3女の勢いに驚いた
「結婚式場を作る」
言い出したのは由井菜だ
私が反対する
「人手はどうするつもり?
それに材料 今までは私が思い浮かべたら
湧いて出てきたけど
何処から出て来てると思うの?」
実際そうなのである
ケーキに使った生クリームなんかは
モロに○○乳業の文字が書かれていたのだ
お祝い事だから目を瞑ってもらったけど
商業ペースなんかじゃ そんな事言ってられない
引き寄せ一方通行だから代金を払うわけにも
行かないのだ
「だったらこの世界で手荷物入れられないの?」
由井菜は食い下がる
「それだと費用が膨大になってしまうわよ
平行線である
それを見ていた由起子が
妙案なのか なんといえばいいか わからない案を出してきた
「こっちの世界の神様に聞いてみたら?」
「「はいっ?」」
さっきまで口喧嘩してた二人が見事にハモった
この世界では信仰が高くて
所謂神子が存在する
イタコのように神様の言葉を神子の口にすると言うのだ
嘘か真か それに賭けてみよう
このままだと埒が開かないのである
「OKなのです」
随分軽い神様だ
「でも私の能力元の世界では泥棒なんじゃ?」
私は問い掛けてみた
「それはあなた方の世界の神と話がついてるのです」
神子は言う
「ほら人間界でも言うでしょ 惚れた弱味って」
そう言ってしまう異世界の神様…
「そ…そんな理屈で…」
力無く項垂れてしまった 私達でした
もう由井菜の勢いは止まらない
「結婚式の費用で人件費を賄ってもらえばいい」
「…はい…そうですね」
もう反対する気力もありません
結局最後まで由井菜のターンでした
お料理教室を有料にして資金を貯めて
その資金で男手を雇いゲッタさんの隣に作った空き地に
結婚式3をでっち上げたのです




