027 - わからせてあげた! -
(柚亜紫翼からのお知らせ)
ここまで読んでいただきありがとうございます、更新の止まっている他のお話の執筆のため少しの間お休みします。
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027 - わからせてあげた! -
白目を剥いて崩れ落ちたアンジェちゃんを抱えて僕は考える。
アンジェちゃんが僕に抱き付いた言い訳・・・心優しい殿下が心配して駆け寄った事にしよう!。
それから今僕の腕の中で白目を剥いている言い訳・・・
すぅ・・・
ぼくは息を吸い込んで大声で言った。
「わ・・・わぁ、でんかがぼくのあたまにぶつかってきぜつしちゃったぁ!」
静まり返る謁見の間・・・いや誰か何か言ってよ!。
「だれかぁ・・・きぜつしたでんかをたすけてー」
何人かの騎士さんが僕に近寄ってきた、この人達に任せて僕は席に戻ろう!、そう、僕は無関係だ!、これ以上巻き込まれたくない!。
騎士さんの手にアンジェちゃんを渡す、気絶して口からヨダレが垂れていたからさりげなくドレスの裾で拭いてあげた。
すたすた・・・
僕は何事も無かったように歩いて席に戻る、腕から出ていた血は髪を結えていたリボンで縛り止血しているから大丈夫だ。
前世で喧嘩をしていた時にはこれくらいの怪我は普通だったのだ、何も問題ない!。
ぽすっ・・・
椅子に姿勢よく座って陛下達の方を見た、皆固まっていて無言だ・・・僕は気にするなというメッセージを込めてにっこりと笑って頷いた。
「うわぁぁぁ!、放せぇぇ!」
じたばた・・・
駄聖女が目を覚ました、あれだけの事をしたのに短時間の気絶だけなのは意外とタフだ、激しく暴れているけれど騎士達が3人がかりで押さえつけているから立ち上がれない。
「そ・・・その者を拘束して連れ出せ、逃がすでないぞ!」
陛下が立ち上がり騎士達に指示を出す、その後何故かまた僕を見ている・・・。
僕は大丈夫だから気にするなと伝えたくて満面の笑顔で親指を立てた。
「シーアちゃん・・・いや、シーア嬢を救護室へ運ぶのだ!、急げ!」
どたどた・・・
「え?」
担ぎっ!
筋肉モリモリマッチョな騎士団長が僕に駆け寄り軽々と抱き上げて肩に担いだ!。
どたどたどたどた・・・
そして僕を担いだままお部屋の外に走り出す騎士団長・・・。
じたばた・・・
「わぁ・・・待って!、高い!、降ろして怖い!」
「刃物を振り回す者に立ち塞がる方が怖いだろうが!、大人しく治療されて来い!」
僕の言葉に陛下の的確なツッコミが入った。
そのまま救護室に連れて行かれてベッドに寝かされる、改めて左腕の傷口を見るとドレスが裂けていて血で真っ赤だった・・・もしかして結構な大怪我?。
「あぁ、こりゃ酷えなぁ、傷口がぱっくり開いてる、腕は動くか?、手のひらを握ったり開いたりしてみろ」
渋いおじさん医師が僕の傷を見て呟く。
「すぐに治療してやるから安心しな、まぁ重要な筋肉や筋は無事みたいだから見た目ほどは深刻じゃねぇぜ」
そう言って傷を調べ終えると変な薬液を嗅がされて僕は眠くなった。
「・・・というわけで、司祭の式典用衣装入れの中に隠れて城までやって来たようだ」
「そうですか」
「衣装が盗まれたと教会関係者は大騒ぎでな、控え室に隠れ皆が居なくなるのを待って謁見の間に出て来たようだ、ヌコーニ嬢を殺そうと思っていたと供述している」
「へー」
「興味が無さそうだな」
「そんな事ないです」
「・・・正直に言え、面倒臭いし早く帰りたいと思ってないか?」
「そんな事ないですよ」
「うそをつくな」
「・・・すみません、面倒だから帰りたいです」
「そう言わずもう少し話に付き合ってくれ(ニコッ)」
「・・・」
僕が目覚めたのは夜中だった。
渋いおじさん医師が傷を治療してくれたのか腕には包帯が巻かれていた。
怪我の説明を受けたのだけど傷は少し残るそうだ、この世界では縫合じゃなくて薬の塗布されたテープのようなものを貼り付けて傷を塞ぐらしい。
「普通の令嬢なら傷を気にして泣き喚くんだがなぁ」
おじさん医師にお礼を言って僕はメイドさんの案内で王族のプライベートルームに通された、陛下が話したいと言っているらしい・・・。
そこには陛下と王妃様が待っていた、宰相のゴンザレス様は事後処理で走り回っていて、ヌコーニ様とアポロ殿下、アンジェちゃんは別室で休んでいると聞かされた。
「息子達を守ってくれて感謝する」
陛下が僕に頭を下げた、本当に勘弁してほしい!。
「いえ、咄嗟に身体が動いてしまっただけで・・・どうか頭を上げてください」
超大国の王に頭を下げられたら後が怖い!。
「何も怖がる事はないぞ(ニコッ)」
「わぁぁ!、また思った事が口に出てたぁ!」
「ふふっ、シーアちゃんは面白いわねぇ」
王妃様に面白がられてしまった!。
「・・・で、駄聖女の処遇はどうなると思う?」
陛下が僕に尋ねる、何で僕に聞くんだよ・・・っていうか僕に影響されて陛下まで駄聖女呼びになってるし!。
「王族に刃を向けたのだから死罪ですよね、あの駄聖女は性格が悪いだけでニードロップ家の政略に巻き込まれた被害者なので可哀想だとは思うのですが・・・ここで刑を軽くしてしまうと対外的にもまずいかと」
「模範的な回答だな、だが残念ながらあのクソ・・・いや、駄聖女は死罪にできそうにない」
クソって言いかけたよ!
