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君のいた時間の中で  作者: 桜空
2/11

プロローグ

初投稿です。

誤字、脱字等があった場合はすみません。


ふわっと香る甘い君の香り。

気のせいだと分かっていてもつい振り返ってしまう。


ずっと続くはずだった日常は音もなく崩れ、跡形もなく消えていった…。


何事も無かったかのように過ごすクラスメート。見ないふり、気にしていないふりをする彼女。そして未だに君を探している俺。

こんな状況を見たら君は何を言うんだろう…?


いつか来る別れはずっと遠い未来で、今じゃない。

次の日には君が笑っている。

そう思って一日を過ごす。

きっと、俺と君と彼女の3人でたわいもない話をしている。

そう願って笑っている。

今まで日常は変わることなく一日を終えていた。彼女が冗談をいえば俺は突っ込み、君が笑う…

それが当たり前過ぎたのか?


君が眠るベット。

君はまだ目を覚まさない。

「…」

電子音が途切れることなく鳴り響く。それは君がまだ生きている証拠。

小さな台に置かれているノートは彼女が書いた日記。君が起きた時に見てもらいたいものだと、言っていた気がする。

何がいけなかったのかはわからない。

君が何に苦しみ、悩んで、こんなことになったのか…わからない。

君は、君が好きだと言っていた日常が始まろうとした時、自分で人生を終わらせようとした。

部屋に散らばる大量の薬が、握られたカッターが、赤く染まった手首が、ピクリとも動かない君が…全てを物語っていた。

それを一番に見つけたのは俺だった。

もしかしたら頭では理解していたのかもしれない。君が死んでいるってこと。

でも、多分、心が追いついていなかったんだ。

俺は立ち尽くしていた。何分そうやってしていたのかもう覚えていないが、長い間ずっと立ってたようなきがする。

いつもならすぐに降りてくる俺が遅いのを不思議に思ったのか、君のお母さんが部屋へ来て俺に一瞬笑顔を見せ、「どうしたの?」声をかけると同時に悲鳴を上げた。

君の姿を見てしまったから。


先に動いたのは大人達だった。

救急車を呼んだのは騒ぎに駆けつけた母さん。救急車が来るまで懸命に呼びかけていた君のお母さんを、俺はただ見ているだけだった。まるで、興味の無いドラマのワンシーンが流れているような感覚。

母さんに今日は学校を休むように勧められ、俺は部屋に閉じこもったまま一日を過ごした。

俺の望んだ、君の好きだったはずの日常が崩れ始めた。


一命は取り留めたが回復する見込みはほぼ無いらしい…らしいと言うのは、俺が直接話を聞いた訳じゃないからだ。

彼女は病室で君を見るなりその場で泣き崩れていたが、俺は不思議と涙が流れなかった。


次の日から世界が一変した。

君のいない世界はつまらない。

彼女との距離ができ始めたのもきっとこの頃からだ。

植物状態の君が笑うことができなくなったように、彼女からも笑顔が消えた。まるで人形のように無表情でいることが多くなっていた。

だが、俺はそれでも笑っていた。

ある日、彼女から言われたのだ。

「なんで笑えるの?」

って。俺は何も言わなかった…いや、言えなかった。

日常が壊れてしまう気がするなど、言えるはずがなかった。もう日常なんてとっくにこわれているのだから。

彼女はそれ以上聞くことはしなかった。

それが3日前で、彼女との最後の会話になった。


日常が崩れていく。


君がいなくなって、1週間がたった頃。

転校生がやってきた。

名前は『竜宮(りゅうぐう) 緋夜(ひいよ)

この子との出会いが俺の運命を変えることになる。



俺は君を失った日からずっと願い続けていた。

何を代償にしてでも過去に戻って君を助けたいと。

それは非現実的な願いなのだとどこかで思っていたが、それは現実となって目の前に現れた…。










ー日常が終わるまであと3日。

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