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ヌコーニさんが婚約を破棄されましたぁ!〜わがまま令嬢?とロリコン王子?の観察記録〜  作者: 柚亜紫翼
1章 わがままれいじょう?

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003 - じゅうにさい -

003 - じゅうにさい -



学園に入って1年が経ち僕は12歳になった、学園生活はヌコーニ様のわがままに振り回されながらも思っていたより平穏に過ぎている。


1年の間に大きな変化があった、ヌコーニ様が王太子殿下に見染められて婚約したのだ。


どうやら一目惚れだったようで殿下から直接求婚されたらしい。


もちろん即答できる筈もなく本人達を交えたコヴァーン家と王家の話し合いの結果、誰からも反対される事なく決まってしまった。


求婚の時に殿下はそれまで仲良く一緒に行動していた令嬢達をあっさり捨ててヌコーニ様に乗り換えたから関係者の実家を巻き込んで学園中が大騒ぎになった。


あの時の事は思い出すだけで胃が痛くなる、本当に勘弁してほしい・・・婚約の影響は今も続いていてヌコーニ様の取巻きは現在30人以上に膨れ上がっている。


将来の王妃様に取り入ろうとする令嬢や家の命令で近付こうとする者・・・目的は様々だけど中にはどこの誰かも分からない胡散臭い人間も居た。


あまりにも希望者が多くなったので僕を含む初期の取巻き4人で素行や身分を徹底的に調べて振い落とした結果が30人だ、選別していなければ軽く50人を超えていただろう。


ヌコーニ様のお屋敷にも頻繁に招かれて家族とも親しくなった。


コヴァーン家当主でこの国の宰相でもある父親、錬金術師の資格を持ち社交界では絶大な影響力のある母親、優しそうな雰囲気のお兄様・・・。


ヌコーニ様は家族全員から溺愛されているようだ。








今日もヌコーニ様は選ばれし取巻きを周りに侍らせて満足そうにしている。


彼女は人から称賛されたり注目されるのが大好き・・・我儘で典型的な高位貴族の令嬢なのだけど打たれ弱く実は泣き虫という意外な一面もある。


最初は面倒臭いと思っていたヌコーニ様の性格も一緒に長く過ごしていると次第に可愛く思えてきた。


「さぁ皆さんお食事に行きますわよ!」


ざわざわ・・・


わいわい・・・


「今日のお昼は何になさるの?」


「私は肉挟みパンかなぁ」


「私は少し痩せないと・・・フルーツとサラダにしましょう」


「シーアさんは何をお食べになるの?」


「・・・僕は・・・野菜スープだけでいいかな」


「あら、シーアさんもお腹周りがよろしくない?」


僕が野菜スープをトレイに乗せていると「ぽっちゃりさん」ことルシンダさんが僕に絡んできた。


最近は特にルシンダさんのお腹周りがよろしくない、それなのにトレイにはお肉やパンが山盛りになっていた。


「ルシンダさん、それ全部食べるの?」


「もちろんよ!」


・・・即答だった!。


友人同士の気楽な会話も楽しいのだけど僕としてはあまり構わず放っておいて欲しい。


僕だって育ち盛りなのだからお肉が食べたい、殆どの生徒が貴族というこの学園の食堂は品揃えが豊富で美味しそうなものが溢れている。


でも僕は将来家を出る為にお金を貯めておきたい・・・僕の生活費は実家が出してくれている、そこから節約しようとすると食費を削るのが一番誤魔化し易いのだ。


くぅぅ・・・


「・・・」


油断してたらお腹が鳴ってしまったじゃないか!、僕の隣を歩いているヌコーニ様に聞かれたかもしれないな。


かちゃかちゃ・・・


もっもっ・・・


ざわざわ・・・


わいわい・・・


僕は今、学園内にある豪華な食堂で自分の野菜スープを食べ終えて他の令嬢達の会話を聞いている。


元々人見知りで無口な事もあって自分から話すより人の話を聞く方が好きなのだ。


すっ・・・


「欲張って取り過ぎてしまったのだけど食べきれないわ・・・シーアさん処分してくださる?」


「え・・・でもこのお皿全然手を付けてない・・・」


この食堂は好きなものを取って現金で支払う仕組みだ。


一部の人達からは貴族に平民のような事をさせるなという批判もあるけれど貴族の子供が庶民的な方法で買い物体験ができる場所として概ね好評らしい。


ヌコーニ様が僕の前に置いたお皿を見ると結構いい値段がするロースト肉にフルーツソースがかかったやつだ・・・じゅるり・・・。


「シーアさんが食べないのなら捨てておいて」


「いえ、もったいないので食べます」


もっもっ・・・


「あ、美味しい」


くすくす・・・


ひそひそ・・・


「まぁ・・・人のものを食べていらっしゃるわ」


「貴族なのにもったいないなんて言葉よく言えるわね、恥ずかしくないのかしら」


「シーア様って上級貴族なのに貧乏臭くて・・・」


取巻き序列その20や27あたりの喋った事もない令嬢が僕を見て笑っている、確か彼女達は下級貴族の筈なのに僕が何も言い返さないから馬鹿にしているようだ・・・。


食べていた顔を上げて彼女達を見るとそっと目を逸らされた、睨まれるのが嫌なら余計な事を言わなければいいのに・・・。


彼女達から侮られている理由はなんとなく予想できる。


僕は可愛くないわけではない・・・と思う、でも全体的に見た目が地味で冴えないのだ。


茶色に近い燻んだ金髪に少し垂れた青い瞳、猫背で俯き気味の立ち姿は淑女教育担当の家庭教師からよく注意された。


どこにでも居そうな印象に残らない令嬢というのが僕に対する彼女達の評価らしい・・・。


僕の成績は上から数えて12位から18位の間を行き来している、同じ年齢の生徒は90人居るから余裕で成績上位者だ。


もちろん彼女達は僕より下だから馬鹿にされる筋合いは無い。


がたっ・・・


「お先に失礼します」


食事を完食した僕は空になった食器を返却する為、静かにに席を立った。

読んでいただきありがとうございます。


面白いなって思ったら下のお星さまやいいねをポチリと押してもらえると作者が喜びます・・・。

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