011 - なんでばれたの? -
011 - なんでばれたの? -
「とりあえず完成かな」
僕は目の前にずらりと並んだシルバーアクセサリーを眺めて呟いた、ピアスやバングル、指輪など合わせて40個くらいある。
お義母様の持っている商会で作って貰った商標入りの化粧箱に1個ずつ詰めていく、売れるかどうかも分からないから今は全部僕の手作業だ。
商標に使ったブランド名は「アビス」、この国の言葉に同じ響きのものは無く、他の商会にも使われていなかったからこれに決めた。
「売れるといいなぁ・・・とりあえずの目標は5個にしよう、それ以上売れたら大勝利だ」
綺麗に商品が詰められた木箱を見て僕は呟いた。
明日はこれをジュワイヨさんのお店に届ける予定だ、執事さんに頼めば届けてくれるけど初回の納品は僕が直接届けて挨拶したい。
お義母様にも執事さんに頼むよう勧められた、でも取引先との挨拶はとても大事なのだ、僕はこうやって前世でお店を少しずつ大きくした・・・。
・・・
あれから少し経ち学園が長期休暇に入った、休暇といっても貴族の子供達は遠方の領地に戻ったり王都で社交をしたり・・・皆忙しくしているようだ。
去年の僕は寮で暇を持て余していた。
学園に届けを出して図書館を利用させてもらったり、寮の食堂がお休みになるので街に食事に出たりする以外は基本的に寮に引きこもっていた。
でも今年は多忙を極めている、ジュワイヨさんの宝飾店に出させて貰った僕の作品が3日で完売してしまったのだ。
マダム・・・ジュワイヨさんの手腕もあると思うのだけど上級貴族の子息や若い商人・・・シルバーアクセサリーの似合いそうなイケメンや美女を選んで売り付けたらしい。
評判が評判を呼んで店には問い合わせが殺到・・・マダムが血走った目をしてユーノスのお屋敷に押しかけてきた。
「シーアちゃんっ!、買いたいっていうお客様がすごいのぉっ!、お願いだから作れるだけ作ってぇ!」
「えぇ・・・そんなに売れたの?」
「あのお家の嫡男が嵌めてる指輪が欲しい、あのお店の娘さんがつけてるネックレスは何?って毎日のようにお客様に聞かれてるのぉ!」
「幸い学園はお休みだからまだ余力はあるけど学園が始まったらどうしようかなぁ・・・」
今のところ僕の作品の売り上げ配分は僕が7でジュワイヨさんのお店が3だ。
僕の取り分はもっと少なくてもいいと言ったのにマダムがそれ以上受け取らなかったのだ、僕が原因でお店が忙しくなるのは申し訳無い気がする・・・。
「数量限定の予約注文にしようか、僕が商品の絵を描くからそれを見て欲しいものをお客様に選んでもらうの、お店のお得意様や他の宝飾品を買ってくれた人を優先で・・・っていうのはどうかな?」
「きゃぁぁ!、それ良い!、シーアちゃん凄いわぁ!」
がしっ!
「むぐぅ!」
またマダムに抱きつかれ、筋肉質な厚い胸に顔が埋まって窒息しそうになった・・・。
「・・・それで、殿下はお茶会に駄聖女だけじゃなくて第二王子殿下まで連れて来るようになったのよ」
「へー」
「何を考えているのかしら、何も考えてない可能性もあるけど・・・定期のお茶会って婚約者同士の交流を深める為でしょう?」
「そうですねー」
「しかも自分は駄聖女と戯れ会って第二王子殿下を私に押し付けて来るのよ、おかしいと思わない?」
「おかしいですねー」
だんっ!
「わぁ・・・びっくりしたぁ!」
「私は真剣に相談してるの!、適当に返事しないでちょうだい!」
「適当に返事してたのバレちゃったぁ!」
今僕とヌコーニ様はコヴァーン家の中庭でお茶を飲んでいる、最近アクセサリー制作が忙しくてあまり構ってあげてなかったら拗ねて泣き出したのだ。
お詫びに僕の自信作、雫形のシルバーネックレスをあげたら物凄い顔をして動きが固まった・・・。
「もしかして気に入らなかったです?、それなら今度別のものを持って来ましょうか?」
「い・・・いえ!、とても綺麗で・・・気に入ったわ!、だだだ大事にするわね!」
明らかに挙動不審になったヌコーニ様に声をかけると我に返り、この前王城で開かれた婚約者とのお茶会を愚痴り始めて今に至っている。
「婚約者を駄聖女に換えたいから第二王子殿下とヌコーニ様が仲良くなれば都合がいいって考えてるんじゃないですか?」
「そうとしか思えないわよね」
「でもヌコーニ様は王妃様に似ている綺麗なお顔の王太子殿下より陛下に似て凛々しい第二王子殿下の方が好みですよね?、第二王子殿下は来年学園に入学するから今10歳・・・ヌコーニ様は13歳、歳の差は4つだけど大丈夫ですよ」
「何が大丈夫なのか分からないわ!」
「僕はおねショタもありだと思うけどなぁ」
だんっ!
「ひっ!」
ヌコーニ様がテーブルを叩いた、また思った事が言葉に出ていたようだ・・・でも今日のヌコーニ様はなんだか情緒不安定だな・・・。
がしっ!
「わぁぁ・・・何をするんですかぁ!」
ヌコーニ様が僕の側に来て顔面を掴んだ。
「シーアさん・・・大事なお話があります!」
「何でしょう?、その前に痛いので顔を掴むのやめて下さい」
ヌコーニ様の綺麗な顔が僕に近付き耳元で囁く。
「・・・あなたは転生者ね」
「へ?」
ヌコーニ様の口から衝撃的な言葉が飛び出した、確かに僕は転生者だけど何でバレたの?。
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