「そうなのです?」
「そうだ」
「へー」
「興味無さそうだな」
「そんな事ないですよ」
興味が無いというか関わりたく無いのだ!。
「・・・2日前にラクーン聖公国からの使者が王城に来た、我が国の教会がやらかしたらしくてな」
「へー」
「何をやらかしたか聞きたいか?(ニコッ)」
「いえ別に」
「まぁ聞け、国としては駄聖女を教会から出さずに生涯祈らせておけと命じていたのだ、だが司祭達が勝手に偽の聖女を仕立て駄聖女には過酷な労働をさせておった」
「へー」
聞きたくないと言ってるのに勝手に喋り始める陛下・・・本当に勘弁してほしい!。
「それがラクーンの使者にバレてな、この国は聖女を粗末に扱うのか、けしからんと抗議された」
「なるほどー」
「あの国では神託を受けた聖女は神の使いだと信じられている、だから聖女が罪を犯しても裁かれない」
「そうなんですねー」
「教会側は仕方なく駄聖女に頭を下げ扱いも改善したのだが・・・性格に難があり過ぎて王家に泣きついてきた」
「ふーん」
だんっ!
「真面目に聞いてくれ!」
「あ、はい・・・」
怒られたよ!
「あの駄聖女を処刑すれば国際問題になって揉める、しかも神聖な聖女を殺したと大陸中に伝えられうちの国が悪者になる・・・さてどうすればいい?」
「そんな重大な事を僕に聞かれても・・・あ、そうだ、今噂になっている「影の宰相」さんに相談してみてはいかがでしょう?」
「・・・」
何で目を逸らすの!。
「我が国の教会で持て余しているからラクーン聖公国で引き取って貰おうと思い提案したのだが・・・聖女は物ではないと激怒されてな」
「駄聖女が聖公国行きを強く希望すれば良いのでは?」
「あ?」
「あの国の人達って聖女の言葉は絶対ですよね、その聖女様が行きたいって言ってるなら・・・」
「ふっ・・・ふはははは!、シーアちゃんは賢いなぁ!」
ぱん、ぱんっ!
陛下が僕の肩を叩いたよ!
「ぎゃぁぁ左腕ぇぇ!」
「おっとすまん、問題が解決したのでつい嬉しくてな!」
解決したんだ・・・。
「でもあの駄聖女ってニードロップ家が教会と共謀して作り上げた偽物ですよね、聖公国にバレたら問題になるのでは?」
「・・・」
何で黙るんだよ!
「その件について王家は何も関与していない」
「そうなんです?」
「神託を受けたと主張した司祭は2日後に階段から落ちて死んだ」
「わぁ・・・口封じかぁ、えげつない事しますねー」
「・・・」
「偽物・・・ですよね?」
「お・・・王家は何も知らん!、あれは本物の聖女ではないのか?」
「僕に聞かれても・・・」
ごごごごご・・・
「あ、はい・・・本物のような気がしてきましたぁ!」
「そうだろう!、あれは本物だ、たとえ偽物でもバレなければ問題ないしバレたとしてもそれは教会の問題だ」
「そうですよねー」
「・・・という事があったんですよー」
「大変だったわね、それで駄聖女の説得まで任された・・・と?」
「うん、最初は断ったんですけどねー、陛下から「報酬は何が欲しい?」って聞かれちゃって」
「何を貰ったかは聞かないでおくわ・・・」
陛下とお話をしてから2日経った、僕はお屋敷に戻り今日はヌコーニ様とコヴァーン家でお茶会だ。
事件の翌日にはアンジェちゃんがお見舞いに来てくれた。
弟のアポロ殿下を庇って僕が怪我をした事を凄く気にしていたけど陛下が「お礼」を沢山くれるみたいだと話したら落ち着いてくれた。
「それで、どうやって駄聖女を説得したの?」
「ちょっと2人きりで「お話」して自分の立場を「分からせて」あげただけだよ」
「・・・」
「どうしたの?」
「いえ、私やアポロ殿下が襲われた時も凄かったわよね、駄聖女の頭を床に何度も・・・私あれを見た時思い出しちゃった」
「何を?」
「ほら、私達のお家に揉めてた暴走族のリーダーが押しかけて来て・・・」
「あぁ、僕がヤキ入れて「分からせて」あげたんだっけ?」
「あの時も男達をボコボコに痛めつけた後、お父さんう⚪︎こ座りして笑いながらアスファルトにリーダーの頭を何度も叩き付けてたよね」
「あの時は過剰防衛だって警察署に呼ばれて散々怒られたんだっけか」
「私、あの駄聖女を可哀想だと思ったの初めてだわ」
「でもふかふかの絨毯だからアスファルトよりはマシだと思うけど」
「みんなドン引きしてたわ!、陛下も思考が追いつかなくて固まってたわよ!」
読んでいただきありがとうございます。
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