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FILE2:小柄な女の子のこと。

私がよく飲みに行く店のひとつに

F店というメンズパブがあった。


当時、私はその店のユウという男にベタ惚れだった。

毎日通うくらい大好きだった。

その内、F店の常連の顔を覚えてしまう位に

自分も常連になっていた。


その常連の一人に気になる女の子がいた。

その子は小柄で、とても歌が上手な子だった。

どう見ても私よりは年下だろうけど

服装とかは今時のギャルっぽい感じとかではなく

個性がある子だった。

雰囲気とかも、若い子独特のキャピキャピしてる感じはなくて

どっちかっていうとクールな感じ。


その子もよく一人で飲みに来ていた。

狭い店だからしょっちゅう見ていれば名前くらい把握してしまうもので

私はすぐにその子の名前が「アスカ」だという事を知った。

アスカは、ユウの相棒であるシゲがお気に入りなんだってことも。


おそらくあっちも私の顔はもうわかっているだろうし

お互いよく一人で飲んでるから

私は「仲良くなれないかなー」とか思っていたけれど

若い子が何となく怖くて話しかけられずにいた。


ある日、話の流れでユウとシゲとアスカと私で

店が終わった後にご飯を食べに行く事になって

私はここぞとばかりアスカに絡んではみたのだけど

その時のアスカの反応は薄かった。

「あー私嫌われてるのかも・・・」と思ったけど

その後何度と無くF店で顔を合わせて

挨拶とかしてる内に「メアド教えてください」って

アスカが言ってくれて、私はメチャクチャ嬉しかった。


それからF店で一緒に飲むようになって

休みの日にカラオケに行ったりご飯食べたりするようになった。


18歳のアスカと26歳だった私。

8歳も年の差があったけど

私はアスカが大好きになってた。

色んなことをアスカに話したし、アスカも話してくれるようになっていた。

年の差とかを感じない程

アスカは考えが大人だったし

性格も似ているトコロが多かったから

私はアスカの前で「年上だし」と虚勢を張ることもなかった。


地元から離れてこの街に来て

初めて「親友」になれるかもしれないと思えた子だった。



アスカと出会って1年が過ぎた。

私とタイガが付き合い始めた頃、アスカは彼氏と別れた。

アスカが泣いて電話してきたのは

その時が初めてで、私は凄く辛かったのを覚えてる。

一言一言を搾り出すように話しながら、鼻をすすっていた。

それでも所々はいつもどおり強気な話し方で

それがまた私には辛かった。


「このまま別れてもいいの?」と聞いたら

「・・・・正直別れたくなんかない・・・・」と

素直に答えたアスカが可愛くて、でも悲しくて私も泣けた。


アスカも私も、どっちかというと

典型的な「恋愛体質」だから

彼氏が居るとベッタリ。

だから別れると生活にポッカリ穴が空いて

それをどう埋めたらいいのか判らなくなる。


だからアスカが彼氏と別れてからは

2人で飲む回数が増えた。


その頃タイガも違う店で働き始めていたので

2人でタイガの店で飲むことが多かった。


そこで、タイガの店の店長のタロウとアスカは出会った。


私はタロウは前から知っていたし

性格も好きだった。

面白いし二人でいつも馬鹿話をしてた。

タロウが「アスカちゃん可愛い!」って言い出したとき

正直私はちょっとワクワクしたし

二人がうまくくっつかないかなー?なんて思ったりした。


そうしたらタイガと私、アスカとタロウ

4人で遊べて超楽しいじゃん!とか

先走った妄想をしていたのだけど

それは案外ハズレじゃなくて

二人はあっという間に距離が縮まっていった。


アスカに「ぶっちゃけどうなの?」って聞いたら

「結構ありかも」とニヤけて答えた。

これはマジであるかもなぁ、って私は浮かれてた。


自分の彼氏と、仲のいい友達カップルで遊ぶとか

そういうツルんでる感じとか

私は大好きだった。

何か仲間って感じで、それだけで嬉しかった。


それにアスカと近い場所で恋愛の話が出来る。

お互いにお互いの男を知っているから、話もしやすい。

そういうのが何だかとても楽しかった。

私、アヤは27歳。

タイガとアスカは同い年で19歳。

タロウは21歳。

年はバラバラだけどタイガとタロウの仲も良かったし

私達の未来は薔薇色って感じだった。

大袈裟だけどね。


アスカと私の関係も、益々濃くなった。


アスカは私の気持ちを大体理解してくれていたように思うし

いちいち言わなくても

私のことを考えて行動してくれた。

アスカのほうがよっぽど大人だと、何度も思った。

アスカが居なかったら、今の私も無かったかもしれない。

それくらい私はアスカが大切だったから

同じ時間を共有できることが嬉しかった。




でも、そんな薔薇色の未来予想図はほど無く崩れることになる。



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