表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
少女装鎧ジノグラフ  作者: 八波草三郎
パムール島の異変

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

50/77

船造り計画(2)

 まずは砂浜まで行って素材貯蔵用の大振りな(かめ)を二つ作る。流体金属(メタル)用とニッケル鉄用である。家の甕に貯めているメタルも浜に運ばねばならない。この二つがないと話にならない。

 続いてメタル系の発生洞窟と浜を往復する。遭遇するメタルスライムを狩りながら、せっせとニッケル鉄を集めて甕に貯めていく。バイクでドライブすること四日、ようやく甕いっぱいの二つの素材を集めることができた。


「やっと、腰を落ち着けて作業に掛かれます」


 さすがの少女もあちらこちらと落ち着きがないだけで役目の少ない日々に飽きたらしい。ドライブを楽しんでいたのはロナタルテくらいである。


「それで、船はどうやって造るのです?」

 ざっくりとした構造しか伝えてない。

「考えたんだけどな、やっぱ細切れに作って接着融合させても上手くいきそうになくてさ。左右がきっちり対象でないとまっすぐ進んでくれそうにないじゃん。だもんで、浜に型を作ろうと思う」

「型ですか?」

「うん。砂を掘って船の外枠の形にしてガラス化する。表面を綺麗に仕上げてだな。それを修正しながら決めちゃえば間違いがない」

 やり直しをしないで済むはず。

「失敗がないと思います」

「じゃ、まず俺が掘るからシャベル……、こんな道具を作ってくれる?」

「はーい」


 イメージで伝えてシャベルを入手。砂浜に船の形に穴を掘り、順繰りエメルキアに固めてガラス化してもらう。精度は最終的に調整するつもりで。外枠を掘って調整するだけで一日目が終わった。


「次はどうしますか?」

 二日目の朝のこと。

「まずは船底から。ニッケル鉄を撒いてあとから流体金属(メタル)を流せばいいかな。分量が調整しやすい」

「ですね」

「さあ、ロナ。出番だ」


 むずむずしている小妖精(リトルエルフィン)に小さな器を持たせて砂鉄を撒かせる。並行して正輝もシャベルで外枠に素材を敷き詰めていった。

 基本的に平底船に近いが軽く湾曲させてある。話し合って、そのほうが安定するのではないかという結論に達した。侵入してしまった海水も掻きだしやすい。


「じゃあ、俺がメタルを注いでいくからルキが融合固化していってロナが表面をきれいに整える。できるだけ厚みを均一にな。流れ作業だ」

「はい」

「わーい」


 三人並んで船首のほうから形にしていった。船底を作るのは簡単で進みの早い作業である。やっている感が出てロナタルテも満足させられる。


「次は船べりなんだが、こいつは少々面倒くさい」

 型枠に合わせて立ち上げなくてはならない。

「俺が砂鉄を少し盛ってまわる。ルキはメタルを注ぎながら船底とも融合させつつ固化。ロナが表面処理。で、ぐるぐるまわる」

「ちょっと大変そうです」

「ロナはできるよー」


 小妖精(リトルエルフィン)には簡単な作業を割り当てているので自信ありげ。念動の出力が小さい彼女に任せるには程よいだろう。休憩して精気を補充してもらいながら進めていく。


「腰痛いな」

「マサキは身体が大きいので余計に大変そうです」

「休憩するー?」


 休み休み楽しく作業をしていく。急いで頑張る必要などない。のんびりと暮らすが当面の目標なのだから。


「できたー!」

「船の形にはなったな」

「初日にこれは上出来だと思います」


 夕方には船体そのものは完成した。全長で6m、広いところで横幅が2mもある船の形が整えば壮観だった。


「浮かべてみるー?」

「いや、これだと構造的に弱い。こう、仕切りを作ってだな」

 船底に一定間隔に渡り板を作らないと横からの水圧に負ける。

「上に板を敷いておけば座る場所にもなる」

「ほんとだー」

「よく思いつきますね」

 単に思いだしているだけである。


 家に帰って夜を過ごすと次の日も作業。この日はまず板を作るのから始めた。そのへんの木を切り倒して、エメルキアの力で薄切りにしていく。乾燥させて準備完了。

 仕切りとなる鉄板を用意して接着融合する。上に板を敷いて留め具で固定したら、船っぽくて見栄えが良くなった。


「ここで暮らせそー」

 ロナタルテはベンチになった板の上に寝転んでいる。

「寝泊まりはしたくないが休憩場所はできたな」

「試しに浮かべてみます?」

「やっておきたいけど、これを海まで運ぶのは大変だ。丸太を転がしてもいいが楽に済ませたい。変身してもいいか?」

 確認しないといけまい。

「確かに。重いし仕方ないですね」

「頼む。ビルトイン」


 変身した正輝は念動力(サイコキネシス)で船体を軽くしたうえで持ちあげる。どうかと思ったが余裕だった。頭の上まで掲げて、そのまますたすたと歩いて海まで運んだら浮かせるだけ。降ろすと、首尾よく浮かんでくれた。


「乗ってみるか」

「乗ろー」

 小さい彼女は大喜び。

「わりとしっかり安定してるな」

(思ったほど揺れないです)

「重くて重心が低いの正解だった」


 平底は波に弱い印象だったが実用可能な感じである。もしものときは大陸までくらいなら大丈夫と思って構想したものの意外と長期運用もできそうである。


「これくらい広ければいろいろと作業もできるだろ? 釣った端から干物にしていくのも余裕だ」

(本当です。お昼くらいは船上でも大丈夫だと思います)

「じゃあ、元の場所まで戻そう。明日は浮き輪を作って船べりに並べて取り付けていく作業な」


 正輝はより安定した構造にする作業を次の日に割り当てた。

次回『船造り計画(3)』 「基本的に役割分担もバイクと同じなんですね」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