表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ヌコーニさんが婚約を破棄されましたぁ!〜わがまま令嬢?とロリコン王子?の観察記録〜  作者: 柚亜紫翼
2章 ろりこんおうじ?

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

17/31

016 - らせつのたつ -

016 - らせつのたつ -



王城からユーノスのお屋敷までは馬車にトリスさんが同乗して送ってくれた、もちろん普段着じゃなくて「くっ殺騎士」の姿でだ。


からから・・・


「トリスさん、その格好初めて見たけど格好いいね」


「そう?」


僕が褒めると少し嬉しそうだ。


「うん、すごくかっこいいよ、アンジェちゃんの護衛は長いの?」


「殿下が学園に入学する1年前に任命されたの、前任の女騎士が殿下を襲っちゃってね・・・未遂だったけど」


「は?」


しれっと恐ろしい事を言い出したよ!。


「全裸に剥かれたところで叫び声を聞いたメイドさんが来て助かったの」


「・・・」


「後任は男性騎士をって話があったけど、アンジェちゃんって女の子の格好をしてなくてもほら・・・あれじゃない?」


「なるほど」


「男の護衛の方が危ないし取り返しのつかない事になるんじゃないかって声が出て・・・それで選ばれたのが私ってわけ」


「・・・」


「まぁ、秘密を知った時には驚いたけど、色々あって・・・殿下じゃない時限定だけど仲の良い友達みたいな関係になったのよ」


「そうなんだ」


色々あってのところが気になるけど知り過ぎて消されるのは嫌だから気にしない事にする。


「ねぇ、トリスさん、一つお願いがあるんだけど」


「なぁに?、シーアちゃんにはお世話になってるからお姉さん何でも聞いちゃうぞ」


「お姉さんって・・・今幾つなの?」


「殿下より3つ年上、今19歳でもうすぐ20歳になるよ」


「え・・・でもアンジェちゃんは11歳で入学して今16か17歳だから・・・」


騎士ってそんな年齢でなれるのか?、計算が合わないぞ。


「13歳の時に初顔合わせして、2年はただ一緒に過ごして殿下に慣れてもらおうって感じだったの、3年くらいは先輩騎士と一緒に護衛としての訓練をしてたかなぁ」


「そんな小さい時に護衛に選ばれたんだ」


「殿下は襲われてから他人を拒絶するようになってたし、私の父親は騎士団長で・・・お前強いから殿下の護衛になれ!って半ば強引に・・・」


「えぇ・・・」


「それはそうと、お願いって何かな?」


「あ、そうだ・・・「くっ!、殺せ!」って言って貰える?」


「何で!」


「僕が聞きたいからだよ」


「・・・」


「・・・ほら早く、何でも聞いてくれるんでしょ、できるだけ悔しそうな表情でお願い」


「・・・くっ!、殺せ!」


「わぁぁ!、凄い、本物だぁ!」


ぱちぱち・・・


そんな馬鹿な事をしているうちに王家の紋章入りの馬車は僕のお家に到着した。











戻った後すぐにコヴァーン家に向かい執事のジーノさんに会う、ちなみにユーノス家とコヴァーン家は隣同士、庭が繋がっているから敷地の外に出ないで行き来できるのだ。


ジーノさんにはゴンザレス様に内密で話があるので会えないかと伝えてある。


正直僕はアンジェちゃんの件に関わりたくなかった、でも帰り際の泣き顔を見て放っておけなくなってしまった、一応友達だし。


僕はアンジェちゃんの件を全部ゴンザレス様に丸投げ・・・いや、相談しようと思う。


ゴンザレス様のお母様・・・ヌコーニ様のお祖母様は先代の国王陛下の妹だ。


つまりゴンザレス様と今の国王陛下は従兄弟同士という事になる、ヌコーニ様の話だと2人の関係は良好らしいから丸投げしてもいい感じにしてくれるんじゃないかと思う。


・・・っていうかこれは話が大き過ぎて僕の手に負えないし、正直面倒臭いのだ。







ジーノさんに伝言した日の夜、ゴンザレス様が僕の部屋に訪ねて来たから全部話した。


「・・・話は分かった、レックスの奴・・・いや、陛下もある程度は把握していると言っていた、廃嫡にして自由にしてやった方が息子の幸せになるのなら・・・とも言っていたしな、悪いようにはしないから安心するといい」


