彼女の両の手
彼女はーーー。
彼女の掌は氷の様に冷たかった。
春になっても、掌は人間らしい暖かさになることは決してなかった。
私立鷺野成(さぎのじょう)高等学校1年F組、出席番号3番。斎宮馨(いつき かおる)。彼は、たまたまやってきた屋上で1人の女の子と出会う。彼女は自身についての記憶がなかった。覚えていたのは名前と、私には 秋がこない ということだけ。
調べていくうちに、彼等は衝撃の事実を知ってしまった。
ひとつずつ思い出される過去、満たされてゆく彼女の心。
彼女は一体誰なのか?
馨は彼女に 秋 を与えることはできるのか?