
「やりたい事?」
「ほら公園で羨ましそうにゲームを見ていたじゃない」
「ああっ! うん! やりたいやりたい! でも死んじゃったからもうやれないや……」
当然の事実にしょんぼりする砲市君に宗子から驚くべき話しがもたらされる
「やれるわよ」
「ええっ?!」
「但しお母さんとは離れ離れになってしまうのだけれど」
「だったらいいや」
「どうして?」
「僕はゲームよりお母さんといたいんだもん」
「………駄目よ砲市」
「駄目?」
「砲市はまだ九才じゃない。お母さんはね砲市にまだまだ生きる喜びを味わって欲しいのよ」
「何言ってるのお母さん」
「砲市には異世界に行く権利があるの」
「いせかい?」
「そう異世界、砲市は異世界でゲームみたいな事をして生きるのよ」
「嫌だ! 僕はお母さんと一緒にいたいんだ!」
「砲市!」
「なんだよ!」
「お願いだからお母さんを悲しませないで」
「お母さんは勝手だよ! ぐすっ僕はお母さんと一緒に」
「砲市……お願い」
「嫌だ嫌だ!」
「大丈夫よ砲市は立派な男の子なんだから」
「嫌だ――――――――――!!!!」
「後はお願いします」
『いや全然説得出来ていないではないか………』
「お願いします」
『………わかったよ』
「嫌だ――――――――――!!!!!!」
◇
謎の老人に引きずられその場から強制的に離された砲市はだだをこねて………否、老人に殴りかかっていた
「このっ! このっ!」
『………』
「離せーーしわくちゃ!」
『あ?』
「ひっ」
『まったく、やっと大人しくなってくれたか……砲市君』
「糞しわくちゃめ(ボソッ)」
『………こんの糞ガキャあ!!』
「やるか!」
『やるか! じゃないわ!』
ゴツン!
「痛い!」
『やかましいわ!』
「痛い!」
『ああ悪かった悪かった!』
「しわくちゃ! 土下座しろ!」
『どうやらまだお仕置きされ足りないようだなあ!』
「負けるもんか!」
その後、謎の老人に何回もお尻ぺんぺんをされた砲市君はようやく大人しくなったのである