「ありがとうございます」


どうやら陛下もアンジェちゃんの行動を把握していたようだ。


アンジェちゃんの話だと自分は王太子として期待されてないから毎日街に出ても誰も気にしないと言っていたけれどそんな事はない。


仮にも王太子なのだから王家の「影」くらいは隠れて護衛している筈だ、気付いてないのはアンジェちゃんがポンコツなだけだろう。


何日か経ってゴンザレス様から1通の手紙が渡された。


(息子を気にかけてくれて感謝する、彼の数少ない友人として助けになって貰えるとありがたい・・・思えば息子は昔から可愛いものが好きで・・・以下略)


差出人は陛下で直筆のサインも入っていた。


「アンジェちゃんよかったね、家族から大切にされてるみたいだよ・・・」








去年よりも短く感じた長期休暇も終わり学園の授業が始まった、王太子殿下を含む最上級生の卒業までもう半年を切った。


相変わらず殿下の腕には駄聖女がぶら下がっているし、ヌコーニ様と殿下の関係も険悪だ、顔を合わせる度に虐めた虐めてないと口論する姿は日常の風景になっている。


ヌコーニ派閥の取巻きは僕の他に5人、今でも続々とコヴァーン家の悪い噂が出ているのに減っていない。


学園での僕の生活は平穏だ、眼帯をしていて目立つので生徒達からの視線はあるのだけど、あまり気にしない性格だから問題ない。


アクセサリーの制作は僕一人だと限界があるので王都の郊外に小さな工房を作ってもらった、お金を出したのはお義母様だ、僕もお金を出すと言ったのに断られた。


工房で雇われた職人さんが素材を設計図通りに削り出し、僕のところに届けてくれる事になっている、だから僕がやっていた工程が減って今までの3倍増産出来るのだ。


マダムの話だと僕のアクセサリーは飛ぶように売れているらしい。





授業が終わった後、スタン君にはヌコーニ様と先に帰って貰うように伝えて僕は学園の端にある空き教室に向かう。


帰りは王都の街をのんびり歩いて帰る事になる、どこかでお菓子でも買って帰ろうか・・・そんな事を考えていると目的の空き教室に着いた。


がちゃ・・・


「来たわね」


教室の中には駄聖女と取巻きの女の子が3人、男の子が3人立っていた。


ぱらっ・・・


僕は鞄から1枚の手紙を取り出す。


「こんな手紙で僕を呼び出して何の用かな?」


今日のお昼、食堂から戻ると僕の鞄の中に手紙が入っていたのだ。


「「ジュワイヨの宝飾店」に売っている銀のアクセサリーをあなたが作っているって本当なの?」


駄聖女の目的は貴族の間で話題になってる僕のシルバーアクセサリーのようだ。


僕は改めて彼女を観察する・・・立ち居振る舞いは粗雑で醜悪だ、ろくに淑女教育も受けていないだろう。


「うん、作ってるよ」


「ヌコーニ様と仲がいいようだけど」


「仲良しだね」


「・・・もうすぐ破滅する彼女になんて付いてないで私の派閥に入りなさいよ、そしたら私の為にアクセサリーを沢山作らせてあげるわ」


この駄聖女、予想以上に頭がおかしいようだ。


「ヌコーニ様とは親友だから裏切れないなぁ・・・」


「そう、なら二度とアクセサリーなんて作れない身体にしてあげましょう」


そんな意味不明な事を言いながら駄聖女は後ろの男の子3人に向かって・・・。


「両手を潰しなさい」


命令された男の子が僕に掴み掛かる。


しゅっ!・・・


とんっ!


「ぐぇ」


ひゅん・・・


ぱこーん!


「きゅぅ・・・」


僕は制服の懐に隠し持っていたヌンチャクを取り出し男の子の脇腹を狙って攻撃する。


この前の襲撃事件で酷い目に遭ったから僕は体力をつけて自作の武器を携帯している、このヌンチャクは庭師のおじさんに貰った一番硬い木を使っているから簡単に腕の骨くらいなら折る事が出来るのだ。


まだ少し運動不足なのと非力な少女の身体という事もあって実戦は不安だったけど、同年代の男の子3人くらいなら簡単に倒せる。


「あれ、もうお終い?、ちょっと突いただけで沈むなんて弱いね・・・「羅刹の龍」が遊んであげようと思ったのに(ニコッ)」


僕は前世で喧嘩を売られた時のように低い声で威嚇する。


「ひっ・・・お・・・覚えてらっしゃい!」


蹲っている男の子2人を引き摺って残りの男の子1人と女の子3人、それから駄聖女が教室から逃げ出した。


僕は天井に向かって話し掛ける。


「手加減したから骨は折れてないと思う、あとで駄聖女が文句を言ってきたら正当防衛の証人になってね」


トントンッ・・・


音がして天井裏から気配が消えた・・・ヌコーニ様の護衛に戻ったのかな・・・。


「ヌンチャクだけで片付いたかぁ・・・残念、鞄の中にトンファーも入ってたのに使えなかったよ」


実はここに来る前にスタン君にお願いしてヌコーニ様に付いている2人の護衛・・・コヴァーン家の「影」を1人借りたのだ、目的は相手が強くて負けそうな時に助けて貰う為だ。


「ちょっと身体を動かしてから帰ろうかな」


僕は鞄からトンファーを2本取り出して構える、中学生の頃、家の近所に琉球古武術の師範?を自称する怪しいおじさんが住んでいて3年間厳しく仕込まれたのだ。


しゅっ!


ぶぉんっ!


しゅっ!、しゅっ!


「哈ぁっ!」


ぶおっ!、ぶおっ!・・・


「せいっ!」


まわしげりっ!・・・


「とぅっ!」


しゅたっ!


「ふぅ・・・」


まだ身体が出来てないからキレが悪いし重さが足りない、もうちょっと鍛錬しないと大人相手だと負けそうだ。






「ふぁぁぁ・・・かっこいい!」


ガタッ!


「誰?」


教室の入り口で物音がして慌てて振り返ると・・・。


男子の制服に身を包んだアンジェちゃん・・・殿下が扉の隙間から覗いていた。


「でんっ・・・殿下?、どうしてここに・・・」


少女のように目をキラキラさせて僕の動きを見ていた王太子殿下ことアンジェちゃんが空き教室に入ってきた。


「駄聖女が泣きながら私のところに来たの・・・シーアちゃんに呼び出されて酷い事されたって・・・」


アンジェちゃんが僕に影響されて駄聖女って呼び始めた、お願いだから本人の前で使わないでね。


「呼び出されたのは僕の方、襲い掛かられたのも僕の方だけど・・・それに殿下の姿の時はその喋り方やめた方がいいですよ、誰が見てるか分からないですから」


「えー、だってぇ・・・」


「だってじゃないでしょ!、それに護衛も居ないようだし危ないです!」


「護衛は居るもん」


そう言って扉の方に視線を向けるアンジェちゃん・・・そこにはいつも殿下の側にいる取巻きの男の子が立っていた。


メガネをかけた地味で目立たない子だ。


「ごきげんよう、シーアちゃん」


男の子の口から聞き慣れた女性の声がした。


「え・・・もしかしてトリスさん?」


「あれ、分からなかった?」


「分かんないよ、男の子の制服着てるし・・・それにトリスさん19歳だって言ってたよね、年齢誤魔化して学園に来てたの?」


「でもヌコーニさんのところの護衛はもっといってるでしょ」


僕の頭にスタン君の姿がよぎり、それ以上追求するのをやめた。




「・・・というわけで、手紙で呼び出されて派閥に入れと言われました、それから駄聖女の為にシルバーアクセサリーを沢山作れって・・・断ったら手を潰されそうになったから返り討ちにしました」


僕は先程の出来事を殿下に説明した、どこで誰が話を聞いてるか分からないので今はいつものアンジェちゃんとのお友達モードじゃなくて王太子殿下用の口調で会話している。


呼び出しに使われた手紙も渡してある、筆跡を調べれば証拠になるだろう。


「あらぁ・・・じゃなくて!、ふむ、状況は分かった、明日ホリーの奴に厳しく注意しておこう」


「よろしくお願いします」


「もうすぐ暗くなる時間だな、帰りは馬車かい?」


「いえ、歩いて帰ろうかと」


「そんなのだめよ!・・・じゃなくて!、それはダメだ、私の馬車で送って行こう」


「・・・」


確かに遅くなったし駄聖女の相手で疲れた、いつも僕とお喋りしている時の癖が抜けないのか時々女性口調が混ざる殿下のお言葉に甘える事にした。


王家の紋章付きの馬車で屋敷まで送って貰い、帰ったところをヌコーニ様に見られて凄い顔をされたけど僕は悪くない!。

読んでいただきありがとうございます。


面白いなって思ったら下のお星さまやいいねをポチリと押してもらえると作者が喜びます・・・。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